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世の中どうよ

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世の中、社会、不満もありましょう。憤りもありましょう。ほっとするニュースがあればいいですね。自分もその中に確かに存在する、その世の中。少しでも別の視点があれば、シェアしたいなと思…
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2022年8月の記事一覧

言葉の通じない相手

言葉の通じない相手

事細かに描写はしないことにするが、電車や駅で、ひどく不愉快に感じる事態に出会うことがある。小さな不愉快は日常茶飯事だが、これほどは、というものだ。若い人だと、絡んでくることはまずないが、年配の人のほうが、より鈍感で、厚かましいことがある。口で言ってくるからだ。
 
いや、それはおかしいですよ。私も、昔ならば言ったかもしれない。だが現実には、逆ギレされたという報道が頭を過り、口論はしないほうがいい、

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警告

警告

自分もまた、不愉快なことを言ったり、したりしているはずだ。悲しい哉、自分ではそれを、相手が感じるようには認知できないのが常なので、たとえ自ら気づいたにしても、相手が感じることとの温度差は否定できない。世にある加害者と被害者との理解の相違というものが、それを如実に表している。
 
だから、自分が嫌なことをされた、と意識したときにも、した側は悪いことをした、とは思っていないだろう、と考えるのが、ひとつ

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『差別の日本史』(塩見鮮一郎・河出書房新社)

『差別の日本史』(塩見鮮一郎・河出書房新社)

2022年発行。著者は、河出書房新社から出て作家となり、日本史のいろいろな時代について調べ、とくに貧民などのことを本に描いているようである。その中で、「差別」の問題に特化してまとめたのが本書である。
 
恥ずかしながら、私の知らない言葉がたくさんあった。確かに、歴史の中である時期に使われていたようなものについては、そうした文献を知ることなしには見聞がないだろう。恥ずかしながら、冒頭に掲げられていた

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世の終わりを

世の終わりを

聖書は、「世の終わり」について、しきりに叫ぶ。ユダヤ文化の時間概念の中には、直線的で、終末がある、という観点が確かにある。
 
日本史でも「末法思想」というものがあった。仏教思想に基づくもので、たとえば平安から鎌倉時代に大いに広まった。ブッダの思想が、衰える、あるいは滅びるというような考え方に基づいているのだという。
 
当時は、武士の台頭により、歴史が大きく変わる頃であった。世の乱れや変化を見て

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みんなとおかみ

みんなとおかみ

いまとなっては非常に失礼で差別的なジョークであるが、昔、こんなのがあった。世界各地の乗客を乗せた船が、沈没しそうになった。救命道具の数が限られているため、船長は、なんとかうまく言って、乗客の男たちに、海へ飛び込ませようとする。「飛び込むことは規則だから」とか「飛び込めばヒーローですよ」とか言うと、それぞれある国の男が飛び込んで消えていく。そこに日本人がいた。船長は何と言ったか。「みんな、飛び込んで

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水の事故と自然と人間

水の事故と自然と人間

ゲリラ豪雨だとか、線状降水帯とか、以前には聞かれなかったような用語が、あたりまえのように飛び交っている。洪水は痛ましい。だがまた、夏の水となると、水の事故もまた、痛ましい。子どもや若者が命を奪われることも多いから、なおさらだ。
 
1立方メートル、つまり1メートルを縦・横・高さとした大きさの水を想像しよう。その重量がどれほどになるか、小学生にいつも計算させるのだが、過程はいまは省略して、結論を出す

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医療崩壊を起こしたのはわたしだ

医療崩壊を起こしたのはわたしだ

いよいよ病院が機能しなくなってきている。自分が医療崩壊を起こしている、という自覚がない人が多いだろう。マスクなんか、と外したことは、医療崩壊の原因である。消毒を怠ったことは、医療崩壊の原因である。
 
だったらどんな小さなことでも、原因となるのか。おまえはどうなんだ。そう言われるかもしれない。はい。私も、医療崩壊を起こした当事者である。そういう意識でいる。
 
世の人は、そんな馬鹿な、と、こうした

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いま医療従事者に対して

いま医療従事者に対して

医療現場が機能不全になり始めた。重い病気と同じで、症状が出てきたら、もはや手の施しようがない、という場合がある。病状が表に出ないうちに手を打つのでなければ、助かるものも助からなくなるかもしれない。
 
だから、そうならないうちに対応しなければならなかった、という点では、政治的な方策が万全ではなかったことは確かである。しかし政治的な場面では、経済との板挟みがあり、経済を動かすために、病気への対応を万

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本質が露呈し始めているために時代は急に変わる虞がある

本質が露呈し始めているために時代は急に変わる虞がある

日に日に情況が変わる。感染症と医療の現場、また経済的目論見。大切にしなければならないものが、たくさんある。それらをどう成立させていくか、そこに政治的手腕が発揮されようが、民主社会であるならば、一人ひとりがそれを担っているはずである。都合の好い時だけ、政治が悪い、と言い放ち、自分が正しいというテリトリーを守ろうとすることが、知識人の中にも蔓延している。これではむしろ、ただのガス抜きを演じているだけと

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