マガジンのカバー画像

2018旅する土鍋

26
2013年より毎年おおきな土鍋をかかえて「旅する土鍋イタリア」取材。2018年夏は『第2弾ペーパーブック』を仕立てる予定。WEBサイト、FBページでもご紹介はあるものの、ひと足先… もっと読む
運営しているクリエイター

#旅日記

旅する土鍋「新作と洞窟の町」

旅する土鍋「新作と洞窟の町」

残念ながらというのか、生真面目な性格と効率的な計画性を持ち合わせていない。困りものであり、功を奏しているともいえるだろう。展覧会のたびごとに、あたらしいもの、見たことのないものをつくりだすわけだが、ここに計画性は通用しない。アイディアを探しにいくぞ!といって生まれるものでもない。経験や感情の「ストック」が一定量からあふれたとき、そこにこぼれるものであり、「こぼす」という抜け具合が必要なのだ。

もっとみる
「旅する土鍋2018」マルケ編 ①列車の中のサンドイッチ

「旅する土鍋2018」マルケ編 ①列車の中のサンドイッチ

七人の女サムライイタリアの包丁はなんとも切れない。
「ねえ、さわこ~」とキッチンに入ったら、料理人さわこ氏が2本の包丁をカキーンカキーンといい音を立てて擦り叩いていた。
その姿に、オヌシ!と言ってしまったほど彼女はサムライだった。

B&Bラ・シェンテッラのオーナーであるロベルト フェレッティ氏が昨年から企画してくださっている「旅する土鍋」のマルケ版。去年のイベントに続き、今年は参加者がもっと増え

もっとみる
「旅する土鍋2018」ねこまんまとパッパ

「旅する土鍋2018」ねこまんまとパッパ

“イタリアは食材に恵まれているから何でもおいしいのよね” つい言ってしまいがちな言葉だが、海外至上主義に向かうべからず。同じ食材や味を求めたり、レシピを極上になぞらえようとするから「ムリ」が発生するわけで。それは日本に住みながらつくる毎日の食事、そして生き方も同じ。

おいしいものだけでなく、モノをつくるのも同じ。

少し前も書いたが、なにを求めて我を批判し、至上主義に迫るのか。なにを求めて自虐的

もっとみる
「旅する土鍋2018」チャンボッタとかチョケチョとか?!

「旅する土鍋2018」チャンボッタとかチョケチョとか?!

「チャンボッタ」

オチャラケたくなるようなるような名前の料理は、どちらも「カポナータ」や「ラタトゥイユ」に類似し、カラブリア州に限らず、ローマ以南で名前や材料を変えて『ごった煮』として肩ひじはらずつくられている家庭料理。この夏もカラブリアのマンマがつくってくれて無論美味。レシピも書いてくれたが覚えられるほど特別なことはない。使う野菜も前者の2つに似ているが、酢を入れる前者とは異なり、葡萄酒も入れ

もっとみる
旅する土鍋2018 -遥かなる時の旅-

旅する土鍋2018 -遥かなる時の旅-

2018/08 カラブリア州 コリリアーノカラブロ

ワレモノである同行者は、焼しめられた大きく頑丈な図体でありながら繊細な心の持ち主なのだ。移動が多い「旅する土鍋」は体力勝負であり、梱包しっかり丁寧に、忍耐強く彼とつきあわなくてはならない。

去年にひきつづき、今年も「旅する土鍋」と一緒に15時間強バスに乗ってミラノからカラブリアへ。車内では、運転手がダンボールから無造作にタラッリ小袋を配り、

もっとみる
「旅する土鍋2018」旬に満ち足りた料理

「旅する土鍋2018」旬に満ち足りた料理

料理に際して無理をしない。我が家の毎日のごはんも決して無理なんかしていないから、もう引くこともないのに、どうして完全がその先にあるような「手抜き」とか「時短」という自虐的なコトバを使ったりするのだろう?
うだるイタリアの太陽に満たされながら突然に疑問符が浮かんでしまった。お人柄もそうだが、料理に対しても足るを知る心をもっているイタリア人を前にいつも学ぶことがある。何事に関しても無理をしていないから

もっとみる
旅する土鍋 2018 −微笑みと広場−

旅する土鍋 2018 −微笑みと広場−

2018 07/19 Bologna ボローニャ(ボローニャ山間部)

ボローニャシリーズつづき
ー生きるものとしてー
ーつくりたかった景色–

なぜこ毎年、全身全霊で「旅する土鍋」をかかえてイタリアを回っているの?そう聞かれることには慣れたし、確かにしつこいなあと自身でも思ったりね。まだまだ見たいし感じたいことがたくさんあって、そのひとつが「ピアッツァ=広場」の原体験なのかもしれなくて。

もっとみる
旅する土鍋2018 −つくりたかった景色–

旅する土鍋2018 −つくりたかった景色–

2018 07/19 Bologna ボローニャ(ボローニャ山間部)

ー生きるものとしてーよりつづき

弟子業を終えてイタリアを離れ日本で窯をかまえてから、”つくりたい作品”とか ”目指すべき作品” ”理想の作品” という縛りのある思考がなかったように思う。それ故なのかとても気持ちが自由であった。20年を振り返ると、自らをワクワクさせたいという感情が先立っていたと内観する。

ボローニャの彼

もっとみる
旅する土鍋2017アーカイブス

旅する土鍋2017アーカイブス

※今年も「旅する土鍋」をスタートするにあたり、昨年こちらに投稿していなかった「旅する土鍋2017」アーカイブ記事をまとめています。

2017.8.6 フィレンツェ郊外(2)「旅をする理由」

「旅をする理由(1)よりつづき)
当時は「住む」理由があり、そして、いまは「旅をする」理由がある。それは小さな小さな主張と願いを生む場所なのだ。

フリゼッラ(フリッゼ)わたしの大好物であるプーリア州(

もっとみる
旅する土鍋アーカイブ2017

旅する土鍋アーカイブ2017

※今年も「旅する土鍋」をスタートするにあたり、昨年こちらに投稿していなかった「旅する土鍋2017」アーカイブ記事をまとめています。

今年の「旅する土鍋」出発まであと少しなのに、窯たきはもちろん仕事がたんまり溜まっていて心臓がかゆくなっている。2017年版を終わらせて2018年に突入しなくては。

2017年8月3日 ヴィンチ村
「わたしにまかせとけ!」

名前の通りレオナルド・ダ・ヴィンチ生誕の

もっとみる
旅する土鍋アーカイブ2017

旅する土鍋アーカイブ2017

「旅する土鍋2017」は移動距離も長く、訪ねた先も多く、出会ったひとたちも多かったにもかかわらず、残念ながら記録がきちんと残っていない。

「旅する土鍋2018」出発前までの1ヶ月、せめても早戻しで2017年の記録をあちこちから引っ張り戻してつづっておこう。今年の土鍋イベントには、昨夏のつづきもあるので簡単な記事として残せたらと思う。

2017/07/06 TOKYO
陶芸とは、地球のあらゆる鉱

もっとみる