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旅する土鍋2017アーカイブス

※今年も「旅する土鍋」をスタートするにあたり、昨年こちらに投稿していなかった「旅する土鍋2017」アーカイブ記事をまとめています。

2017.8.6 フィレンツェ郊外(2)「旅をする理由」

「旅をする理由(1)よりつづき)
当時は「住む」理由があり、そして、いまは「旅をする」理由がある。それは小さな小さな主張と願いを生む場所なのだ。

フリゼッラ(フリッゼ)わたしの大好物であるプーリア州(隣州のカラブリアにもあり)の硬いかたいかたーいパン。さらっと水に浸して、ガサガサの表面にニンニクをするように塗って、トマトにバジルやオレガノも添え、塩をふり、最後にツツーッとオリーブオイルをかけて食べる。トッピングしているあいだにちょうどポロポロなやわらかさとカリカリが共存するようなおいしさに。

ちほさんが、プーリアのお義父母さまやご主人のアントネッロからもう何年も前から伝授さた方法でつくってくれた。アントネッロが通りかかると「それちがう!」と厳しく言われていたけれど、いやいや上出来だと思う。その地で身に沁みた味を再現するということは、本当に難しい。その地で受けた風、感じた温度。そんなことと味は結びついている。そして、そこで生きることとは。食べものだけでない。作品も人間性も、本当の味を知るということは。

実は、Cocciorinoの作品にかならず入っている柄がある。できるだけ感じたかった風と温度とすべての味。歴史は戻れず歩むのみ。そんな意味を込めて「根っこ」と「あしあと」が入っている。いつか作品が目の前に現れる機会があれば、ぜひとも確認していただきたい小さな小さな主張と願い。


ちほさんのブログ 
⇒2017.8.17「土鍋を抱えて友人が」
⇒2016.9.05「旅する土鍋が今年も」
⇒2015.9.12「旅する土鍋」

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