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エッセイ

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日常のあれこれを綴っています。中には東北暮らしについて書いた【東北暮らし日記】も。画像は宮城県北~岩手県の郷土料理「ひっつみ」
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#仙台

「会話のいらない美容室」でカラーとカットしてきた話

「会話のいらない美容室」でカラーとカットしてきた話


「美容師さんとの会話が苦手…」そんなお悩みを持つ方、いらっしゃいませんか?私も、そのひとりです。
話を聞くのは好きだけど、自分のことを話すのは苦手。さらにファッションに関心が薄く、髪にも手をかけないモノグサ人間なので、お洒落な美容院の空間では気後れしがちなのです。

特に長時間のパーマやカラーが憂鬱で、「必要以上の会話をしなくてすむ美容院があったらいいのに」と常々、思っていました。

そんな私に

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【東北ぐらしエッセイ】ビジネスマンに囲まれて春を感じたできごと

【東北ぐらしエッセイ】ビジネスマンに囲まれて春を感じたできごと

4月のとある平日のお昼近くのことだ。私は、仙台駅構内を歩いていた。

その日は風が強くて肌寒い日だった。寒さに震えていた上、少しお腹がすいていた。

すると、めんつゆの匂いがした。

気がつくと立ち食いそばのお店の前だった。
スーツをまとったビジネスマンたちが、入口の券売機の前に列を作っている。
さらに券売機の横には、「期間限定 春そば・うどん」の写真入り看板が。

思わず食欲がそそられた。
まだ

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【エッセイ】仙台から芥川賞作家が!

【エッセイ】仙台から芥川賞作家が!

仙台出身・在住の作家、佐藤厚志さんが第168回芥川賞を受賞した。

地元在住の作家が芥川賞受賞となると、本好きとしては、嬉しいもの。夕方、ニュース速報が出たときは、飛び上がって喜んでいた。関係者の方の喜びは格別だったであろう。

報道で、佐藤さんが私と同世代で、仙台在住と共通点があることや、受賞作の『荒地の家族』は東日本大震災がテーマと知り、読みたくなった。

早速、受賞数日後に、佐藤さんの勤務先

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【エッセイ】寒がりな東北人の私。築40年の家でいつまでコタツを出さずにいられるか。

【エッセイ】寒がりな東北人の私。築40年の家でいつまでコタツを出さずにいられるか。

11月、東北・仙台で暮らしていると決まってかわされる会話がある。

「最近寒くなったよね~、ファンヒーター出しちゃったよ」「家なんてファンヒーターどころか、コタツ出したよ」

東北では温暖といわれる仙台でも、冬はコタツとファンヒーター・石油ストーブは必需品だ。新築の断熱性に優れた家やマンションはそうではないかもしれないが。

私は築40年近く(!)の集合住宅に住んでいる。建物が昭和時代のものなので

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【エッセイ】今でも忘れられない、街角での一瞬の出会い

【エッセイ】今でも忘れられない、街角での一瞬の出会い

なぜか昔から、知らない人に道を聞かれる。
今はグーグルマップ等を活用する人が増え、だいぶ少なくなったが、以前は地元・仙台ではもちろんのこと、旅先でも道を聞かれた。
初めて降り立った宇都宮駅で日光への行き方を聞かれたり、不慣れな東京・上野駅で外国人に浅草までの行き方を片言の日本語で聞かれたりした。

また、バス停で居合わせた尼さんや日帰り温泉で居合わせた人に身の上話をされた経験も。「なぜ私に?」と驚

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【エッセイ】憧れのお店、猿田彦珈琲が地元・仙台にやってきた

【エッセイ】憧れのお店、猿田彦珈琲が地元・仙台にやってきた

10年くらい前に東京で出会い、憧れていた店がある。
それが「猿田彦珈琲」だ。

当時20代だった私は、変化がなさすぎる地元での暮らしに飽き、東京に憧れていた。
ただ、勤め先も仙台弁が飛び交うような地元企業、東京に縁もゆかりもない生活だった。

ただし、憧れる割には、住むのは恐いという小心者。

なので、東京に行く用事をわざわざ作り(美術館の企画展など)、時々行っていた。
そして、帰りはおぼつかない

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【フードエッセイ】冬を惜しみながら食べる「霜ばしら」

【フードエッセイ】冬を惜しみながら食べる「霜ばしら」

今、季節は冬と春の変わり目だ。
仙台は晴れているものの、強風が吹き荒れている。
日差しは温かいものの吹く風はまだ冷たい。

そんな時、過ぎた冬を思い出すような食体験をした。

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雪は積もっていないもののピリッとした寒さの冬の朝、土の上を歩くとシャリシャリという感触を感じることがある。霜柱を踏みしめた時の音だ。
この小気味よい音が楽しく、辛い寒さを一瞬忘れさせてくれる。

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仙台の梅雨は寒い!?

仙台の梅雨は寒い!?

みなさんは「梅雨」と言うと、どんなイメージがありますか?
東京に引っ越した友人に聞くと、「雨がしくしくと降り続き、蒸し暑い」と言っていました。

それを聞いて、「仙台の梅雨とはまた違うな」と思いました。
と言うのは、仙台の梅雨は、気温が上がらず寒い日もあります。
長袖のカットソーに上着を着ることが多く、宮城県内の山の方に行くと、ストーブや炬燵を使う人もいるくらいです。

(うちの親戚がそうでした…

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【エッセイ】雪道の正しい転び方

 話は昨日、1月4日の朝にさかのぼる。その日は仕事初めだった。
家を出る前に窓から外を見ると、雪で真っ白だったが、2センチくらいしか積もっていないように見えた。
気温はいつもの年始より寒い気がしたが、家の周りや職場の雪かきは必要ないだろう…と安堵して家を出た。

その油断がいけなかったのかもしれない。家を出て最寄り駅まで歩いていた時、思いがけずツルッと滑り、しりもちをついた。

現場は、マンション

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【東北暮らし日記】小学1年生のバリスタ?!と出会う

【東北暮らし日記】小学1年生のバリスタ?!と出会う

最近、仕事帰りに、素敵なコーヒー屋さんを見つけた。

職場から最寄り駅までの間が住宅地なのだが、一軒家の敷地内にある店だ。傾斜が急な坂を上り切った突き当たりにある家で、庭先には、キッチンカーが停まり、その横には離れと、アウトドア用のタープが貼られた飲食スペースがある。
離れは焙煎用のスペースで、キッチンカーでコーヒーを淹れたり、会計をしたりしている。

お店は高台にあるので、仕事帰りの夕方に寄ると

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【エッセイ】素敵なコインランドリー

【エッセイ】素敵なコインランドリー

「ああ、朝からツイてない!」
今朝の6時ごろの出来事だった。
私は仕事が休みだったが、出勤の夫に朝ご飯を出すべく、準備をしていた。

眠気マックスの状態で、ボケボケ、フラフラしていたのだろう。
台所からダイニングにスープを運んでいたら、見事にひっくり返してしまった。

テーブルの下に敷いていたマットは布製。その上、スープは、油っこいやつ。瞬く間に、スープが染み込み、マットの一部が濡れていく。

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【エッセイ】七夕まつりと、かまぼこ売り

【エッセイ】七夕まつりと、かまぼこ売り

今日、8月6日に「仙台七夕まつり」が始まった。実に2年ぶりだ。

写真を撮りながら、仙台駅前の商店街のアーケードの七夕飾りを見る。
今年は例年とは少し違った光景だ。

縮小開催なので、人通りは(いつもに比べると)多くはない。
また、感染症対策で、吹き流しの裾が顔にかからない高さに上げられている。
例年だと、歩いていると顔にかかるくらい、裾が長い。

けれども仙台に暮らしている私は、馴染みの七夕の風

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【エッセイ】地元の大型書店閉店によせて

【エッセイ】地元の大型書店閉店によせて

今朝、新聞(地方紙)の一面に、「ジュンク堂仙台店閉店へ」という見出しを見つけた。

品揃えがよいのと、地下にあって落ち着いている雰囲気が好きでよく行っていた店だ。
フロアが広くて、専門書も充実。行けば探している本は、たいてい見つかる。
立地も仙台駅前と便利だったので重宝していた。

そんな大手の書店がなくなることが信じられなかった。
寝耳に水という言葉が頭をよぎった。

どうやら、出版不況、さらに

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【エッセイ】春の悩み・花粉症(スギ)

【エッセイ】春の悩み・花粉症(スギ)

今日は晴れていて、温かい一日だった。サクラだけではなく色とりどりの花がきれいに咲いていて、気持ちも明るくなる。

春は好きな季節だ。花粉症がなければ…

私が花粉症を認めざるを得なかったのは、10年前、東日本大震災が発生した直後だった。
3月11日に震災が起きた時、私は宮城県内の実家にいた。ライフラインが止まり、タンクを持って近くの小学校に給水に行った。

実家は山の中で、田んぼと畑と杉林に囲まれ

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