【エッセイ】雪道の正しい転び方

 話は昨日、1月4日の朝にさかのぼる。その日は仕事初めだった。
家を出る前に窓から外を見ると、雪で真っ白だったが、2センチくらいしか積もっていないように見えた。
気温はいつもの年始より寒い気がしたが、家の周りや職場の雪かきは必要ないだろう…と安堵して家を出た。

その油断がいけなかったのかもしれない。家を出て最寄り駅まで歩いていた時、思いがけずツルッと滑り、しりもちをついた。

現場は、マンションの北側の通路。うっすらと積もっていた雪は、明け方に降ったさらさらのパウダースノーだったが、その下が凍っていたのだ。

正体は、年末年始の寒波で積もった雪だ。その時の雪が溶けずに残っていたところに、新たに雪が降ったのだった。

スケートリンクと化した日陰の雪道で、派手にしりもちをついた私。左肘とお尻を打っていて、ヒリヒリと痛む。
仕事初めの日からついてない。思わず悲しくなり、会社に行きたくなくなってしまう。

幸いなことに頭は打っておらず、骨にヒビが入るなど大きなケガをしなかったのは、不幸中の幸いだった。

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そんなハプニングがあった次の日、何気なく地元テレビ局の気象情報を見ていた。
すると、気象予報士が「雪道の正しい転び方」を話していたので、つい聞き入ってしまった。

番組によると、「仰向けに、しりもちをつくような感じで転ぶ」のがベストらしい。言い換えると受け身をとるようなイメージだ。(ざっくりと言えば)そうすることにより、頭を打たないですむのだという。

「おお!昨日の私の転び方合ってたんだ!」気がつくと、つぶやいていた。
転んだ時は突然で、「転び方」を考える余地はなかったが、無意識のうちに実践できていたらしい。

東北に長年暮らし、自分の身体が北国仕様になっていたことに改めて気づかされた。