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自由に身体を動かせる至福とアートで気分を変える仕掛け

鼠径ヘルニアの手術を受けるため4日間入院していました。
腹腔鏡を使って、ヘルニアが起きないように腹膜のところにメッシュを入れる手術、朝から始めて昼には終わっていました。術後、メッシュを入れた部分も腹腔鏡を入れた部位も特に痛みはありませんでした。執刀してくださったドクターに感謝いたします。

手術が終わってから翌日までは、ベッドで横になり安静にする必要がありました。身体を動かして、縫った部分が開いてしまったら元も子もありません。点滴のチューブと排尿のチューブ、心電図の電極をつけられ、ぐるぐる巻き状態になっていました。点滴チューブはなくても水分補給は経口でできるのではと思っていました。しかし、一度気持ちが悪くなったことがあって、すかさず点滴チューブから吐き気どめを投与してくれました。点滴チューブは緊急対応のためにも必要なんだなと実感しました。

一方で、一番きつかったのが、脚につけられたフットポンプでした。左右の脚交互に圧をかけるもので、血液の循環を促して静脈血栓塞栓症を防ぐことが目的です。これがけっこう重いもので、脚はほぼ動かすことができませんでした。このポンプさえなければ、少し起き上がることもできるのにと思いつつひたすら時間のたつのを待っているという感じでした。

この1日の経験は、身体が自由に動かせるというなんでもないことが、なんとも素晴らしいということを身にしみて感じました。そして、チューブとフットポンプでぐるぐる巻きになっていた時間がかなり辛いものであるということもわかりました。安静にしていなければいけないのはよくわかりますが、一日中続くことです。なにか気分を変える仕掛けがあってもいいなと考えていました。

病室にある一番有効な武器がテレビでしょう。しかし、昼間は特に見たい番組もやっていません。そこでふと思いついたのは、現代アートの映像を天井にプロジェクションできたら嬉しいかもということです。

渡辺豪さんの映像は、非常にゆっくり動くもので、日常の忙しい中で観るには逆にリズムが合わないことがあります。病室で安静にしているときは、時間を気にすることなく彼の世界に引き込まれる感じがします。

金氏徹平さんのアニメーションも、独特の世界に連れて行ってくれて、身体が動かないことを忘れさせてくれる力をもっています。

これらのアート作品は、音声がなくても楽しむことができます。
映画のようにストーリーを追っていく必要も特にないので、途中観ない時間があったとしても、そのまま観続けることができます。これらのアート作品は、現代アートに馴染みのない人にとっても安静時に観るものとして受け入れやすいと思います。

入院環境の研究者とアーティストで共同で、実際に入院患者さんに気分転換する効果があるかどうかを調べてみてはどうかと思います。

効果あり!となったら、安静時観賞用の映像作品をアーティストに制作してもらって、使える病院を増やしていく。鑑賞の仕方もアーティストと病院とで一緒に考えるといったことができたら素敵ではないでしょうか。病院での気分転換のニーズはかなり多いと思うので、このような仕掛けはこれからも考えていきたいと思います。

私は既に退院したのですが、入院中にへんな歩き方をしたためか、今度は、右の足の裏が痛くなってしまって(足底腱膜炎か?)、今も自由に動けない状態が続いてしまっています。

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