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厚顔無恥の野蛮に抗って
このところ心穏やかならぬ日々が続く。個人的なことは置くとして、ロシアのウクライナ侵攻に続きイスラエルのガザ侵攻。刻々と伝わるイメージとコトバの数々に心は休まらず、オリンピックどころではないはずだが、それで気散じにできる人はそれでもよいかと、なかば諦めていた今朝、ふとこの記事のツイートに気づく。さっと読んで我が意を得たりと膝を打つ。念のため日本語に訳してみれば、いくつか留保はあるものの、このイラン
もっとみる中立性と無関心な人々
友人のフェイスブックの投稿で、ダーチャ・マライーニのインタビューに触れる機会があった。飛び込んできた言葉は「neutralità」(中立性)。報道の中立、政治的な中立、芸術の中立など、まるでそれが正義であるかのように語られる言葉なのだけれど、マライーニはこの言葉を一刀両断。そんなものは存在しないという。我が意を得たり。いかにその部分を訳出する。
イタリア語を記しておく。
おためごかしに中
愛とは距離をとること
ナポリのインスタグラマーで、ちょっと注目されているのがサラ・ペネロペ・ロビン。最近知ったのだけど、なかなかキレのある発言をしてくれているし、なかなかのパフォーマーでもある。
その最近の投稿でシモーヌ・ヴェイユを引いていた。パドヴァ大学を卒業する直前に元カレに殺されてしまったという女性の殺人事件に触発されたもので、イタリアでは女性たちが殺された女性への追悼と、繰り返されるフェミサイド(女性殺し)へ
人の声とオノマトペア
ミケーラ・ムルジャが「femicidio」について語る映像を見た。シェアしようとしてコメントを書いているうちに消えてしまった。もったいないので、少し思い出して以下に記しておく。
ムルジャは言う。「フェミチーディオ femicidio」(女性殺し)という言葉に最初のころは反感があったと。「フェミチーディオ」とは、「フェミン」(女性)「チーディオ」(殺し)の意で、「女性が女性だからゆえに殺される事件
未来の時制による追悼演説
以下に訳出するのは、キアラ・ヴァレーリオによるミケーラ・ムルジャの追悼演説だ(2023/8/12)。場所はローマのポーポロ広場にあるサンタ・マリア・イン・モンテサント教会、通称は「芸術家たちの教会」。
ミケーラ・ムルジャ(1972-2023)、享年51歳。作家、劇作家、ラジオのパーソナリティ。癌を患っていたと言う。ぼくが彼女のことを知ったのはパオロ・ヴィルツィーの『見渡すかぎり人生』(2008)