白鳥裕貴

大学の教員です。ある意味、保健室の先生。 著書:精神科医の戦略&戦術ノート -…

白鳥裕貴

大学の教員です。ある意味、保健室の先生。 著書:精神科医の戦略&戦術ノート -精神科救急病棟で学んだこと。 精神科専門医。精神保健指定医。博士(医学)。公認心理師も取得しています。茨城県出身。 twitter→ https://twitter.com/YukiShiratori1

記事一覧

本当の瞬間 ガールズバンドクライ#12

ついに残すところは最終回13話のみになった。#8-#12各話ごとの感想を連続してあげる。6月28日の13話オンエアには間に合わせるつもり。 タイトルは手島nari先生のツイッ…

白鳥裕貴
3か月前
1

奈落の底と大空 ガールズバンドクライ#11

ついに残すところは最終回13話のみになった。#8-#12各話ごとの感想を連続してあげる。6月28日の13話オンエアには間に合わせるつもり。 タイトルは手島nari先生のツイッ…

白鳥裕貴
3か月前
1

普通の人になる ガールズバンドクライ#10

ついに残すところは最終回13話のみになった。#8-#12各話ごとの感想を連続してあげる。6月28日の13話オンエアには間に合わせるつもり。 タイトルは手島nari先生のツイッ…

白鳥裕貴
3か月前
2

許されること ガールズバンドクライ#9

ついに残すところは最終回13話のみになった。#8-#12各話ごとの感想を連続してあげる。6月28日の13話オンエアには間に合わせるつもり。 タイトルは手島nari先生のツイッ…

白鳥裕貴
3か月前
3

弱さと向き合う ガールズバンドクライ#8

ついに残すところは最終回13話のみになった。#8-#12各話ごとの感想を連続してあげる。6月28日の13話オンエアには間に合わせるつもり。 タイトルは手島nari先生のツイッ…

白鳥裕貴
3か月前
4

歩むべき道を示すもの ガールズバンドクライ#4-#7

登場人物が増え、群像劇としての各キャラクターが掘り下げられていった。彼女たちが出会い、共に進もうとする中で、何を目指すのかが問われていたように思う。それぞれの背…

白鳥裕貴
4か月前
9

桃香の瞳に映るのは ガールバンドクライ#1-#3

 桃香は駅前の壁面広告を見上げていた。広告には、ガーリーなユニフォーム的なステージ衣装を着たかつてのバンド仲間<ダイヤモンドダスト>。しかし、桃香の表情は何も映…

白鳥裕貴
5か月前
8

アインシュタインの名言を調べていたら、ブッダを通じてガンジー:ミームの元ネタ

インターネット上にはたくさんのミームがある。 ミームとは、受け継がれて伝播していく情報のことで、遺伝子(gene)のひとまとまりとしてゲノム(genom)ように、情報伝達の…

白鳥裕貴
6か月前
6

問診の正義と溝

短時間で診察し多数の患者を診る方針の先生と、”丁寧”に”精神療法的”に時間をかける方針の先生との間の、正義の溝は深い 長く時間をかけると、結局少数の患者しか診察…

白鳥裕貴
8か月前
6

高齢者の医療に関するナラティブ

医療行為の要否とナラティブ 以下のツィートに対する私の反応です。 医療行為の要否には、医学的な要否とは別の観点がある、という指摘をもう一つすすめると、その観点は…

白鳥裕貴
1年前
4

美容外科の報酬は消化器外科より高く、トマトの値段は米より高く

美容外科の合併症に誰が対応すべきか美容外科の自由診療で手術を受けた後の合併症が起こることがある。例えば死亡除去術後の脂肪塞栓で、これは、手術の時にはがれた脂肪の…

100
白鳥裕貴
1年前
4

エクソソーム治療に思うこと

自由診療で、エクソソームを注射する治療を行っている医師に対する批判がある。エクソームは細胞が、細胞の膜として使われている膜を袋状にして、細胞内に含まれる様々な物…

100
白鳥裕貴
1年前
7

ディープ・ラーニングと精神疾患

ディープ・ラーニングはあくまでニューロンをモデルにした、コンピューターシステムであり、生物の脳と直接な関係があるとはいえない。あるいは、たとえばバックプロパゲー…

白鳥裕貴
1年前
15

Goldwater ruleと精神科医の立場

著名人を診察することなしに診断してはいけない、というGoldwater rule、病跡学ではどう考えているのだろう。と、思っていたら、病跡学会のレポート記事にコメントが。 精…

白鳥裕貴
1年前

ヒトを人たらしむるものはなにか? 私たちはどのように人と出会うのか?

私たちは、人が人であることを忘れやすい。 それはなぜか。人を「モノ」として扱うから。 どのようなとき、人は「モノ」になるのか。人をカテゴリーで分類するとき。 何…

白鳥裕貴
2年前
3

プチ炎上の覚書 CBTの限界について

少しまえ、プチ炎上に巻き込まれました(笑)。実際は炎上というほど激しいものではなく穏やかなものでしたが、なかなか気を使いました。内容は認知行動療法;CBTについて…

白鳥裕貴
2年前
本当の瞬間 ガールズバンドクライ#12

本当の瞬間 ガールズバンドクライ#12

ついに残すところは最終回13話のみになった。#8-#12各話ごとの感想を連続してあげる。6月28日の13話オンエアには間に合わせるつもり。
タイトルは手島nari先生のツイッター(@_17meisai23)から

桃香の瞳に映るのは ガルクラ#1-#3

歩むべき道を示すもの ガルクラ#4-#7

弱さと向き合う ガルクラ#8

許されること ガルクラ#9

普通の人になる ガルクラ#10

奈落

もっとみる
奈落の底と大空 ガールズバンドクライ#11

奈落の底と大空 ガールズバンドクライ#11

ついに残すところは最終回13話のみになった。#8-#12各話ごとの感想を連続してあげる。6月28日の13話オンエアには間に合わせるつもり。
タイトルは手島nari先生のツイッター(@_17meisai23)から

桃香の瞳に映るのは ガルクラ#1-#3

歩むべき道を示すもの ガルクラ#4-#7

弱さと向き合う ガルクラ#8

許されること ガルクラ#9

普通の人になる ガルクラ#10

11

もっとみる
普通の人になる ガールズバンドクライ#10

普通の人になる ガールズバンドクライ#10

ついに残すところは最終回13話のみになった。#8-#12各話ごとの感想を連続してあげる。6月28日の13話オンエアには間に合わせるつもり。
タイトルは手島nari先生のツイッター(@_17meisai23)から

桃香の瞳に映るのは ガルクラ#1-#3

歩むべき道を示すもの ガルクラ#4-#7

弱さと向き合う ガルクラ#8

許されること ガルクラ#9

10話個人的な好みの話だが(全て好みの

もっとみる
許されること ガールズバンドクライ#9

許されること ガールズバンドクライ#9

ついに残すところは最終回13話のみになった。#8-#12各話ごとの感想を連続してあげる。6月28日の13話オンエアには間に合わせるつもり。
タイトルは手島nari先生のツイッター(@_17meisai23)から

桃香の瞳に映るのは ガルクラ#1-#3

歩むべき道を示すもの ガルクラ#4-#7

弱さと向き合う ガルクラ#8

9話あるグループに、後から遅れてはいるというのはしばしば勇気がいる。

もっとみる
弱さと向き合う ガールズバンドクライ#8

弱さと向き合う ガールズバンドクライ#8

ついに残すところは最終回13話のみになった。#8-#12各話ごとの感想を連続してあげる。6月28日の13話オンエアには間に合わせるつもり。
タイトルは手島nari先生のツイッター(@_17meisai23)から

桃香の瞳に映るのは ガルクラ#1-#3

歩むべき道を示すもの ガルクラ#4-#7

8話7話で失いつつあった、桃香を取り戻す回である。冒頭は、桃香の回想からはじまる。CGではなく、手書

もっとみる
歩むべき道を示すもの ガールズバンドクライ#4-#7

歩むべき道を示すもの ガールズバンドクライ#4-#7

登場人物が増え、群像劇としての各キャラクターが掘り下げられていった。彼女たちが出会い、共に進もうとする中で、何を目指すのかが問われていたように思う。それぞれの背景が明らかになり、理解が進むにつれ、関係性も変化し、物語は重層的になっていく。

4話
4話の冒頭、録音の取り直しのシーン。#1-#3と比べて、桃香と仁菜の関係性が逆転していた。#1-#3では桃香が仁菜をバンドに誘っていたが、仁菜が桃香に前

もっとみる
桃香の瞳に映るのは ガールバンドクライ#1-#3

桃香の瞳に映るのは ガールバンドクライ#1-#3

 桃香は駅前の壁面広告を見上げていた。広告には、ガーリーなユニフォーム的なステージ衣装を着たかつてのバンド仲間<ダイヤモンドダスト>。しかし、桃香の表情は何も映していない。怒りも悲しみも、ぶつけるはずの感情を見出すことができなかった。

アニメ的な表現では、無表情は怒りに分類される。この意味で桃香は無表情ではない。うっすらとほほ笑んでいるようにも見える。しかしそれは、本来あっていいはずの、怒りでも

もっとみる
アインシュタインの名言を調べていたら、ブッダを通じてガンジー:ミームの元ネタ

アインシュタインの名言を調べていたら、ブッダを通じてガンジー:ミームの元ネタ

インターネット上にはたくさんのミームがある。
ミームとは、受け継がれて伝播していく情報のことで、遺伝子(gene)のひとまとまりとしてゲノム(genom)ように、情報伝達のおけるひとまとまりをさす、らしい。
先日も高2の息子が、朝寝坊して起きてくるなり、まだ慌てるような時間じゃない、などと言っていた。スラムダンク直撃世代としては、いつの間に履修したのかと、いささか興奮したが、彼は元ネタを知らなかっ

もっとみる
問診の正義と溝

問診の正義と溝

短時間で診察し多数の患者を診る方針の先生と、”丁寧”に”精神療法的”に時間をかける方針の先生との間の、正義の溝は深い
長く時間をかけると、結局少数の患者しか診察できず、初診の待機が長くなる。これは、受診している患者にとっては利益があるが、不可視化されている待機患者の利益を無視ししているという批判。
一方で、短時間で診察が終えられるのは難しい患者が治らずに診察から離れるからで、簡単な患者しか診ずに金

もっとみる
高齢者の医療に関するナラティブ

高齢者の医療に関するナラティブ

医療行為の要否とナラティブ

以下のツィートに対する私の反応です。

医療行為の要否には、医学的な要否とは別の観点がある、という指摘をもう一つすすめると、その観点はいかなるものでどこから来るのか?という問いがある。この問いに、アーサー・クラインマンは1970年代にの彼の主著「臨床人類学」で説明モデルという論考を示している。彼は主に、病気を疾病と病いに分割し、その治療が受け入れらるかどうかは、「病い

もっとみる
美容外科の報酬は消化器外科より高く、トマトの値段は米より高く

美容外科の報酬は消化器外科より高く、トマトの値段は米より高く

美容外科の合併症に誰が対応すべきか美容外科の自由診療で手術を受けた後の合併症が起こることがある。例えば死亡除去術後の脂肪塞栓で、これは、手術の時にはがれた脂肪の小さな塊が、血流にのってほかの臓器の血管を詰まらせるもの。肺の血管を詰まらせれば、換気はできても呼吸ができなくなる。つまり、口から空気は出入りできるけれども、酸素は体内に取り込まれず、二酸化炭素は排出されないため、命にかかわったりする。

もっとみる
エクソソーム治療に思うこと

エクソソーム治療に思うこと

自由診療で、エクソソームを注射する治療を行っている医師に対する批判がある。エクソームは細胞が、細胞の膜として使われている膜を袋状にして、細胞内に含まれる様々な物質(タンパクや脂質、核酸)などを細胞の外に放出する構造体だ。エクソームには様々な機能があることがわかってきていて、将来的には治療に使われる可能性もある。”将来的に”である。

まだ、安全性も効果の検証も行われていない、この物質を、高額の費用

もっとみる
ディープ・ラーニングと精神疾患

ディープ・ラーニングと精神疾患

ディープ・ラーニングはあくまでニューロンをモデルにした、コンピューターシステムであり、生物の脳と直接な関係があるとはいえない。あるいは、たとえばバックプロパゲーションは、生物的なシステムでの裏付けはなく、あくまで判別精度を高めるための技術に過ぎない。しかし、ディープ・ラーニングによる判別システムが、精度をかなり向上させてきたことは事実である。仮説としてディープ・ラーニングの構造の各要素が人の脳にも

もっとみる
Goldwater ruleと精神科医の立場

Goldwater ruleと精神科医の立場

著名人を診察することなしに診断してはいけない、というGoldwater rule、病跡学ではどう考えているのだろう。と、思っていたら、病跡学会のレポート記事にコメントが。

精神病跡学というのは、乱暴に言うと、文学や絵画などの芸術作品の作者について、作品を解釈することで、作者自身の病理性をあきらかにする学問。本人を直接診察するわけではないのに、時に作者に精神疾患があったのではないかと推測してしまう

もっとみる
ヒトを人たらしむるものはなにか? 私たちはどのように人と出会うのか?

ヒトを人たらしむるものはなにか? 私たちはどのように人と出会うのか?

私たちは、人が人であることを忘れやすい。

それはなぜか。人を「モノ」として扱うから。

どのようなとき、人は「モノ」になるのか。人をカテゴリーで分類するとき。 何らかのより大きな枠組みに、誰かを入れるとき、その人の個別性が失われていく。分類するラベルを張れば張るほど、個別性が失われていく。多くのラベルが張られた「モノ」には、良く説明されて詳しくわかるような気がしてしまうが、それは、人から離れてい

もっとみる
プチ炎上の覚書 CBTの限界について

プチ炎上の覚書 CBTの限界について

少しまえ、プチ炎上に巻き込まれました(笑)。実際は炎上というほど激しいものではなく穏やかなものでしたが、なかなか気を使いました。内容は認知行動療法;CBTについてです。

このツィートに触発されて、私も下のようにつぶやきました。
このnoteでは私のツィートとその一連の反応から思ったことについて、書き留めておこうと思います。

ツィートの背景と伝えたかった事私が心配しているのは、過大な期待です。そ

もっとみる