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奈落の底と大空 ガールズバンドクライ#11

ついに残すところは最終回13話のみになった。#8-#12各話ごとの感想を連続してあげる。6月28日の13話オンエアには間に合わせるつもり。
タイトルは手島nari先生のツイッター(@_17meisai23)から

桃香の瞳に映るのは ガルクラ#1-#3

歩むべき道を示すもの ガルクラ#4-#7

弱さと向き合う ガルクラ#8

許されること ガルクラ#9

普通の人になる ガルクラ#10

11話

Baycampという、音楽フェスへの出演にまつわる回である。10話の冒頭では下北沢のライブハウスでのライブ後の様子が描かれていた。今一つ自分たちの人気を実感できていないメンバーに、芸能事務所からの誘いがあり、オーディションの代わりにフェスのステージが評価されることになっている。さらにライバル関係にあるダイダスも別ステージで演奏するとあっては、穏やかではいられないはずである。そこに、出番も当初の予定と変わって、観客の多い時間帯に変更になった。これを仁菜は、追い風が吹いているという。それまでの、桃香の曲が好きで、自分が間違っていないことを証明したいという思いは、父との和解を通じて自信につながったであろう。
すばるは「一人だけすっきりしやがって」という。そして祖母に俳優以外の夢を追うことを告げる。智の悩みは親子関係に帰属するようだが詳細はわからない。ただしルパとの関係によって、代償されている。ルパは家族を失った喪失感を抱えている。
6話での感想で、人生を歩むとき、方向を定める二つの方法について書いた。旗とコンパスである。なぜ歌うのかという問いに対して、メンバーがそれぞれ応える。

ルパは誰かとつながっているため、
すばるは正直でいるため、
仁菜は間違っていないことを示すため、
桃香は自由でいるため。
智は語らない。

彼らのコンパスなのだろう。
仁菜に影響されて、それぞれに飛び立つための足場を固めている。

思い出されるのは、オープニングのアニメである。メンバーは細い紐につながれたまま、ものすごい勢いで落下している。しかし表情は楽しそうな表情であることに、ギャップを感じる。これは、10話で仁菜が
「先のことなんか考えるなって思い切り飛べってそれが奈落の底へ落ちているのか、大空へ向かって飛んだ瞬間なのか分からないけど」
と語った心境と同じであろう。ただし、孤独でなく、仲間と共に落下している。メンバーは落下しているか飛び立つ瞬間なのかわからないが、何かに向かって思いっきり飛び立とうとしている。11話は、まさにプロとして飛び立つための、足場を描いている。

フェスが始まって、メンバーは連れ立ってダイダスのステージを観覧する。そして小指を立てる。8話で桃香が「アイドルバンドなんだろ、もっと可愛くやってみせろよ!」と罵ったこと、仁菜が「宣戦布告です」と小指を立てていったことに対する、直接的な返答になっている。ダイダスの演奏は大きく変わっている。企画先行になり下がったといわれた批評に対して、ダイダスもまた、飛び立とうとしているのである。

そしてライブシーンである。小指を立てようと仁菜のTシャツに仁義と書かれているなど小さな演出は私の好みでもある。「私のすべてを否定した、すべての連中に、間違ってないって叫んでやる」から始まるエンディングに代わりの演奏は3分続く。まさに、圧巻で曲のタイトル通りの”カタルシス”だった。

最終話はどうなるのか。個人的には、横浜の1000Clubでの1stワンマンライブはまだ劇中に登場していない。対バンライブはクラブチッタで行われ、収容人数1300人。収容数から見れば、クラブチッタの方が格上かもしれない。劇中に1000Clubが登場するのであれば、2期になるのか?などと期待している。


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