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餃子キャチボール

変な夢を見た。私は坊主頭の高校球児になっていて、受験のため東京の大学の広い敷地内におり、父と餃子キャッチボールをしていた。
 
『この餃子は皮が厚いから、グリップがいいンだ』
 
父は朴訥な口調で語り出す。
 
『キャベツもしっかり水気を切り、肉厚もいい。最低限の水分でのトメも強靭だ。これならお前も優勝間違いなしだよ』
 
受験で来てるのでは無かったっけ?何に対する優勝なんだろう。私はうっかり手に持った餃子を落としてしまった。
 
『何してるンだ!』
 
父が声をあげる。私が慌てて拾おうとすると、昔の想い人が現れて、餃子を拾い上げた。
 
『うん、いい餃子だ。君が作ったの?』
『うん』
『餃子の歴史は古く、紀元前には誕生していたという。悠久の歴史の中で餃子はスポーツに進化した。不思議だね。今やその存在だけで威光を放つ餃子だが、僕が真に心惹かれるのは、その進化の瞬間なんだ。君はこいつを使うんだろう。優勝間違いなしだ。だが、大事なのは結果じゃない、物事が価値を変える瞬間だと僕は思う』
『うん?』
『僕はこいつで行くよ』
 
彼は懐からチルドの焼売を取り出した。
 
 
というところで目を覚ました。目覚めの悪い朝だ。


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