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#音楽レビュー
For Tracy Hydeの解散を考える/セカイから世界へ
トレイシー・ハイドという子役が出演した1971年のイギリス映画『小さな恋のメロディ』を初めて観たのはFor Tracy Hydeの大傑作アルバム『New Young City』(2019)を聴いてしばらく経った後だった。当時の年間ベストアルバムにも選んだバンド名に関連してる人物の映画なのだから、さぞこのバンドの根源に繋がる作品だろうと思っていたが、観終わった後にバンド名の由来はWondermint
もっとみる「ぼっち・ざ・ろっく!」とアジカンが寄り添う自傷的自己愛
臨床場面で向き合う自傷的自己愛精神科外来では様々な病状を抱えた患者と向き合い治療を行う。ストレスの原因となる職場や家庭の環境調整を行い、薬剤を適切に使用することで改善するのが一般的だが、そういった治療だけでは回復に至らない患者も多い。
たとえば過剰に思える程の自己否定を行う患者たち。自分の外見やステータスを卑下したり、社会や家庭環境に不満を述べたりしながら、周囲を困らせる行動を取ったり、時に希死
[後編]僕らが言ってきた“メンヘラ”って何なのか…クリープハイプ『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』10周年に寄せて
※本記事は後編です。前編を先に読んで頂けると、この文章の意図が伝わりやすいと思います。
[前編]
"メンヘラ"と音楽音楽に向けられる“メンヘラ”という形容。時にアーティストが生き辛さを綴ること自体が"メンヘラ"と扱われる。それを聴くリスナーも"メンヘラ"であるとされるケースはとても多い。クリープハイプは尾崎世界観(Vo/Gt)の伝えたい想いが誠実で切実であればあるほど、このような形容や受容のされ
[前編]僕らが言ってきた“メンヘラ”って何なのか…クリープハイプ『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』10周年に寄せて
2012年4月18日、クリープハイプのメジャー1stアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』がリリースされた。行き場のない虚しさ、生活に潜む愛憎、忘れがたい日々や恋、それらを独特の比喩/語彙と言葉遊びを絡めて丁寧に描かれた歌詞。ヒリヒリとした情感を届けるのにうってつけな尾崎世界観(Vo/Gt)のハイトーンな歌声と、それを最高潮の状態で送り出す多彩でしなやかなギターロックサウンド。テン年代のロ
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