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#夜空

不動の月 《詩》

不動の月 《詩》

「不動の月」

花一輪 

在りし日の君 

香る春

静かに添えた手のひら

暗黒の雲に覆われた夜空にさえ

音も無く浮かぶ不動の月

あやかしの時は遠去かり

あの日 夢見たふたりの旅

其処に咲いていた小さな花は

眠る事無く咲き続ける

夜更けに恋をし
君の名を呼ぶ

いつからか 

君の言葉の中に愛を探してる

海色に沈む 《詩》

海色に沈む 《詩》

「海色に沈む」

目には見えない雲の切れ端 

小さな浮雲

ゆっくりと型を変えて空を彷徨う

其れは僕の過去 

失われた記憶を求めて漂っている 

部屋の窓から 
遠くに少しだけ見える海

巨大な海の切り取られた断片

其処には波音も
潮の匂いも無い海色の小さな塊

僕は記憶の枠の内側に居るのか
外側に居るのか

何も見えない思い出せない 

僕の知らない所で物事は進展し

行き場を失くしたの

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風と繊月 《詩》

風と繊月 《詩》

「風と繊月」

風と繊月 

ふたつの夜

溢れる想いは言葉にならず

儚く揺れた 

月影囁くあの日の詩

心に閉じ込めた文字を
独り静かに指先でなどる

遥か遠くに見える星

それでも 

あの火は消える事なく

小さく瞬く時を待ち見上げる夜空

春を待てずに花となり

想いの蕾を胸に抱く

幻の夜空 《詩》

幻の夜空 《詩》

「幻の夜空」

不幸せな週末 

曖昧な煩悩の灯り

見渡す限りの黒い海 
影は見えず

切り取られ彷徨う 

幻の夜空

ハードボイルドだとか

ワンダーランドだとか

雌豚のあえぎ声だとか

カラスの透き通った瞳だとか

屈辱的な制服に身を纏うお前は

むしろ異常な現実に
溺れている事を知れ

苛立ちを隠す糞まみれの休息

あの日 あの時 あの場所で

俺はお前を正確に殺ったはずだが

星の輝く夜に 《詩》

星の輝く夜に 《詩》

「星の輝く夜に」

君の素敵な夢が僕に届く時 

小さな星は輝き始める

君の胸の中で選んだ答えなら

必ず叶うよ その大切な想い

溢れる夜がふたりを包み込み

僕は君の輪郭を指先で優しくなどる

誤魔化した気持ち 残る後悔

もう直ぐ傍に来てるよ 
迷わなくていい

星の輝く夜 笑顔が揺れる感じ 

そう そんな無邪気な君が好き

今夜なら 
きっと素直になれそうで

僕の夢が君に届く時 

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やるせない月 《詩》

やるせない月 《詩》

「やるせない月」

中空を静かに
ゆっくりと滑り降りる月

水の無い死んだ噴水

僕はマッチの炎の中に
夢を見ていた
少女の物語を思い出した

彼岸花が無表情に
夜空を見上げて

風が止んだ

取り止めのない夜

やるせない月

離れて行かなければいけない訳

上手く言えない伝えきれない

言葉にすれば

琥珀に溶けた結晶 《詩》

琥珀に溶けた結晶 《詩》

「琥珀に溶けた結晶」

振り返りまた前を向き 

下を向きそして天を仰ぐ

充満して行く煙と
静脈に溶けて行った半透明の結晶

砕き割り粉状にしたコーク 
塗り付ける粘膜

汚れてるけど綺麗だよ
濁ってるけど純粋だ

人はいつからだって生まれ変われる

なぁ そうだろう 
そうだったよな

星屑だらけの夜空に
お前の星を見つけた

Every doors leads to you

全ての

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夏祭り 《詩》

夏祭り 《詩》

「夏祭り」

そろいの浴衣 花の模様のうちわ

綿菓子 かき氷 
金魚釣り 缶ビール

太鼓の音 神社の鳥居

夜風が運んだ微かな石鹸の香り
後れ髪 

ずっと君に見惚れてた

もう直ぐ花火が上がるよ
楽しそうに笑う君

いつもより沢山の星が輝いて見える

夏の夜空を見上げた夏祭り

Photo : Seiji Arita

月の夜空 《詩》

月の夜空 《詩》

「月の夜空」

君の好きだって言ってたラブソング

うろ覚えの歌詞 
おどけて口ずさんだ

なんやそれ デタラメやん…
そう言って君は笑ったね

君の笑う声には魔法があって

遠く夜空に浮かぶ月に
手を伸ばせば届きそうに見えた

あの夜 満月 
水面に映る綺麗な光

夜空に浮かべた ふたりの言葉

僕は君に恋してる

あの日から 僕の月は沈まない

Photo : Seiji Arita

三日月の船 「詩」

三日月の船 「詩」

「三日月の船」

今夜 僕が夜空になれたなら

貴女を三日月の船に乗せ

あの星の先 
彼のところまで連れて行くよ

海に映る星の欠片

瞬く様に輝いて

今夜 世界を星で埋め尽くすから

もう会えたよね 

もうずっと一緒だよね

もう独りぼっちじゃない

Photo : Seiji Arita

夜の魔法 《詩》

夜の魔法 《詩》

「夜空の魔法」

いつもなら
目移りする夜の女神達

今夜はそんな気持ちになれないよ

甘い香りと魅惑の蜜
相手が欲しいだけなら
他をあたってくれ

夢から醒める前に
君を抱きしめたくて

三日月のベッドが揺れている

さっきまで一緒に居たのに

夜空の星が魔法をかけて
君の姿を星座が描く

Photo : Free Pic

明日の夢 《詩》

明日の夢 《詩》

「明日の夢」

花屋の彼女
降って来た言葉を紙に書いた

それを月明かりの下
ふたりで読んだ

昨日の夢は 花束を持った少年

今日の夢は 
ティンカーベルの彫刻が施されたドア

明日の夢は

僕は君の夢の話を聞くのが 
とても好きで
優しい時間は流れた

彼女に残る微かな花の香りと
声に包まれて

静かに星が瞬いた

Photo : Free Pic

煙草 《詩》

煙草 《詩》

「煙草」

ひとりの夜は煙草を吸う

煙の匂いに包まれる

寂しい夜は煙草を吸う

貴方と同じ銘柄の煙草を吸う

夜空の星が流れていった

会えない夜は煙草を吸う

静かに煙草は燃え尽きる

Photo : Free Pic

憧れの場所へ 《詩》

憧れの場所へ 《詩》

「憧れの場所へ」

ガードレールに座り
夢を見ていた

銀色のカメラ首からぶら下げた少女
少し茶色い髪を川風が揺らした

悲しい目をして歌ってる
此処より他の場所へ
憧れの場所へ
きっと行けるはず

メンソールを口にした少女

僕は君を見つめていたんだ
誰にも見向きもされないまま
ずっとこの場所で

捨てられた悲しみ
強い風と雨と
深い霧と闇に包まれながら

今夜 夜空の星が流れたら
迎えに行くよ

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