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イトウの徒然なるエッセイ

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記事一覧

告白する勿れは真か偽か

三島由紀夫の不道徳教育論を読む中で、一つ面白いコラムがあった。テーマは「告白するなかれ」。前の恋人が酷かっただの、家庭環境が不遇だのと、人は自分の境遇を告白しがちだが、(三島はこれを告白病と呼ぶ) ありのままの自分を愛して欲しいだなんてことはただの傲慢に過ぎない、とのこと。

また、話された方としては自分の人を見る目が無かったと自尊心を傷付けられ、誰も幸せにならないというのだ。誰しも人生が小説では

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働く事と生きるという事

働く事を考える時、イトウは父の背中を思い出す。イトウの知る限りでは、父はほぼ毎日働いている。真面目という言葉を実写化したとしたらこうなるんだろうなぁ、と思うような人だ。だからこそイトウは、父が饒舌に自分の好きなものを話す姿が本当に好きだ。幼い頃に親しんだ多くの虫達、夏に行った海と小さな魚達、胸を震わせた戦車と世界大戦、激動の時代を共に駆け抜けたロックンロール…。

父はイトウとイトウの弟に自分がな

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太宰治というダメ男

「死ぬ気で恋愛してみないか」
これは、共に入水自殺を図ることとなる山崎富栄を落とした太宰治の口説き文句である。彼はカルモチンの服毒で3度、首吊りで1度の自殺未遂をし、5度目の入水自殺で酒と芸術と女に溺れた39年の生涯を終えた。

彼は自殺をする時、何度も女性を道連れにしようとした。彼だけ生き残ることもあれば、共に生き残りそのまま別れることもあった。そして、最期は二人で晴れて死を成就した。しかしイト

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イトウの上京未遂について

イトウの人生は有数の気の利かない街である名古屋に始まり、ボタンのかけ違いが重なり大阪で働く事になり現在に至っている。今は朝起きたら穴を掘り、午後になったら穴を埋める。掘って埋めて掘って埋めてたまに飲んで。そんなかんじの気の利かない人生を送っている。

そんなイトウは東京に行くとちょっとだけ意識が高くなる習性がある。少し街を歩けば朝起きてから寝るまでの生活一コマ一コマ全てに値の張った「テイネイなクラ

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はじめまして、イトウです

日曜日の夕方って嫌ですね。ふと早く目を覚まして、よし今日はこれもやろう、あれもやろうと全てがキラキラして希望に満ちているように感じれるのに少しずつ時間が経つにつれて中途半端に物事が消化されるだけでどんどんと色を失くしてしまって行く感覚。 #村上春樹 さんが前に似たことを書いててすごくしっくりきた覚えがあります。

さて、色んなきっかけがあり気持ちも新たに2日前にnoteに登録して怪しげな鬱っぽい

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村上春樹とイトウ

#村上春樹 という作家はどうしても好きになれない。でもなぜか手に取ってしまう。 #風の歌を聴け にはじまり、 #騎士団長殺し が発売した日には本屋に走った。ふと本屋で手に取った #本当の戦争の話をしよう の訳者に彼の名前があった時には、「あ。この本は間違いない」なんて感じた。こんなに相反する想いを抱いている作家は他にいない。

イトウが村上春樹を好きになれないのは、その掴めなさだ。どこまでいっても

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