さんだるさんばる

大阪生まれ奈良育ち。新聞社を経て出版社勤務。理化学系の取材してます。旅行と中国と柴犬が…

さんだるさんばる

大阪生まれ奈良育ち。新聞社を経て出版社勤務。理化学系の取材してます。旅行と中国と柴犬が好き。新HSK6級。大学の専攻は中国史(東北の方)。

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記事一覧

コロナが私から奪ったもの

これまで定期的に海外に行っていたのは、なぜなのか。 遊びたいから、食べたいから、知りたいから、だと思っていた。 新型コロナが流行し、海外へ行くのが難しくなっても…

引き出しを、あけて

今年1月に友人から、家族旅行のお土産だと言ってもらった石鹸。大事に使わなきゃと思って箪笥にしまっていた。 今日、引き出しをあけて茫然とする。もう、その友人はいな…

「並びたがり」の日本人

右頬に、突如シミが現れた。 今までも小さなシミはあったが、これはかなり存在感がある。 鏡に映る自分の姿にうなだれながら、これを知人(日本人)に相談したらどうなる…

口下手な人間の会議対処法(というほどでもないが)

「ちょっと、言っていることがよく分からないので、書面で出して」 遠くに聞こえる上司の乾いた声。 あー、またやってしまった。私はとにかく話すのが苦手だ。 特に、会…

長崎とキリスト教信仰=神田千里著『島原の乱』を読んで

4月下旬に長崎へ行ってきましたが、写真の本は、その前勉強として購入したものです。この中で『原城と島原の乱』以外は、一通り読みました。 私が「長崎のキリスト教」に…

シリーズ深読み読書会 『敦煌』を見て

NHK BSプレミアムで不定期に放送されている「シリーズ深読み読書会」。 4月6日は、井上靖の『敦煌』でした。 人生に影響を与えた5冊のうちの1冊。 ひとまずビデオに撮り…

夫の海外赴任が決まった日の、不安定なアップダウンを忘れないための記録

夫の海外赴任が決まった。 実は、少し前から話はあった。決まったと仮定して悩んだ結果、「ついて行かない」ことで気持ちは固まっていた。 しかし今日、昼に主人からのLI…

めげずに続けよ、未来はある

15歳から男性多数の世界にいたが、22歳までは男性はただ数が多いだけで、全て対等だと思っていた。 でも、22歳を過ぎて状況は変わり、いつの間にか、大多数の男性に囲まれ…

年賀状を出す理由、出さない理由

また、この季節が来てしまった。 数年前に「年賀状、書きません宣言」をぶちまけたものの、家族・親戚には送らないといけないし、ありがたく送ってくれる友人たちへはお返…

三重大学の環境人材育成講座を始めてみる

自分を高めるために大学院へ行ったり、資格を取ったりする方が多い中で、どうしてもその一歩が踏み出せず、いまだに、持っていても話せない語学資格とか、持っていることに…

沢田研二さんのドタキャン騒動について

この騒動を聞いて思ったのは、私には絶対的スターがいなかったなということ。大階段を歩くスターを、その真下から、両手を合わせながら見上げるようなことは一切なかった。…

「ついつい話してしまう」が理想的

人に話を聞くときに、相手の想定より多くを語ってもらってこそ意味がある。 そのため、尋ね方には細心の注意を払っているつもりだが、それでもやはり至らない部分があり、…

誰かを傷つけてはいけない、ただそれだけ

「新潮45」の問題の背景には、雑誌が売れない時代に先鋭的な意見を集めて、一定の支持を得たいという狙いがあったのは間違いないだろうが、編集部が「営業」と割り切って部…

あきらめ感に抗うには

友人と話していて、結局最後は泣いているというシーンは珍しくない。 昔から私はよく泣いた。言葉でうまく表現できないので、気持ちが言葉を追い越してしまい、それが涙と…

「の」か「に」か

『地図のない場所で眠りたい』(高野秀行、角幡唯介著)は、ノンフィクション作家で、同じ早大探検部OBの2人による対談本。対談本は編集が容易なので、あまりお金を出して…

嫌いな「写真」を好きになるまで

私は写真が苦手だった。今も本音を言えば、あまり得意ではない。文章なら後から修正できるが、写真は一瞬を逃すとおしまいであり、その緊張感に滅入ってしまうこともしばし…

コロナが私から奪ったもの

コロナが私から奪ったもの

これまで定期的に海外に行っていたのは、なぜなのか。

遊びたいから、食べたいから、知りたいから、だと思っていた。

新型コロナが流行し、海外へ行くのが難しくなっても、さして困難はなかった。日々の生活を過ごし、いつか解放される日が来ると信じるだけで生きていけた。

でも今日。撮りだめたドラマが終わったので、以前撮った旅行番組を見ることにした。中国・雲南省を撮影した番組だ。

好きな番組だったので、過

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引き出しを、あけて

引き出しを、あけて

今年1月に友人から、家族旅行のお土産だと言ってもらった石鹸。大事に使わなきゃと思って箪笥にしまっていた。

今日、引き出しをあけて茫然とする。もう、その友人はいないのだ。あの時目の前にいて、笑っていた人はもういない。

何度言い聞かせてもついていけない。時折道端にうずくまり、体から絞り出るように涙が溢れる。

あれほど健康だった人の心臓が止まるとは。病魔はどれほど強いのか。

最後まで優しく、鋭か

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「並びたがり」の日本人

「並びたがり」の日本人

右頬に、突如シミが現れた。

今までも小さなシミはあったが、これはかなり存在感がある。

鏡に映る自分の姿にうなだれながら、これを知人(日本人)に相談したらどうなるだろうと考えた。きっと、こうなるだろう。

「そんなの全然気にならないって、大丈夫。○○さんなんて、もっと大きなシミがあったり・・・」
「私たちの年代だったら普通だから。私もココやココにも・・・」

気遣いはありがたいが、本音のとこ

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口下手な人間の会議対処法(というほどでもないが)

口下手な人間の会議対処法(というほどでもないが)

「ちょっと、言っていることがよく分からないので、書面で出して」

遠くに聞こえる上司の乾いた声。

あー、またやってしまった。私はとにかく話すのが苦手だ。
特に、会議で自分の企画を論理的に説明し、理解を得るという作業の失敗率はかなり高い。

社会人として致命的だし、キミよく記者やってるよねと思われるだろう。でも、言いたいことがあれこれ出てきて、それを言葉にしないと気が済まないのだ。

一方、一息つ

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長崎とキリスト教信仰=神田千里著『島原の乱』を読んで

長崎とキリスト教信仰=神田千里著『島原の乱』を読んで

4月下旬に長崎へ行ってきましたが、写真の本は、その前勉強として購入したものです。この中で『原城と島原の乱』以外は、一通り読みました。

私が「長崎のキリスト教」に関心を持ったのは、直接的には広野真嗣著「消された信仰」を読んだことがきっかけです。ただ、それ以前より、島原の乱(1637年)には惹かれるものがあり、それは、圧倒的な権力の下で人々はどう生きていくのか、どう自己表現していくのかという点で、1

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シリーズ深読み読書会 『敦煌』を見て

シリーズ深読み読書会 『敦煌』を見て

NHK BSプレミアムで不定期に放送されている「シリーズ深読み読書会」。
4月6日は、井上靖の『敦煌』でした。

人生に影響を与えた5冊のうちの1冊。
ひとまずビデオに撮り、1度見ただけでは理解しきれず、続けて2度見て、やっと咀嚼できるようになりました。

最も頷いたのは、この作品が井上自身の自伝小説であるということ。

科挙に失敗する主人公・趙行徳と、医学部受験に失敗し、最後は文学部哲学科

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夫の海外赴任が決まった日の、不安定なアップダウンを忘れないための記録

夫の海外赴任が決まった日の、不安定なアップダウンを忘れないための記録

夫の海外赴任が決まった。

実は、少し前から話はあった。決まったと仮定して悩んだ結果、「ついて行かない」ことで気持ちは固まっていた。

しかし今日、昼に主人からのLINEを見たとき、うわずったような「ウソ…」の声とともに、いてもたってもいられなくなり、階下のローソンへ走った。酒でも呷りたい気分だったが、さすがにまずいので、10年に一度くらいしか買わないコーラを買って、飲み干した。

いつも文章を書

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めげずに続けよ、未来はある

めげずに続けよ、未来はある

15歳から男性多数の世界にいたが、22歳までは男性はただ数が多いだけで、全て対等だと思っていた。

でも、22歳を過ぎて状況は変わり、いつの間にか、大多数の男性に囲まれながら、分かったような顔をして相槌を打つ習慣が身についてしまった。どうせ私が何を言っても、「頑張ってるお嬢ちゃん(今はおばさん)」としか見られない。

だから、書いた記事を見て驚く人もいたけど、評価はありがたいと思いつつ、よくよく

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年賀状を出す理由、出さない理由

年賀状を出す理由、出さない理由

また、この季節が来てしまった。

数年前に「年賀状、書きません宣言」をぶちまけたものの、家族・親戚には送らないといけないし、ありがたく送ってくれる友人たちへはお返ししたいしで、結局、私の年賀状は細々と続いている。

ただの物臭である。

黒の水性ペンがないとか、今日は寒いからとか理由をつけて、いつも後回しになる。

宛先をExcelに打ち込むことすら面倒なので、宛名も漫然と手で書き続けているという

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三重大学の環境人材育成講座を始めてみる

三重大学の環境人材育成講座を始めてみる

自分を高めるために大学院へ行ったり、資格を取ったりする方が多い中で、どうしてもその一歩が踏み出せず、いまだに、持っていても話せない語学資格とか、持っていることに意味がない資格ばかりの私。

文学部卒なんてそんなもんだよなと、世の中の文学部生の反感を買いそうな理由でここまできましたが、ようやく関心のあるテーマを見つけました。

仕事で大学回りをしているときに、三重大学が社会人向けの環境人材育成講座「

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沢田研二さんのドタキャン騒動について

沢田研二さんのドタキャン騒動について

この騒動を聞いて思ったのは、私には絶対的スターがいなかったなということ。大階段を歩くスターを、その真下から、両手を合わせながら見上げるようなことは一切なかった。

私は、強いて言えばSMAP世代で、アイドルがバラエティに進出し、神秘的な存在からどんどん親近感のある存在になっていった。

その後、「会いに行けるアイドル」としてAKB48らが登場し、さらにSNSの普及で、アイドル自らが発信するようにな

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「ついつい話してしまう」が理想的

「ついつい話してしまう」が理想的

人に話を聞くときに、相手の想定より多くを語ってもらってこそ意味がある。

そのため、尋ね方には細心の注意を払っているつもりだが、それでもやはり至らない部分があり、ICレコーダーを聞き直しては反省といった毎日だ。

どうすれば、相手は話してくれるのだろうか。

私の場合、まずその場を楽しくすることに意を注ぐ。取材と言えば、どんな方であれ少しは緊張されるので、私の方からよく笑うようにして場を和

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誰かを傷つけてはいけない、ただそれだけ

誰かを傷つけてはいけない、ただそれだけ

「新潮45」の問題の背景には、雑誌が売れない時代に先鋭的な意見を集めて、一定の支持を得たいという狙いがあったのは間違いないだろうが、編集部が「営業」と割り切って部数をかき集めているのか、本心から支持しているのかでは評価の質が異なってくる。

当初私は前者であろうと考え、出版業として誉められたものではないが、大手出版社も苦境なのだと同情する部分はあった。しかし、今回改めて「反論」を掲載したことで、編

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あきらめ感に抗うには

あきらめ感に抗うには

友人と話していて、結局最後は泣いているというシーンは珍しくない。

昔から私はよく泣いた。言葉でうまく表現できないので、気持ちが言葉を追い越してしまい、それが涙となってあふれてくる。

でも最近は、少し違っていた。涙に至らない会話が増えてきたせいだろう。誰かや何かを強烈に好きになったり、嫌いになったりすることもなく、良くも悪くも安定し、時間は淡々と過ぎていた。

◇        ◇

先日、大阪

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「の」か「に」か

「の」か「に」か

『地図のない場所で眠りたい』(高野秀行、角幡唯介著)は、ノンフィクション作家で、同じ早大探検部OBの2人による対談本。対談本は編集が容易なので、あまりお金を出して買いたくなかったが、先日読んだ高野氏と清水克行氏による『世界の辺境とハードボイルド室町時代』が面白かったので、読んでみることにした。

高野氏の本は結構読んでいるが、角幡氏のものは『空白の五マイル』のみ。新聞記者方式の取材で事実を固める角

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嫌いな「写真」を好きになるまで

嫌いな「写真」を好きになるまで

私は写真が苦手だった。今も本音を言えば、あまり得意ではない。文章なら後から修正できるが、写真は一瞬を逃すとおしまいであり、その緊張感に滅入ってしまうこともしばしばだ(どんなに弱いんだ、私)。

これは新聞社時代のトラウマが大きい。入社した当時はフィルムとデジタルを併用していた頃で、写真部出身の上司はデジタルが好きじゃなかったらしく、「写真はフィルムだろ」と常々言っていた。だから、しばらくは支局のカ

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