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自分を消しながら、見たものを伝える

自分を消しながら、見たものを伝える

「うわー、こんな同行者がいたらいやだな」

『イスラム飲酒紀行』(高野秀行著、講談社文庫)を読んだ際の率直な感想だ。旅には、計画と同じくらい重要な「流れ」があって、「流れ」を感じたらまず「乗る」のがセオリーだ。

しかし、この高野氏は、旅が目的に沿ってうまくいきそうになったところで、「それより、酒はないですか」と切り出し、「流れ」を断ち切る。頭を抱える仲間の様子が目に浮かぶようだ。

この本は、飲

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立場茶屋と中山道の香り

立場茶屋と中山道の香り

もはや、18きっぷ旅でも何でもない私の旅は順調に続き、最終日は木曽八景の1つである「寝覚の床(とこ)」へ足を運んだ。

龍宮城から戻った浦島太郎が、放浪の末にこの地を訪れ、玉手箱を開けて「目が覚めた」という言い伝えから、その名前が付いたらしい。今も伝説を語り継ぐ「浦島堂」が残っている。

朝の出発時。体の半分ほどあるリュックサックを預けようと旅館にお願いしたら、「もちろんお預かりしますが、木曽福島

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美濃太田のスペシャルランチ

美濃太田のスペシャルランチ

午前に下呂温泉を出発し、飛騨路を南下。列車は飛騨金山駅から美濃路に入った。木曽川沿いの山あいの道を抜け、美濃太田駅に着いたのが正午前。ここで人と待ち合わせをしていた。

大学時代の後輩が、お盆で美濃太田の実家に帰省しているという。ちょうど時間も合うので、一緒に食事をすることになった。

ただ孤独と向き合う旅、人と会話することすら珍しい旅で、こんなサプライズが待っているとは思いもしなかった。

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酸辣湯と上海炒麺

酸辣湯と上海炒麺

海外で1人になった時、一番困るのは食事だ。現地のグルメは楽しみたいし、食べられるだけ食べたい。でも、1人ではせいぜい2種類。それも完食は厳しいから、結局は巷の麺屋で麺をすすったり、スーパーで惣菜を買ってホテルで食べたりする。

今日から中国の長春へ行く。中国東北部吉林省の省都で、日本が作った満州国の首都だったところ。年に一度、主人から許された海外一人旅だ。

グルメ計画はほとんどないが、ひとまず食

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重慶小麺

重慶小麺

目的地の長春へ着き、ホテルにチェックインして、明日早朝の高速鉄道(新幹線)の切符を取りに長春駅へ向かった。駅へは、ホテルの最寄り駅から地下鉄で2駅。あっという間に着く。

切符の引き取り(購入自体は事前にネットで行った)など明日でいいと普通は思うが、中国の切符売り場はとにかく混む上、発車の少なくとも30分前にはすべての手続きを終えて、駅構内の待合室に着くべきという暗黙のルールがある(多分)。

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酸辣粉

酸辣粉

昨日の小麦麺が翌朝まで尾を引き、2日目の朝は全く食欲がなかった。昼になりようやく小腹がすいてきたので、吉林駅駅前の食堂で酸辣粉(15元=253円)を食べた。

▲入った駅前の食堂

太めの春雨(中国では「粉」という)に、酸辣湯をかけたもの。日本の食品メーカーの明星が「酸辣はるさめ」を即席カップで出しているが、あれを30倍くらい辛く、熱くしたものと考えてほしい。

▲酸辣粉

今回の旅はとにかく時間

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パウラナー ヘーフェヴァイス

パウラナー ヘーフェヴァイス

昨日からの食費が、全部で29元(約490円)という状況だったので、最後の晩くらいは贅沢をしようと思ったが、そもそも中華料理は大勢で楽しく食べるものであり、一皿大盛りがお約束。

1人で高級中華に入って、注文しまくって、残しまくることもできるが、そんなことをよそ様の国に来てしたくない。

それで、結局飲みに来た。中国の文化は好きだが、酒の文化はヨーロッパに軍配が上がる。

長春随一の老舗高級ホテル、

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ミニチキンラーメン、ミニカップヌードル

ミニチキンラーメン、ミニカップヌードル

薄々予感していたが、やっぱりこうなった。最後の晩餐は、日本から持ってきた彼らになった。間違いなく美味しいし、荷物を減らすのにも役立った。が。

これには長春という街の特性も影響している。前回の投稿で、溥儀が暮らした偽満皇宮を少し紹介したが、長春には、旧満州国時代に日本が中心となって建てた行政機関の建物がそのまま残っている。特に市の中心部は「満州国の霞ヶ関」さながらの雰囲気で、街にずっしりとした重み

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太平洋珈琲 ブラックコーヒー

太平洋珈琲 ブラックコーヒー

長春空港までは、長春駅から高速鉄道で行った。空港最寄りの龍嘉駅までは約15分で着く(1等席、15元=約253円)。関空から大阪駅までが15分と考えると、いかに便利かが分かる。

▲新幹線の車内

ただ、中国の鉄道切符を買うにはパスポートがいる。しかも、窓口で買うしかないので、空港に到着してすぐに闘いが待っている。

闘いと言っても、国鉄スタッフの質は以前よりは向上しているし、特に若い人は話が早い。

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満洲族物語

満洲族物語

長春行きに関し、今まで食事のことしか書いてこなかった。しかもお世辞にもグルメとは言い難い、お役に立たない情報ばかりで申し訳ない。

この回は少しだけ真面目に、なぜ私が長春に行ったのかについて触れてみたい。

まず、皆さんは長春と言えば、何を思い出すだろうか。

学校で習った満洲国の首都があった場所。最近では中国自動車産業の中心地であり、第一汽車(一汽)の拠点もここ長春だ。あと、長春のある吉林省は北

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中国高速鉄道のセキュリティ管理

中国高速鉄道のセキュリティ管理

中国から帰ったら、日本の新幹線で起こった痛ましい殺傷事件のニュースが報道されていた。新幹線は、私たちの生活になくてはならない交通機関であり、その衝撃は計り知れない。

しかし一方で、新幹線は、超高速で走る逃げ場のない密室であり、そう考えれば、今まで事件が起こらなかったことが奇跡だったとも言える。

ここ数日、私は中国の高速鉄道に乗り、その都度、手荷物検査と身体検査(検査棒を体に当てる)を受けた。駅

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長野県松本市にある「茜宿」さんに泊まりました。犬と一緒に本格的な温泉を堪能できる素晴らしいお宿です。温泉から見下ろす景色、北アルプス、街の夜景、全てが最高でした。お料理も美味しかったです。https://akanejyuku.com/ #柴犬 #犬と一緒 #松本市 #茜宿

飛騨路を越えて

飛騨路を越えて

昨日からお盆休みに入ったので、去年同様に18きっぷの旅に出ている。もちろん1人。主人は仕事のため、獅子丸(我が家の犬)と一緒にお留守番だ。主人には、獅子丸に変なものを食べさせないように強く言ってきた。変なもの=人間が旨いもの、なのだが、このままではグルメ犬まっしぐらであり、犬の体にも恐らく良くない。

さて、旅。大阪を早朝に出発し、米原、岐阜、美濃太田を経て、正午前には下呂温泉に着くはずだった

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飛騨古川のファブラボ

飛騨古川のファブラボ

突発的なひらめきで、途中ショートカットして飛騨古川に来た。白壁土蔵造りの町並みで有名だが、最近は映画「君の名は」の聖地としても賑わっているようだ。

ここでナイスなファブカフェを見つけたので少し紹介する。

「FabCafe Hida」は 100年以上前から残る商家の豪邸を改築し、約2年前にファブラボ兼カフェとしてオープンした。

まずは、趣きある格子戸の店構えに目を奪われる。玄関から一歩中に入る

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