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中国高速鉄道のセキュリティ管理

中国から帰ったら、日本の新幹線で起こった痛ましい殺傷事件のニュースが報道されていた。新幹線は、私たちの生活になくてはならない交通機関であり、その衝撃は計り知れない。

しかし一方で、新幹線は、超高速で走る逃げ場のない密室であり、そう考えれば、今まで事件が起こらなかったことが奇跡だったとも言える。

ここ数日、私は中国の高速鉄道に乗り、その都度、手荷物検査と身体検査(検査棒を体に当てる)を受けた。駅によっては、切符売り場が駅構内にあることもあるので、その場合は、切符を買うだけであっても、検査を受けなければならない。

▲吉林駅

例えば、長春駅の切符売り場は駅の外から入れるため、購入時に検査を受ける必要はないが、吉林駅は駅の中にあるため、切符の購入だけであっても検査を受ける。

さらに、切符は実名制であり、購入には身分証(日本人の場合はパスポート)がいる。また、駅構内に入った後、待合室に入る段階で、身分証の記載内容と、切符に記された名前、身分証番号が一致しているかどうかを確認される。

身分証には写真が付いているため、他人の身分証を使って乗ることはできない。つまり、何か問題があれば、座席の確認で乗客が誰かが分かることになる。

▲長春駅の待合室

また、中国では、高速鉄道だけでなく、地下鉄でも当たり前のように手荷物検査と身体検査が実施されている(さすがに実名制ではない)。長春の地下鉄では、手荷物を検査機に通した後、中にあったミネラルウオーターを取り出して成分まで調べていた。イメージは日本の国内線である。

こうした検査システムは、私の記憶では、2008年の北京五輪前のテロ対策として、一気に導入が広がった。それまではものすごく野放しだったのに、ある日を境にものすごく厳しくなった。乗客は、最初こそぶーぶー文句を言うが、お上の言うことには逆らえない。

▲長春の地下鉄、偽皇宮駅の構内

今回の殺傷事件を期に、検査機導入を求める声は高まるだろう。しかし、新幹線の長所は、切符を買ってすぐに乗れること。10分おきくらいの頻度で列車が来ることであり、乗車前検査の導入は、(対飛行機として)大きな強みを失うことになる。

中国の場合、駅などの公共交通施設は無駄に広く造ってあるので、こうした検査機も後付けで簡単に設置できる。でも、日本の新幹線はどうだろう。そもそも、そんな想定をしていないので、敷地を目いっぱい使っている印象がある。

利便性をとるのか、安全性を重視するのか。性善説と性悪説の狭間で、JRはどんな結論を出すのだろうか。

#中国 #高速鉄道 #手荷物検査 #新幹線 #セキュリティ