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Les poèmes

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2021年2月の記事一覧

Terminal

Terminal

いつだって完璧を求めていた
完璧主義の私が完璧だったことなんて
なかったのかもしれない
だって完璧って何かわからないんだもの

自分の中の最高
自分から見た最高
他人から見た最高
他人の中の最高

でも他者が存在する限り
最高なんてどこにも無くて
最高は完璧に行くための駅だと思ってたんだけど
最高っていうのは行き先のわからない列車だった

でもある方法なら行き先を変更できる
上手くいけば完璧にだっ

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宇宙のおはなし

宇宙のおはなし

どんな形か
いつやってきて
いつ終わりが来るのか
見えないものが来たる時には
偉大さを称えてくれた

「貴方はいつも努力しています
私の何倍も頑張っています
こうして人々の目が届かない時でさえ
光を放ち続けているのですから」

闇を与え
熱を与え
多くを殺してしまいと嘆いた時には
救われたものも多いと教えてくれた

「私は貴方がいなければ
人々からは見えません
人から存在を認めてもらえないこと

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Ave Verum Corpus

Ave Verum Corpus

朝に浮かぶあの真っ白なお月様を見たことがありますか
黄色に輝く月より、あの不思議な球体が好きです

お昼に吹くあの冷たい風をご存知ですか
その肌に触れる匂いはどこから来たのでしょう

夕暮れにあの空を染めたのは誰ですか
父が言っていました、一瞬なんだって

真夜中に動くあの雲はどこに行くのですか
ばれないようにこっそりと動いて

好きだけど、ずっとそばに置いておくことができるものは少ない
嫌いだけ

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そのライオン

そのライオン

そのライオンは人気者だった。
強くてかっこよくて、みんなのリーダーだった。
家族も友達も、みんなが大好きだった。

そのライオンは頑張り屋さんだった。
算数も1番、かけっこも1番、そして仲間想いだった。
いつも誰かが周りにいて、いつも誰かが褒めてくれた。

そのライオンは目を覚ました。
真っ黒な何かが追いかけてきた。
助けてと大きな声で言ったけど、誰も返事はしてくれなかった。

そのライオンはお母

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Rhapsody on a Theme of Paganini : Var.XVⅢ

Rhapsody on a Theme of Paganini : Var.XVⅢ

いつかその日まで
希望は平穏を 平穏は優しさを

あなたは青い海がキラキラと輝くその時間を知ってるの?
あなたは夕方の空に浮かぶあの月を見たことがあるの?
あなたは生き物が踏みしめる地面に触れたことはあるの?

窓辺に小鳥のさえずり
吹き抜ける風と木々がささやく

毎朝の歌が懐かしい

どこかへと向かう兵士の流れ
何列にも並んだ馬が騒がしく駆けていく

肺いっぱいに空気を詰め込んだあの日を思い出す

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デイモオ

デイモオ

あの、食いしん坊が死んだ時
あなたも息を呑んだかしら

あの、田舎者が死んだ時
あなたも手で顔を覆ったかしら

あの、大馬鹿者が死んだ時
あなたも涙をこぼしたかしら

彼女について語り合うことはもうない
数ヶ月前に逆輸入されたばかりの
ジャパニーズカルチャー
私、毎週観てるんだけど

それが好きなのか
どこか、あなたを忘れられないだけか
オモイデって、なんて言うのかも知らないけど

そんなのって

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C’est naturel

C’est naturel

花びらが
ひらひらと舞い落ちるような
柔らかくて穏やかなその声は
悲しみを何処へと

お日さまが
大地を目覚めさせるような
暖かくて優しいその仕草は
平穏を此処へと

そよ風が
新しい頬を遊ぶような
くすぐったいその顔立ちは
胸を弾ませるには充分で

秘密だからと慎重な指先が
袖を君へと寄せる
ショートカットに変わりはないのに
飽きの来ない
よく似合ったオーバーオール
キラキラと輝く目元
えっと、

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ロジック・ジャンパー

ロジック・ジャンパー

月、見えない闇
フロントガラス
雨、流れる歌

組まれた指
ウールのジャンパー
無数の赤

横顔、鋭い眼差し
その寒さの
孤独さ、色の抜けた愛

青のロジック
あなたの記憶

Âme sœur

Âme sœur

大雨の中、びしょ濡れになって唇を重ね
AIが人を愛することができるかを一晩中語り合う
過去に生まれ変わってもまた会おうと
その口から出る全ての言葉は優しく私をいだく

詩を読み 歌を歌う
手紙に記された愛おしさを指の腹でなぞる
ああ、ルシファーに嫉妬してしまうようなお人よ
ニケは貴方のようにお美しい方なのか

その青く麗しい瞳のこぼすそれは
いったい何にその心を奪われたのか

その栗色に波打つ毛の

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3月の気持ち

3月の気持ち

「どれどれ」
そう言って携帯を覗くあなたの
背景には何があるのだろうか

いくつの恋愛があり
いくつの音楽を聴き
いくつの旅をして
いくつの夜を独り過ごしたのだろう

その身に詰まる知恵は
どれだけの人が分け与えられて
その口から出る言葉は
どれだけの重さを持ってきたの

私は知ってる 気づいてる
貴方が私たちを動かしていること
それでも幸せで楽しいなら
幻覚でも良い 嘘でも良い

あと何日かだけ

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