そのライオン
そのライオンは人気者だった。
強くてかっこよくて、みんなのリーダーだった。
家族も友達も、みんなが大好きだった。
そのライオンは頑張り屋さんだった。
算数も1番、かけっこも1番、そして仲間想いだった。
いつも誰かが周りにいて、いつも誰かが褒めてくれた。
そのライオンは目を覚ました。
真っ黒な何かが追いかけてきた。
助けてと大きな声で言ったけど、誰も返事はしてくれなかった。
そのライオンはお母さんを見つけた。
助けてと言うライオンにお母さんは言った。
「お前はやっぱり弱かったんだね。」
そのライオンは寂しくなった。
誰も助けてくれない、誰もそばに居てくれない。
ずーっとひとりぼっちだと思った。
そのライオンは泣いた。
寂しいよ、怖いよ、動けないよ。
そこに、もう1匹のライオンがやってきた。
そのライオンは外の世界に住んでいた。
僕も寂しい、怖い、動けない。
君は一人じゃないよ。
そのライオンは僕のことをぎゅーって抱きしめてくれたんだ。
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