203号室

唄って 綴って 暮らしています。

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00.ごあいさつ

はじめまして。 生活感漂う こちらの写真は 私のベッド写したものです。 大学へ行かなければならない。 でも、なんだか今日は 行きたくないなあ。 そんな葛藤をして ベ…

203号室
3年前
53

42. 玻璃戸の梅雨

梅雨がはじまった。 らしい。 いつもより少し遅めの梅雨みたいで、私はふと思い出した。 梅雨に入ると思い出すこと。 すっかり忘れていたこと。 夏の短夜に台所でひと…

203号室
13日前
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41.瑪瑙

朝のベッドでめぐらせる 私計画。 長い信号機の赤で どうでもいいことを考えている。 低空飛行のつばめ 風にとけるブランケットの音。 街中に落ちている靴の ものがた…

203号室
1か月前
8

40.岸辺の旅

風に乾く海岸線。 夜の海は静けさの中。 小刻みに震えるのは私の細胞のひとつひとつ。 ぬるいココアをコンビニで買った。 横切る店たちのあたたかい灯りが 瞳孔をすぎ…

203号室
6か月前
4

39.湯、燦々

久しぶりに湯につかった。 乳白色の入浴剤を入れた湯から 立ち上る湯気。 私はそもそも 暑いのが苦手で 湯につかることもそんなに好きじゃないし 何よりちょっとめん…

203号室
9か月前
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38.薄羽蜉蝣

やらなければいけないことが山積みになって 夏の暑さで腐っている。 それを考えることさえも億劫で 頭の片隅において 見なかったことにしている。 港で海風に吹かれる…

203号室
11か月前
3

37.夏雲の午前

車窓から見えるのは夏雲。 こんなに燦々としているのに 12時頃にゲリラ雨がふるらしい。 朝の日差しで白く輝いている家々は これから雨が降るのをわかってないみたい。…

203号室
1年前
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36.草木と雨と

今日はざあざあ雨。 頭もいたい。 雨はきらいじゃないけれど 今日の雨は鬱鬱としていてなんだかいやだ。 体調の良くない私が寝転がっているかたわら、 外では やった…

203号室
1年前
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35.ソーダ色の春

9分咲き。3月ももう終わる。 連なる桜が不安を煽る。 グミを食べても、 青いソーダ味だけを無意識に残してしまう。 最後の1個を食べた。 私だって馬鹿だけど お前ら…

203号室
1年前
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34.ゲンダイテキやんぐくらんけ

さっき矯正した視力で、世界がよく見える。 いつもはぼんやりと世界を見ているから、 ぼんやりとした性格になってしまったのだろうか。 がー。やる気が起きない。 やら…

203号室
1年前
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33.半月の夜

夜風が冷たすぎるのは ここ最近の体温が高かったから。 あぶない。あぶない。 ちょっと気を抜くと あと何回夜を越えればって数え出す。 瞳が綺麗だね。撮ってもいい?…

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1年前
3

32.ゆびきり

指を切った。 いたい。 あーあ、朝から早起きしてがんばったのに。 心の奥。シャワーの音がしみる。 今日はシャーペンの芯もよく折れる。力みすぎてる。 白線だけを踏…

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1年前
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31.群青東京

金木犀の香りも弱まる午前。 海風が強く吹いて、くるくるの長い髪をゆらしながらてくてく歩いている。 視界でチラついてイラつくこともあるけれど、なんだかんだ愛おしく…

203号室
1年前
9

30. 杪夏 生きとし生けるもの

相も変わらず、お日様はコンクリートを焦がしている。 でも、まあ、昨日よりもマシだよな。 横たわるベッド。 外の蝉時雨が 心の空白で振動する。 まだなかば。 蝉の声…

203号室
1年前
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29. 杪夏 7日目の蝉

朝、携帯に連絡が入った。 「祖父が朝方亡くなりました。」 近い未来に来るだろうと覚悟はしていたが、まさか今日だとは思わない。 でもそれが死というものなのか。 知…

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1年前
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28.解夏

ぬるい風が体にまとわりついて気持ち悪い。 にじむ汗もかわかない。 草木め。心地よさそうに青々としやがって。 この暑すぎる夏にときめけるには、私はまだ若すぎる。 …

203号室
2年前
5
00.ごあいさつ

00.ごあいさつ

はじめまして。

生活感漂う こちらの写真は 私のベッド写したものです。

大学へ行かなければならない。
でも、なんだか今日は 行きたくないなあ。

そんな葛藤をして ベッドの上で もぞもぞ 手足をうごかし、ぐちゃぐちゃになった布団。

それがなんだか、 アラスカの風景に見えてしまって、思いを馳せているうちに am.8:30

大急ぎで支度をして いつもどおり、海風で錆びついたママチャリのペダルを

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42. 玻璃戸の梅雨

42. 玻璃戸の梅雨

梅雨がはじまった。

らしい。

いつもより少し遅めの梅雨みたいで、私はふと思い出した。

梅雨に入ると思い出すこと。

すっかり忘れていたこと。

夏の短夜に台所でひとり こそこそとすること。

赤紫蘇の葉をちぎる。

青梅のへたをとる。

水道から流れる 透きとおった水で泳がせる。

あけた窓から、雨音と一緒に水っぽい風が流れこむ。

とても手間がかかって、正直にいうと面倒だと思ってしまう。

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41.瑪瑙

41.瑪瑙

朝のベッドでめぐらせる 私計画。

長い信号機の赤で どうでもいいことを考えている。

低空飛行のつばめ 風にとけるブランケットの音。

街中に落ちている靴の ものがたりに名前をつける。

人工物に絡みつく みどりの侵略。

奪ったなら からなず奪い返されるんだな。

弦を弾いた時の音には 私の気持ちが乗っている。

毎夏、太陽のしわざで 皮膚がめくれる度大人になっていく。

太陽が目に残して

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40.岸辺の旅

40.岸辺の旅

風に乾く海岸線。

夜の海は静けさの中。

小刻みに震えるのは私の細胞のひとつひとつ。

ぬるいココアをコンビニで買った。

横切る店たちのあたたかい灯りが

瞳孔をすぎていく。

多分、私は今ほつれていて

編み直すのにちょっと時間がかかりそう。

人は人にすぐ何かを言うけど

人は人をそんなにちゃんと見ていない。

だから、そんなことどうだっていい。

そんなこと言いながらも

どこかで気にし

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39.湯、燦々

39.湯、燦々

久しぶりに湯につかった。

乳白色の入浴剤を入れた湯から

立ち上る湯気。

私はそもそも

暑いのが苦手で

湯につかることもそんなに好きじゃないし

何よりちょっとめんどくさいと思ってしまう

1人暮らしを始めて5年。

湯につかる習慣はなくなった。

最近、色々なことが重なって

少し考えすぎてしまう。

未来、変わっていくもの、生活、不安。

湯を撫でる。垢を剥がすように。

当たり前すぎ

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38.薄羽蜉蝣

38.薄羽蜉蝣

やらなければいけないことが山積みになって

夏の暑さで腐っている。

それを考えることさえも億劫で

頭の片隅において

見なかったことにしている。

港で海風に吹かれる。

山にかかる雲影はゆっくりと向かってきて

やがて私にかかる。

一瞬のやすらぎ。

知らない町の夏祭りは

ひかえめな花火が打ち上がって

小さな町を照らす。

さっきまで鳴いていた

ひぐらしもびっくりしちゃったかな。

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37.夏雲の午前

37.夏雲の午前

車窓から見えるのは夏雲。

こんなに燦々としているのに

12時頃にゲリラ雨がふるらしい。

朝の日差しで白く輝いている家々は

これから雨が降るのをわかってないみたい。

見下ろす街には日傘を指す人達。

あの日傘が午後には傘に変わるって想像すると

なんだか面白い。

昨日からなんだかついてない。

いいことは続くし

悪いことも続くのはなんでだろう。

がああ。

私の隣では細身の男の人が

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36.草木と雨と

36.草木と雨と

今日はざあざあ雨。

頭もいたい。

雨はきらいじゃないけれど

今日の雨は鬱鬱としていてなんだかいやだ。

体調の良くない私が寝転がっているかたわら、

外では やった! って

草木たちが喜んでいるに違いない。

少し前から、自然豊かな環境に一時的に身を置かせてもらっていて

行き詰まってしまった音楽制作に没頭している。

夜になると蛙が歌い出したり

田んぼにさかさまに映る風景だったり

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35.ソーダ色の春

35.ソーダ色の春

9分咲き。3月ももう終わる。

連なる桜が不安を煽る。

グミを食べても、

青いソーダ味だけを無意識に残してしまう。

最後の1個を食べた。

私だって馬鹿だけど

お前らほど馬鹿じゃない。

こんなくだらない毎日でも

洗濯物はたなびくし、

信号機も点滅する。

自分のこと、生きていくために

もがくのに精一杯。

いつからか

視界の端っこで流れていく景色にも敏感になって

部屋の端っこ、

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34.ゲンダイテキやんぐくらんけ

34.ゲンダイテキやんぐくらんけ

さっき矯正した視力で、世界がよく見える。

いつもはぼんやりと世界を見ているから、

ぼんやりとした性格になってしまったのだろうか。

がー。やる気が起きない。

やらなきゃいけないこと、分からないことばかりで疲れてしまう。

前から分かってはいたけど、ここまで非力が浮き彫りになると落ち込む。

随分と過保護に守られていた事を実感する。

感謝感謝です。マイペアレンツ。

1人で生きなきゃいけない

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33.半月の夜

33.半月の夜

夜風が冷たすぎるのは ここ最近の体温が高かったから。

あぶない。あぶない。

ちょっと気を抜くと

あと何回夜を越えればって数え出す。

瞳が綺麗だね。撮ってもいい?って。

そんなこと言って貰ったこともないし、好きじゃない自分の瞳。

それもなんだか好きになれそうな気がする。

声とか。味とか。匂いとか。仕草とか。

空とか。月とか。星とか。歩いた道とか。

忘れられない。忘れないように。

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32.ゆびきり

32.ゆびきり

指を切った。

いたい。

あーあ、朝から早起きしてがんばったのに。

心の奥。シャワーの音がしみる。

今日はシャーペンの芯もよく折れる。力みすぎてる。

白線だけを踏んで歩く自分だけのルールで

少しまわり道するのもたまにはいいでしょう。

月だと思っていたものは遠くでゆるゆると光る街灯で、

蜘蛛の糸がうっとおしくて切ると、

こわれた蜘蛛の巣から蜘蛛が落ちないように上の方にちょこちょこと避

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31.群青東京

31.群青東京

金木犀の香りも弱まる午前。

海風が強く吹いて、くるくるの長い髪をゆらしながらてくてく歩いている。

視界でチラついてイラつくこともあるけれど、なんだかんだ愛おしく思っている。

だらしはないけれど。今に始まったことじゃないし。

空き家の窓に反射する猫背の私。

シャキッと背筋をただす。

白いシャツをたなびかせて。

青いコーデュロイパンツは晴天と重なるし、

おそろじゃん?とか少し気分も上が

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30. 杪夏 生きとし生けるもの

30. 杪夏 生きとし生けるもの

相も変わらず、お日様はコンクリートを焦がしている。

でも、まあ、昨日よりもマシだよな。

横たわるベッド。
外の蝉時雨が 心の空白で振動する。

まだなかば。

蝉の声に合わせて無意識に貧乏ゆすりをする私。

冷たい殻を脱ぎ捨てて

白く立ちのぼる煙は、晴天にとける。

残るのは灰と生きるものたちの思い。

もうここにはいない。

白雲はどっしりと浮かんでいて

その雲影にふわふわと地に足つかな

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29. 杪夏  7日目の蝉

29. 杪夏 7日目の蝉

朝、携帯に連絡が入った。

「祖父が朝方亡くなりました。」

近い未来に来るだろうと覚悟はしていたが、まさか今日だとは思わない。

でもそれが死というものなのか。

知らされたとき、不思議と涙は出なかった。

なんでだろう。

大人になって強くなったから?

まだ、現実味を帯びていない。

私はいつも通り、急ぐ訳でもなくシャワーを浴びた。

歯を磨いて。シャツを纏う。髪を整えようと洗面台の鏡をのぞ

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28.解夏

28.解夏

ぬるい風が体にまとわりついて気持ち悪い。

にじむ汗もかわかない。

草木め。心地よさそうに青々としやがって。

この暑すぎる夏にときめけるには、私はまだ若すぎる。

日々溜まる鬱憤を晴らすかのように

食べ終わったアイスの棒をフェンスにカンカンとぶつけながら夜道を歩く。

今日は酔っ払ったなあ。

アルコール混じりのため息をつく私の横を、

お祭り帰りのお面をつけた少年が猛スピードで駆け抜けてい

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