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女神の名は・・・ part.Ⅲ

みなさん、こんにちは。綺羅です。

今日もnoteをご覧いただき、ありがとうございます。


最近は、大学への秋入学のために、時間割を決めている最中なのですが、学びたい事柄が多すぎて、どの教科を取るのかを、悩ましく感じています。

必須教科は当たり前ですが、それ以外からも、自由に選択できて学べるという状態が、嬉し悩ましいといったところです。


さて、またまたやってきました、私と飼っていた柴犬の話です。

今回は、個人的な大反省の回になりますので、一部分、狭い範囲でですが、文章を見るだけでも、想像したくないという箇所があるかもしれません。

ですので、少しでも

「そういう描写が苦手だ」

「不用意に心を痛めたくない」

という方は、「まわれ右」でお帰りください。


「もう、何やらかしちゃったの?」

「その反省を聞き届けてあげるから、話してみなよ。」

と、聞いてくださる方は、どうぞこのままスクロールしてお読みください。


なお、絵文字アイコンの後、すぐにエピソードに入ります。

ご注意ください。



🐕

犬は意志が通じないし、噛んでこようとするし、怖い。

犬を飼い始めてもなお、この恐怖はまとわりついた。

これでも、全く触れなかった私が、あの子の全身を撫でることができるようになって、今ではあの子の口からでも(少し怖いけれど・・・)ボールを受け取れるようになったのだから、誰でもいいから「成長したね!」と、言って欲しいと思っていた。

私は私で慣れようと一所懸命にふれあおうとしてるのに、なんであの子は噛んでばっかりなの?

それじゃあ、結局、あなたのことが怖くて、近づけなくなっちゃうじゃん・・・。


『きーらーちゃーん!ほらー!ひっぱってー!』

彼女の当時気に入っていた遊びは、私と彼女がお互いにタオルの両端を持って、全力で反対方向に引っ張ること。

「柴犬はおとなしいし、主人に忠実」とか、どこかの”しつけの本”に書いてあったけれど、あれは絶対嘘だと思った。

現にこの子は、おとなしい所か、最近は自分の家の囲いである柵までを、噛み材料としている。

その時の表情といったら・・・「おとなしい」という仮面を被った「破壊神」という方が、相応しいんじゃないかと思っていた。

「フーちゃん、顔が怖いよ!」

『ほーらー!!ひっぱらないと、フーちゃんがもっていっちゃうぞー!』

でも、ふれあっていると、どんな状態であっても癒されるのは事実だった。

「まぁいっかー♡」「はいはい、仕方ないなぁ♡」といった、いい具合の心の緩みを授けてくれる。


だが、この時の私には、まだその心が緩む「いい具合」を分からずにいた。

分からないで、あんなことをしてしまったのは、彼女に謝った今でも、深く後悔している。



🐕

その日はなぜか分からないが、フーちゃんは家の中に入ってきていた。

いつもは出入りの激しい倉庫の一角で、私や母と遊んだ後ではおとなしくいるのに。

フーちゃんは興奮気味だったと思う。

見慣れない部屋だけど、自分の家族の匂いであふれた空間が、とても興味深いと思ったのかもしれない。

家族が座っている横に、フーちゃんは顔をつけて

『なにしてるの?フーちゃんも入れて!』

と、頭を撫でてもらいに一人ひとりを巡回していた。


ただ、私は私でソワソワしていた。

外の土や石を落として中に入ってきているとは言え、彼女は畳の上を歩いている。

彼女には持ち前の爪があり、歩いて移動していく度に、どこかしらで畳の「ガサッ」とした音が響く。

私の家では、掃除機をかける時など、畳の目や床の目に合わせて動かさないと、かなりきつく怒られていた。

爪で畳を「ガサッ」だなんて、いたむに決まっている。

それで怒られるのは、私じゃないのか?

「フーちゃん、歩くのやめて!」

『えー?やだよー!』

私は慌てて捕まえようとするが、フーちゃんはすばしっこく、身体を上手に動かして逃げて行ってしまう。

「言うこときいてよ!止まりなさい!」

『ぜったいいやだもんねー!!』

しまいには、『こっこまでおいでー♬』と、私を見に来ては離れ、見に来ては離れの繰り返しになっていた。

ついに、勢いよく捕まえたと思った瞬間、ガブッと、噛まれてしまった。


この行動に、私はとうとう頭にきて、自分自身を制御できなくなった。

「むかつく!!なんなのあんた!何様だと思ってんの?!」

私はそのまま手近にあった広告の束を持って、彼女の真横で、たたきつけた。

一瞬、フーちゃんの身体を震わせ、怯えながら目を閉じている姿を見ていたけれど、無視して、気付いていないフリをした。

私がもう一度叩こうとすると、

「綺羅ちゃん、そんなことしちゃダメよ。」

と、祖母が、ピシリと一言放った。

その時のフーちゃんは、祖母の横でビクビクと震えていて、怯えているようだった。

「だって、フーちゃんが言うこと聞かない・・・」

半ば泣きそうになっていた私は、自分がしてしまったことの恥ずかしさと罪悪感、自分の犬のしつけもできないダメさで、いっぱいいっぱいになってしまった。


それでも、祖母の一言で、自分のやってしまったことの重大さに気付いた私に、祖母は微笑んでくれた。

そして、私とフーちゃんを並べて座らせてくれたのだ。



🐕

祖母はフーちゃんの背中を、一定のリズムを刻みながら、さすってくれていた。

そうしたおかげか、私も自分のやってしまったことについて、じんわりと思い返していた。

テレビで動物虐待の映像が流れたり、ニュースを聞いたときに、そんなことをできる人たちの気が知れないと、偉そうな上から目線で眺めていた。

「自分はそんなこと絶対しない」とか「自分はありえない」とか思っていたけれど、それは正真正銘の傲慢で、私には犬や猫が可愛いだなんて言える資格はないのかもしれない。

こんな飼い主、きっとこの子は嫌がるに違いない。

「綺羅ちゃんが怒ったのも、わかるよ。畳がいたむのを、気にしていたのでしょう?」

私はただ、黙って頷いた。

「フーちゃんはまだ小さいから、色々なことをするでしょうけれど、だからと言って怒ったり、叩いたりしたら、綺羅ちゃんのことを怖がって、近づかなくなってしまうよ。綺羅ちゃんだって、怒られたり、叩かれるのは怖いと思うわよね?犬も同じなのよ。ずっとそんなことをしていたら、フーちゃんはいつまでも、綺羅ちゃんのことを”怖い”と思って過ごすことになってしまうのよ。」

そう、私自身も、怒られて叩かれるのは怖い。

わかっていることなのに、どうして想像できなかったのだろうか。

犬が言うことを聞いてくれないことで、私のダメさが露呈するのが嫌だったのだろうか?

どんな具体的な動機があって、あんなことをしたのか分からない。

ただ「一緒にくつろいでいたい」という思いがあった。

そのために、まずこの子を落ち着かせなきゃ、静かにさせなきゃという気持ちはあった。

その方法は、結局よくなかったから、そう言ったところで、言い訳になってしまうのかもしれない。

「畳をいためるから、やめさせようと思ったけれど、ダメだった・・・」

「犬に言葉は通じないからねぇ。でもね、綺羅ちゃん、畳はいたんでもまた替えればなおるけれど、フーちゃんに一度”怖い”と思われたら、ずっと近づいてくれなくなることもあるのよ。綺羅ちゃんは、フーちゃんと仲良く過ごしたいのよね?他に方法があるはずだから、怒ったり叩くのは、やめなさい。でないと、フーちゃんにとっても、わけが分からないで叩かれるのは、かわいそうだからね。」

フーちゃんは、私をじっと見ていた。

叩かれたことを怒っているというよりも、悲しそうだった。

祖母に『綺羅ちゃんは、どうして怒っているの?何があったの?』と心配して聞いているようだった。

あなたが叩かれそうだったのに、どうして叩いた相手なんか心配しているの?

あなたの方がよっぽど怖い目にあっただろうに、どうしてそういう考え方ができるの?

・・・私は、あなたに酷いことをしたのに。

「・・・ごめんね、フーちゃん。叩いて、ごめんよ・・・」

いろいろ自分が情けなくなって、泣きながら謝った。

このことがこの子の脳に刻まれて、一生許して貰えないかもしれないけれども、それでも謝らずにはいられなかった。

私が大好きだと思って、この家に連れてきた犬だから。

するとフーちゃんは、私に寄ってきて、頬から手に落ちた涙をぬぐってくれていた。

『どうしたの?きらちゃん、どうしてないてるの?ねぇ、おばあちゃん、きらちゃんがないてる!どうしよう?!』

「綺羅ちゃん、フーちゃんが心配しているから、泣くのをやめて、仲直りしなさい。これからは、別の方法で注意すればいいんだから。これで、怒ったり、叩いたりすることはダメなのが分かったのだから、いいのよ。」

祖母はそう言って、励ましてくれた。

まだ涙が止まらない私を見てオロオロしていたフーちゃんに、私は彼女の背中を優しく「ぽんぽん」とさすった。

「フーちゃん、怖がらせてしまって、ごめんね。叩いてしまって、ごめんね。」

しばらく撫でていると、フーちゃんは元気を取りもどしたかのように、またくるくるくるくると、回り始めた。

その姿を見て、元気になれたのは、私も同じだった。


どうしてなのかはよく分からないけれど、フーちゃん、さっきよりもより元気になった?

え?あんなことの後だよ?

ケンカした(?)相手と更に仲が深まるとかいう、ステキな展開?

・・・いやいや、そんな都合のいい話、あるわけない!

でもどこからか「そういう都合になる話なんだよ♬」という直感のようなものも働いている。

そしてなぜかその直感は、そうあろうとする力が凄まじく強かった。

私に残ったのは「同じことは繰り返さない」という教訓と、「ステキな展開が待っている」という未来像。


私にステキな展開を持って来ようとしている彼女。

私と彼女が行き着く先にはなにがある?

答えは分からないけれど、あなたについていってみようかな。

女神の名は・・・。



🐕

みなさんからの、スキやコメントやフォローに、とても感謝しています。

この記事にお時間をいただき、ありがとうございました!


それでは、今日はここまでです。

みなさん、天候には十分に気を付けてくださいね。





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