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読書メモ 『サバイバー』チャック・パラニューク
『サバイバー』チャック・パラニューク (著), 池田 真紀子 (翻訳) https://amzn.asia/d/0aTUpRz 生まれ育ったカルト共同体がある日集団自殺で崩壊したら、生き残った男は…
分断についてのエッセイ
分断とは、実は信条や能力の違いではなくアレルギーや自己免疫疾患のようなものではないだろうか。例えるなら花粉によって体内に嵐が巻き起こっている人と、そうでない人の違いではないだろうか。だとするなら適切な対処が見えてくる。
友人とイスラエルの虐殺行為について話していたとき、イスラエル支持者の態度が異様なほど頑なだということに話が及んだ。彼らの態度はいわゆる「保守」「ネット右翼」「Q」が自分たちの敵に
「わたしたちは2千年待つべきだろうか」
「わたしたちは2千年待つべきだろうか」
海辺にひとり立っている。海の向こうには輝く島々があることを知っているけれど、ここからは見えず海を渡ることもできない。触れることも、証明することもできない。ただ思い出し、浜辺に立ち尽くす。海のかなたに、神話のようにある島々とはなにか。それは過ぎ去った瞬間、還ってこない場所――2004年6月の温かいある日、シーツの間でたわむれあったあの朝。2005年9月の肌寒
読書メモ 『サバイバー』チャック・パラニューク
『サバイバー』チャック・パラニューク (著), 池田 真紀子 (翻訳)
https://amzn.asia/d/0aTUpRz
生まれ育ったカルト共同体がある日集団自殺で崩壊したら、生き残った男はどこかにたどり着けるだろうか。パラニュークによる極めて直球な物語。
別の方角から見ると、ずっと誤ったセルフケアをし続けた人の話としても読める。「目をつぶって適当にはさみを入れたみたいなヘアスタイル」
批評 映画『君たちはどう生きるか』(宮崎駿)
『君たちはどう生きるか』(2023)
監督・脚本・原作:宮崎駿
制作:スタジオジブリ
夜中の火災から映画は始まる。周囲の混乱と熱気の中、母親の元へ急ぐ幼い少年の姿がある。物語の主人公である眞人(まひと)だ。揺れる群衆を一人称視点で描写する試みはこれまでの作品にない清新な表現だった。ただ、その少し前の階段を駆け上りて駆け下る描写にわずかにひっかかるものを感じる。違和感が残ったまま話が進むうちに、
読書メモ 『チョーク!』チャック・パラニューク
『チョーク!』(チャック・パラニューク 著, 池田 真紀子 訳)
別れ際になると嫌になるくらい魅力的になる、でも普段は退屈、そういう種類の人っている。そのとき最後に記憶に残るのは、やっぱり途中のつまらない日々ではなく、結末の鮮やかさだったり、別れ際の泣き顔だったり、笑顔だったりするんじゃないだろうか。
『チョーク!』では、著者のこだわりである母子家庭での男子、セックス依存症、(『ファイト・ク
読書メモ『毛~生命と進化の立役者~ 』
『毛~生命と進化の立役者~ 』(稲葉 一男 著)
タイトルから髪の毛の話かと思いきや、いわゆる鞭毛などの細胞の毛の話だ。どんどんミクロな話になっていくのだけど、一方で人体の働きから生態系に環境問題から果ては宇宙の構造まで思いを馳せる。かといって強引な飛躍なんかじゃなく、一つ一つは確かに結びついていてどんどんと引き込まれる。
とはいえ、メインの話は細胞の毛だ。どんな構造になっていて、どんな風に動
実験課題『会話有料化』
会話が有料化された。理由や仕組みはまだ発表されていない。とりあえず今日、わたしはいくら持って街に出ればいいのだろう? 100億円もあれば十分だろうか。少し前まで銀行口座には6兆円ほどあったけど、あの資金は何かに使ってしまったような気もする。
有料化されたその日から音声、テキスト、データの送受信、あらゆる直接的なコミュニケーションについてコストが発生することとなった。有料ということは、逆にいえ
なぜミリタリーおじさんはイキってしまうのか
なぜミリおじ(ミリタリーおじさん)はイキってしまうのだろうか。本書は何かで見かけてセールの折に購入したものだが、「はじめに」でさっそく『一連の中国による反日行為…』とか出てくるので相当にキツい。2005年に書かれたそうだが第1章から地政学語りをはじめるので、ある程度免疫のある人にとっては「今更ハウスホーファーの理屈を真面目に取り上げる必要あるのかな……」と苦いものを飲まされることになるだろう。