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今こそ、「家庭観」のアップデートを。『ワーキングカップルの人生戦略 ― 2人が「最高のチーム」になる』読書感想
(A)はじめに:理想だって古くなる。
夫ががむしゃらに働き金を稼ぎ、妻は家庭でそれをサポートする…
こんな生活が理想的で、一般的にしようという動きは、近代の中でも決して長い歴史を持っていない。それは精々戦後の高度経済成長期に政府が理想として掲げていた期間があった程度で、それ以前はオフィスでなくても妻も家事とは異なる労働(農業など)をしていたし、そもそも上記のような理想形は、夫が家庭を顧みずがむし
理想という名のウソを暴け。『NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘』読書感想
(A)はじめに:立ち止まって、常識を疑う。
物事には、そのようになっている理由というのが、大抵存在する。そして、その物事が大きく、長く、沢山存在するものであればあるほど、それらがそのようになっている理由というのも信ぴょう性が増してくる。
今回は、今日の組織や働き方に関する9つの常識について、お茶を濁すことなく、真正面から向き合いなおしている本を紹介する。世間の大半はその常識を信じ、その上で新た
誰もいなくなった飛行船の惨劇に挑め。『ジェリーフィッシュは凍らない』読書感想
(A)はじめに:21世紀の『そして誰もいなくなった』
本作は2016年に発売された、市川 憂人さんのデビュー作で、第26回鮎川哲也賞を受賞したミステリー作品だ。本作は発売来、「21世紀の『そして誰もいなくなった』」と触れ込みされる。「そして誰もいなくなった」といえば、アガサ・クリスティーの代表作で、最も売れたミステリー作品として有名だ。関係者が皆死んでしまう形式が当時斬新で、今ではミステリーの一