ぽりにか

本とゲーム感想をまとめています。 ジャンル、刊行・製作時期不問、ソシャゲ除く予定です。…

ぽりにか

本とゲーム感想をまとめています。 ジャンル、刊行・製作時期不問、ソシャゲ除く予定です。 本の場合は内容の大きなネタバレは含まないようにしています。 記事をきっかけに、ご自身でもプレイ、読んでいただけるよう心がけます。

記事一覧

教育界を照らす、満ちることのない月『みかづき』読書感想

(A)はじめに:知っているようで知らない、塾。 学生の頃に一度は通ったことがあるであろう「塾」。今でこそ広く一般的に利用される塾だが、市民権を得るまでには多くの荒…

ぽりにか
3年前
4

最低限の努力で。『1%の努力』読書感想

(A)はじめに:「2ちゃんねる」と「ニコニコ動画」 20年~10年ほど前からインターネットをある程度使っていれば、「2ちゃんねる」と「ニコニコ動画」の名前を一度は耳…

ぽりにか
3年前
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甘酸っぱい謎。『探偵は教室にいない』読書感想

(A)はじめに:青春ミステリの世界 小説を選ぶとき、何を基準に選ぶだろうか。作家が好きだったり、ジャンルが好きだったり、映像化が決まったものだったり、選ぶ基準は…

ぽりにか
3年前

会議を開く人も、参加する人も。『amazonのすごい会議-ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法』読書感想

(A)はじめに:会議に振り回されるな。 現在の職場に転職して約一か月半。前職との主に良い違いを楽しみながら働く毎日だが、少し残念な部分もある。それは、「会議がや…

ぽりにか
3年前
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信じる、こと。『星の子』読書感想

(A)はじめに:宗教の中で生きる。皆さんは、何かを信仰しているだろうか。何を信仰しているだろうか。 宗教とは、一般的に人間の力や自然の力を超えた存在を中心とする観…

ぽりにか
3年前
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四則計算でステップアップ。『組織にいながら、自由に働く。』読書感想

(A)はじめに:自由≒選り好みできるという事 一般的に、組織に所属することが、自由を手放すことと同義だと考えられているのは疑いがないと思う。起業や独立をする人の…

ぽりにか
3年前
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アートを愛する義賊たち。『アノニム』読書感想

(A)はじめに:初の原田マハ作品。 小説の読書感想では、筆者についてあまり言及しないが、原田マハさん作品は初めて読むので、少しその話を。原田さんの作品は、最近の…

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3年前
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今こそ、「家庭観」のアップデートを。『ワーキングカップルの人生戦略 ― 2人が「最高のチーム」になる』読書感想

(A)はじめに:理想だって古くなる。 夫ががむしゃらに働き金を稼ぎ、妻は家庭でそれをサポートする… こんな生活が理想的で、一般的にしようという動きは、近代の中でも…

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3年前
4

今度こそ、あの子を救え。『ヒュプノ ノーツ』ゲームレビュー

(A)はじめに:人生を追体験するノスタルジックRPG 『ヒュプノ ノーツ』は、夢の世界に入る装置を使って過去を追体験しながら、あの子を救い出す冒険に出るというノスタル…

ぽりにか
3年前
4

怪異は、呼応する。『ぼぎわんが、来る』読書感想

(A)はじめに:ホラーを読む。 お化けや怪人の存在は信じていないが、ホラー映画やお化け屋敷が苦手だ。それらはその道のプロ達が、人を怖がらせるためにあらゆる施策を…

ぽりにか
3年前
2

理想という名のウソを暴け。『NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘』読書感想

(A)はじめに:立ち止まって、常識を疑う。 物事には、そのようになっている理由というのが、大抵存在する。そして、その物事が大きく、長く、沢山存在するものであれば…

ぽりにか
3年前
3

誰もいなくなった飛行船の惨劇に挑め。『ジェリーフィッシュは凍らない』読書感想

(A)はじめに:21世紀の『そして誰もいなくなった』 本作は2016年に発売された、市川 憂人さんのデビュー作で、第26回鮎川哲也賞を受賞したミステリー作品だ。本作は発売…

ぽりにか
3年前
3

AIで採取した、トップ社員の爪の垢。『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』読書感想

(A)はじめに:トップ5%社員って、どんな人? 仕事をしていると、「この人は優秀だなぁ」という人に出会うことがある。同じ職場の上司・同期・後輩や、ビジネスパートナ…

ぽりにか
3年前
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少年少女の、反逆の物語。『小説 天気の子』読書感想

(A)はじめに:「君の名は。」の次回作ということ。 「天気の子」は、2019年に公開された新海誠監督によるアニメーション映画である。「君の名は。」公開から3年が経って…

ぽりにか
3年前
8

少年少女の、恋の物語。『小説 君の名は。』読書感想

(A)はじめに:興行収入ランキングへ殴り込み 「君の名は。」といえば、2016年に公開された新海誠監督のアニメーション映画である。公開当時、日本の興行収入ランキング…

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3年前
4

自由を勝ち取る為の一歩。『本当の自由を手に入れる お金の大学』読書感想

(A)はじめに:お金なくして自由なし! かなり厳しいテーマではあるが、資本主義のシステムにある程度則って生きていく上では、資本力と自由度はある程度相関性を持つこ…

ぽりにか
3年前
6
教育界を照らす、満ちることのない月『みかづき』読書感想

教育界を照らす、満ちることのない月『みかづき』読書感想

(A)はじめに:知っているようで知らない、塾。
学生の頃に一度は通ったことがあるであろう「塾」。今でこそ広く一般的に利用される塾だが、市民権を得るまでには多くの荒波を越えてきている。自身も塾講師として働いていた経験もあるが、やはり学校教育との関係性は独特で、特殊な業界であると感じていた。

2017年の本屋大賞で第2位を受賞し、2019年にはNHK土曜ドラマにもなった本書は、昭和30年代から平成に

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最低限の努力で。『1%の努力』読書感想

最低限の努力で。『1%の努力』読書感想

(A)はじめに:「2ちゃんねる」と「ニコニコ動画」

20年~10年ほど前からインターネットをある程度使っていれば、「2ちゃんねる」と「ニコニコ動画」の名前を一度は耳にしたことがあるだろう。前者は日本で最大級の匿名型インターネット掲示板で、そのまとめサイトも含めれば、一度は誰しもが目にしたことがあるはずだ。後者は、当時は会員制の動画投稿プラットフォームであり、アングラに寄ったコンテンツと、視聴者に

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甘酸っぱい謎。『探偵は教室にいない』読書感想

甘酸っぱい謎。『探偵は教室にいない』読書感想

(A)はじめに:青春ミステリの世界

小説を選ぶとき、何を基準に選ぶだろうか。作家が好きだったり、ジャンルが好きだったり、映像化が決まったものだったり、選ぶ基準は色々あるだろう。私は作家で選ぶことはあまりなく、テレビや映画を視聴する機会も人並み以下なので、映像化もきっかけにはなりずらい。(映像化を機に書店でプッシュされていたりすると、思わず手に取ってしまうことはあるが)ということで、好きなジャンル

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会議を開く人も、参加する人も。『amazonのすごい会議-ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法』読書感想

会議を開く人も、参加する人も。『amazonのすごい会議-ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法』読書感想

(A)はじめに:会議に振り回されるな。

現在の職場に転職して約一か月半。前職との主に良い違いを楽しみながら働く毎日だが、少し残念な部分もある。それは、「会議がやたらに多いこと」だ。前職と比べると、プロジェクトに関わる人数も多く、セクションも明確に分かれている。組織自体が過渡期ということもあり、情報共有が何より大事なことは言うまでもない。しかし、一日の大半を会議に費やし、またその会議もひっきりなし

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信じる、こと。『星の子』読書感想

信じる、こと。『星の子』読書感想

(A)はじめに:宗教の中で生きる。皆さんは、何かを信仰しているだろうか。何を信仰しているだろうか。
宗教とは、一般的に人間の力や自然の力を超えた存在を中心とする観念であり[、また、その観念体系にもとづく教義、儀礼、施設、組織などをそなえた社会集団のことである、らしい。(wikipedia調べ)

私はこれといって何かを信仰しているわけではない。信仰したいものはないし、かといって信仰しないことに決め

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四則計算でステップアップ。『組織にいながら、自由に働く。』読書感想

四則計算でステップアップ。『組織にいながら、自由に働く。』読書感想

(A)はじめに:自由≒選り好みできるという事

一般的に、組織に所属することが、自由を手放すことと同義だと考えられているのは疑いがないと思う。起業や独立をする人の動機の一つとして、自由を手にしたいということは至極まっとうなように思えるからだ。しかし、組織に所属しながら、自由に働くことが出来れば、それは夢のようなことではないだろうか。人やカネといったリソースを組織の持つものでカバーしながら、やりたい

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アートを愛する義賊たち。『アノニム』読書感想

アートを愛する義賊たち。『アノニム』読書感想

(A)はじめに:初の原田マハ作品。

小説の読書感想では、筆者についてあまり言及しないが、原田マハさん作品は初めて読むので、少しその話を。原田さんの作品は、最近のものであれば『サロメ』や『たゆたえども沈まず』など気になっているものは複数ある。一方で、アートには明るくなく、アート小説も少し敷居が高いかなと感じていた。
そんな中手に取った本書『アノニム』。あらすじからオーシャンズシリーズの雰囲気を感じ

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今こそ、「家庭観」のアップデートを。『ワーキングカップルの人生戦略 ― 2人が「最高のチーム」になる』読書感想

今こそ、「家庭観」のアップデートを。『ワーキングカップルの人生戦略 ― 2人が「最高のチーム」になる』読書感想

(A)はじめに:理想だって古くなる。

夫ががむしゃらに働き金を稼ぎ、妻は家庭でそれをサポートする…
こんな生活が理想的で、一般的にしようという動きは、近代の中でも決して長い歴史を持っていない。それは精々戦後の高度経済成長期に政府が理想として掲げていた期間があった程度で、それ以前はオフィスでなくても妻も家事とは異なる労働(農業など)をしていたし、そもそも上記のような理想形は、夫が家庭を顧みずがむし

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今度こそ、あの子を救え。『ヒュプノ ノーツ』ゲームレビュー

今度こそ、あの子を救え。『ヒュプノ ノーツ』ゲームレビュー

(A)はじめに:人生を追体験するノスタルジックRPG
『ヒュプノ ノーツ』は、夢の世界に入る装置を使って過去を追体験しながら、あの子を救い出す冒険に出るというノスタルジックRPGだ。進むか戻るかを繰り返し選択していくシンプルなローグライクで、イベントや戦闘などを繰り返しながら進めていく。それらの配置はランダムであり、運要素も多い中で、限られたリソースを駆使しながら戦略的に進めていくことがポイントと

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怪異は、呼応する。『ぼぎわんが、来る』読書感想

怪異は、呼応する。『ぼぎわんが、来る』読書感想

(A)はじめに:ホラーを読む。

お化けや怪人の存在は信じていないが、ホラー映画やお化け屋敷が苦手だ。それらはその道のプロ達が、人を怖がらせるためにあらゆる施策を講じて作られているからだ。その施策の中でも、大きな音は単純故に効果的ではないかと思う。私は大きな音にトラウマ的恐怖(子供のころから、風邪をひいたりすると決まって大きな音に囲まれる幻聴を聞いてきた)を抱えているので、つまりはホラー映画やお化

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理想という名のウソを暴け。『NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘』読書感想

理想という名のウソを暴け。『NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘』読書感想

(A)はじめに:立ち止まって、常識を疑う。

物事には、そのようになっている理由というのが、大抵存在する。そして、その物事が大きく、長く、沢山存在するものであればあるほど、それらがそのようになっている理由というのも信ぴょう性が増してくる。

今回は、今日の組織や働き方に関する9つの常識について、お茶を濁すことなく、真正面から向き合いなおしている本を紹介する。世間の大半はその常識を信じ、その上で新た

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誰もいなくなった飛行船の惨劇に挑め。『ジェリーフィッシュは凍らない』読書感想

誰もいなくなった飛行船の惨劇に挑め。『ジェリーフィッシュは凍らない』読書感想

(A)はじめに:21世紀の『そして誰もいなくなった』

本作は2016年に発売された、市川 憂人さんのデビュー作で、第26回鮎川哲也賞を受賞したミステリー作品だ。本作は発売来、「21世紀の『そして誰もいなくなった』」と触れ込みされる。「そして誰もいなくなった」といえば、アガサ・クリスティーの代表作で、最も売れたミステリー作品として有名だ。関係者が皆死んでしまう形式が当時斬新で、今ではミステリーの一

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AIで採取した、トップ社員の爪の垢。『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』読書感想

AIで採取した、トップ社員の爪の垢。『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』読書感想

(A)はじめに:トップ5%社員って、どんな人?

仕事をしていると、「この人は優秀だなぁ」という人に出会うことがある。同じ職場の上司・同期・後輩や、ビジネスパートナー、その他関係者などなど。彼らは元から特殊な人間で、自分とは基礎から違うと思ってしまいがちだ。けれど、生まれながらにしてエリートだった人間などいない。いわゆる「トップ5%社員」は自己の成長のためにたゆまぬ努力を続けており、その努力の一つ

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少年少女の、反逆の物語。『小説 天気の子』読書感想

少年少女の、反逆の物語。『小説 天気の子』読書感想

(A)はじめに:「君の名は。」の次回作ということ。

「天気の子」は、2019年に公開された新海誠監督によるアニメーション映画である。「君の名は。」公開から3年が経っているが、その偉業は記憶に新しく、多くの人がその公開を心待ちにしていたと思う。その結果、トップ10入りこそ果たさなかったものの、日本アニメーション映画としての存在感は示された。
そんな「天気の子」の小説版は、「君の名は。」小説版同様に

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少年少女の、恋の物語。『小説 君の名は。』読書感想

少年少女の、恋の物語。『小説 君の名は。』読書感想

(A)はじめに:興行収入ランキングへ殴り込み

「君の名は。」といえば、2016年に公開された新海誠監督のアニメーション映画である。公開当時、日本の興行収入ランキングにおいて、ディズニーとジブリを除くアニメーションが食い込むことは異例だった。劇場版鬼滅の刃が今年大ブレイクし、あっという間に興行収入ランキングの一位に上り詰めたことは記憶に新しいが、ディズニー・ジブリ以外のアニメーション映画の勢いを作

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自由を勝ち取る為の一歩。『本当の自由を手に入れる お金の大学』読書感想

自由を勝ち取る為の一歩。『本当の自由を手に入れる お金の大学』読書感想

(A)はじめに:お金なくして自由なし!

かなり厳しいテーマではあるが、資本主義のシステムにある程度則って生きていく上では、資本力と自由度はある程度相関性を持つことは疑いの余地がない。お金の取り扱い方をリベラルアーツとして見直し、再勉強の必要性を訴える風潮は広まりつつあるが、一方で、税金や投資といったシステムの一側面だけを見て、意識・無意識を問わず避けている人も少なくないと思う。自由ある人生を手に

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