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今度こそ、あの子を救え。『ヒュプノ ノーツ』ゲームレビュー

(A)はじめに:人生を追体験するノスタルジックRPG
『ヒュプノ ノーツ』は、夢の世界に入る装置を使って過去を追体験しながら、あの子を救い出す冒険に出るというノスタルジックRPGだ。進むか戻るかを繰り返し選択していくシンプルなローグライクで、イベントや戦闘などを繰り返しながら進めていく。それらの配置はランダムであり、運要素も多い中で、限られたリソースを駆使しながら戦略的に進めていくことがポイントとなる。

(B)感想:心揺さぶられながら、冷静に。

本作は主人公のもとにDPDという謎の装置が送られてくるところからスタートする。枕型のそれを起動すると、見慣れない空間へ移動させられる主人公。そして目の前には不思議な恰好をした女の子が現れる。「魔法少女マッチ」を名乗るその子は、主人公の助けを待っていたようだ。

説明もそこそこに、早速ゲームスタート。画面はいたってシンプルで、プレーヤーが出来ることは「進む」か「戻る」を選択することだけ。「進む」を選ぶと距離が目標まで一つ進み、「戻る」を選ぶと一つ戻る仕組みになっている。また、どちらの行動をとっても「時間」が一つ減るため、時間内に目標まで進むことがゲームの目的となる。

進んでいくと、様々な敵やイベントにエンカウントする。
この敵というのが、子どもの頃に嫌いだったものや苦手だったものが出てくるので面白い。幼い頃は野菜、少し育つと虫や動物、大きくなると意地悪な友達達など、主人公の成長に合わせて敵も変化し、強力になっていく。
またイベントも、子どもの頃のワンシーンになぞらえている。主人公には基本攻撃力の基となる「力」の他に、「自信」や「運動」、「知恵」といったステータスが存在する。これらは各イベントに対応しており、イベントの成否を左右するようだ。戦闘やイベントではEXPが手に入り、レベルアップすると最大HPを始めステータスが成長する。

道中では、仲間が増えるイベントも用意されている。
仲間は毎ターン様々な行動で主人公をアシストしてくれるので、選択肢の少ない戦闘ではとても重宝する。
そして、一定数進むごとにマッチの商店に出くわす。ここでは、回復アイテムや装備品、必殺技などがランダムでラインナップされる。お金の使い道はここくらいなので、毎回惜しまずにアイテムを揃えておこう。

攻略のポイントは二つだと考える。
一つ目は「戦う相手を見極める」こと。基本的な攻撃力となる「力」は成長しやすいが、一部の敵は「知恵」を参照して戦う必要がある。「知恵」が低いうちは仲間の力を借りないとまともにダメージを稼げないため、被ダメージが大きくなってしまう。残り時間に余裕があるうちは、戦う相手を選び、なるべく被ダメージを少なくするように心がけたい。
二つ目は「必殺技を使う」こと。必殺技は商店で手に入る。価格は少し高いが、優先して手に入れたい。必殺技はHPや時間を消費して発動するものが多いが、通常の攻撃に比べて威力は絶大だ。先述の通り、回復手段に乏しい本ゲームでは、被ダメージを抑えることが重要で、そのためにも素早く敵を倒すことが肝心である。後半では敵の攻撃力も体力も増えてくるため、長期戦は何としても避けたいところ。多少のコストはかかるものの、必殺技による短期決戦は長い目で見れば安定した作戦になるといえるだろう。

第一章の後半で、主人公は一人佇む茉理という少女と出会い、友達になる。
中学に進学後も交流を深め、茉理に何かがあった時に助けに行くと約束したのも束の間、茉理は家庭の事情で引っ越してしまう。

子どもの無力さに打ちひしがれていると、第一章のボス戦に突入する。

(C)まとめ:今度こそ、あの子を救え。

本作は複雑な要素が一切ないシンプルなRPGになっている。一方で、戦略なしでは一筋縄ではいかず、運を味方につけながら最適な行動をとり続けるゲーム性も兼ね備えている。

ノスタルジーを感じられるイベントに触れながら、主人公と茉理の行く末を追い、あの子を助ける冒険に出かけよう。


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