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自由を勝ち取る為の一歩。『本当の自由を手に入れる お金の大学』読書感想

(A)はじめに:お金なくして自由なし!

かなり厳しいテーマではあるが、資本主義のシステムにある程度則って生きていく上では、資本力と自由度はある程度相関性を持つことは疑いの余地がない。お金の取り扱い方をリベラルアーツとして見直し、再勉強の必要性を訴える風潮は広まりつつあるが、一方で、税金や投資といったシステムの一側面だけを見て、意識・無意識を問わず避けている人も少なくないと思う。自由ある人生を手に入れるために、お金との付き合い方を再勉強したいと思う。

(B)著者について/あらすじ

著者は両(りょう)さん。リベラルアーツ大学というwebコンテンツを、学長という立場で運営している。YoutubeやTwitter、Instagramなどのメディアで、自由に生きるための様々なリベラルアーツを発信している。自身もIT企業の経営者兼投資家として活動している傍らで、リベラルアーツ大学を運営している。

本書では、経済的な自由を得るためのステップを5つに分けて紹介している。①「貯める」②「稼ぐ」③「増やす」④「守る」⑤「使う」の5つだ。①では主に支出の見直しを行う。②では給与所得と事業所得の二つの軸で収入を増やす方法を考える。③では、①と②で作った余剰金を使って、資産を運用していくことを考えていく。本書は主に①~③の内容が大半を占めており、無理なく「生活費<資産所得」という状況、つまり、経済的な自由を得ることを目指している。

(C)感想:固定費を疑え!

本書は①「貯める」②「稼ぐ」③「増やす」が大半を占めると書いたが、中でも①「貯める」の内容が約半分を占めている。貯めるを意識する際に大切なことは、単体の支出からではなく、固定費から見直すという事。「年一回の6万円の買い物」と「月5千円の固定費」の負担額が変わらないことを例に挙げ、なあなあにしている固定費の見直しの重要性を訴えている。
そして、その中でも「6大固定費」と位置付けているのが、1.通信費 2.光熱費 3.保険 4.家 5.車 6.税金 だ。通信費や光熱費は、節約という観点よりも、更に安くサービスを受けることが出来る仕組みへの乗り換えを中心に解説されている。車についても、その必要性の議論や、モビリティという観点での代替案が提示されている点が面白い。
だが、本書でとりわけ注目したいのは、保険・家・税金に関する項目だろう。中でも保険については、必要な民間保険をかなり限定しており、ほとんどの民間保険の不必要・見直しを訴えている。これを支える根拠として、日本の優れた皆保険を解説しており、しっかりと納税していればかなりのサポートが受けられることを再確認させられる。家の項目では、しばしば議論になる「賃貸VSマイホーム」論争を中心にし、今の日本で住居に対してどのようなスタンスでいるべきかを論じている。最後の税金については、主に控除について取り上げている。サラリーマンが受けられる控除はあまり多くないことを前段としつつ、扶養控除やふるさと納税など、知っておくべき税金の知識が紹介されている。
その他にも、②「稼ぐ」では事業収支を増やすための「副業」のススメが紹介されていたり、③「増やす」では初心者でも取り組みやすいつみたてNISAなど、長期投資を中心としたノウハウが紹介されている。

入ってくるお金を増やし、出ていくお金を減らす。
一見シンプルで当たり前のことに聞こえるが、それを地道にコツコツを続けること事が自由への王道なのだ。

(D)ためになる一節

「今日が、人生で一番若い日です」

物事を始めるにあたり、遅すぎる、ということは、過去を振り返れば確かにあるのかもしれない。だがこれからの未来を考える上では、今が一番早く始められるできるタイミングなのだ。

「貯める力とは、生活の満足度を下げずに支出を減らす力」

苦しむ節約は続かないだろうし、そうして貯めたお金を使うことが果たして幸せなのだろうか。世間には満足度そのものを下げる生き方もあるのだろうが、より安価で同じ満足度を得られるサービスが今世の中には増えているのだ。

「自由ということは、何をするのも自由な代わりに、何が起きてもすべてが自己責任なんや」

お金が多いことは自由につながるが、自由は必ずしも幸せとイコールではない。手に入れた自由を豊かに使うことが出来る力。経済的自由を手に入れた次のリベラルアーツはそこにあるのかもしれない。

(E)まとめ:自由を勝ち取る為の一歩。

自由な人生を得るため、経済的な自由を得ることを目的とした本書。世にある投資本とは異なり、支出のコントロールに重点が置かれているという点で、家計を持つあらゆる人の役に立つ本であるといえる。自由獲得の第一歩として本書を読み、自分に足りていない、強化したいステップの知識を別途身につけることで、著者の言葉を借りた「知識マッチョ」に近づけるのではないだろうか。



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