マガジンのカバー画像

きょうのできごと

198
2019年の立冬から書き始めた日記をまとめています。おおむね翌日6時更新。
運営しているクリエイター

2020年2月の記事一覧

2020/02/24 《舞台 紅葉鬼》/恨みを断ち切る

2020/02/24 《舞台 紅葉鬼》/恨みを断ち切る

胸に迫るよい作品を観た後は、それまで忘れていた呼吸を突然思い出したかのように大きく息をつく。そして観ていただけなのに思いの外消耗していることに気付いたりする。

《舞台 紅葉鬼》は、桜日梯子『抱かれたい男1位に脅されています。』(リブレ)の劇中劇から生まれた演劇作品だ。原作の中では殆ど内容が明らかにされておらず、アニメでは《紅葉鬼》上演シーンが追加で盛り込まれた。アニメで見たときに実際に芝居で観た

もっとみる
2020/02/21 純喫茶/親戚のような

2020/02/21 純喫茶/親戚のような

朝、大阪に戻る。

映画館でモーニングショウを1本を観た後、少し遅めの朝食を「純喫茶アメリカン」でとる。ケチャップ味のホットサンド。子供の時分によく食べた、祖父がバウルーで焼いてくれたものに似ているような気がした。そんな懐かしい味。一緒に飲むのはホットミルク。

普段の生活の中では家や職場で簡単に済ませてしまって、朝食を外でゆったりととる機会はなかなかない。だから、たまにやってくるこういう機会は楽

もっとみる
2020/02/19 集めたい/本の森で迷子

2020/02/19 集めたい/本の森で迷子

昔から蒐集癖がある。
シリーズで出ているものであれば、すべて揃っていると嬉しい。子供の時分から続いているのは、本とペンギン、CDだろうか。大人になってから、ここにわずかな美術作品が加わる。

特に、本は全集が好きで、幼い頃、自宅には『ディズニー名作絵話』全24巻(講談社)、祖父の家には『世界の童話』全50巻(小学館)があって、いつでも好きなものを選んで読めることが嬉しかった。文字も読めない頃から、

もっとみる
2020/02/18 名前をつけたい

2020/02/18 名前をつけたい

自分のものを愛称で呼ぶのが好きだ。

例えば、この文章を書いているパソコンは「くろすけ」。
見出し画像の赤マフラーの彼は「キタジマ」。
我が家にいるいちばん大きなSuicaのペンギンは「駅長」。体長1m。
(ちなみに、画像のキタジマの背景の白いのが駅長のお腹です。)

自分の住まいや部屋に名前をつけている人は羨ましいし、身近なものに名前をつけている人には親近感を覚える。乱歩大人のスクラップブック『

もっとみる
2020/02/17 図書館のはしご/意欲と段取りの問題

2020/02/17 図書館のはしご/意欲と段取りの問題

昨日の続き。

「ヴァレリーの詩」と言われるもので、新聞で言及されているものが実際にどのようなものだったのかを確かめるために、勤務校系列大学の図書館へ向かう。予約した筑摩書房版『ヴァレリー全集』も受け取る。

ところが、中高教員ではデータベース検索はできないと言われてしまう。契約の都合だとか。そもそもこの図書館には一台も検索用の端末が設置されていない。利用者は自分の端末でOPACの検索をする。学生

もっとみる
2020/02/16 引用と出典/ポール・ヴァレリー(1)

2020/02/16 引用と出典/ポール・ヴァレリー(1)

「『人は後退りするように未来へ進む』みたいな言葉、誰が言ってたのだったかな」――きっかけはそんなものだ。

有名な箴言ならすぐに分かるだろうと踏んで、ネットで検索してみる。案の定、フランスの作家ポール・ヴァレリー(Ambroise Paul Toussaint Jules Valéry, 1871 - 1945)のものらしいと出た。ただし、ボートの比喩は記憶になない。ざっと検索する限りでは、「ポー

もっとみる
2020/02/15 ペンギンがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!

2020/02/15 ペンギンがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!

2月10日から長崎では、長崎にペンギンがやって来て60年を記念した切手シートが発売になった。2017年に聖地・長崎ペンギン水族館が開館15周年を迎えた際も切手シートが出たので、3年ぶりの登場だ。

今日15日からは郵便局のネットショップでも販売が始まったのだけれど、ついつい長崎在住のKさんにあらかじめ購入をお願いしていたのだ。それが今日届いた。Kさんも仕事の合間を縫って、郵便局を訪ねてくださったの

もっとみる
2020/02/14 read proofs/校正の効用

2020/02/14 read proofs/校正の効用

仕事柄、人の書いた文章を読んで校正する機会が多い。

前任校では、年に3回発行する学校報の編集を4年間ひとりで担当した。書き手は教員とPTAの保護者の方々で、多くの人が快く記事を書いてくれるが、一方で「全面的に任せるので、おかしなところは直してくださいね」と言われることも多かった。学校報は、学期ごとの生徒や学校の様子を紹介するカラー刷の冊子(40ページ前後)だが、外部の方にもお渡しする機会があるも

もっとみる
2020/02/13 失敗するおもしろさ

2020/02/13 失敗するおもしろさ

先日、仕事で青山美智子「きまじめな卵焼き」(『木曜日にはココアを』宝島文庫 所収)という短篇を読んだ。概ね以下のような話。

主人公の朝美は、夫の輝也と息子の拓海と暮らすキャリアウーマン。家事と育児は輝也に任せ、一家の家計を支えている。
あるとき、輝也が描いた絵が評判になり作品展のために、彼は家をしばらく空けることになる。朝美は拓海と二人の暮らしの中で「ちゃんとしたお母さん」であろうとするけれど思

もっとみる
2020/02/12 dreaming pupa/身軽に

2020/02/12 dreaming pupa/身軽に

蝶が幼虫から成虫に変わるとき、蛹の時期を経る。蛹の殻を破るとき、まるで全く別の生物に生まれ変わったかのように、姿をすっかり変えてしまう。子供の頃、人間もそんなふうに変われたらいいのにとよく思っていた。明日目が覚めたら、まったく違う自分になっている。そんな妄想をしながら、次の日も変わらない自分のまま生活をする。変わりたいと思いながら、その実、変わらなくてもいいとも思っていたのだと思う。勝手知ったる慣

もっとみる
2020/02/11 不在と向き合う/ひとモノガタリ《フジファブリック 志村正彦》

2020/02/11 不在と向き合う/ひとモノガタリ《フジファブリック 志村正彦》

帰宅後、ライブDVDを流しながら片付けをしようとテレビをつけたとき、偶然始まったのがNHK総合の「ひとモノガタリ」というドキュメンタリー番組だった。今日の放送は「若者のすべて~失われた世代のあなたへ~」と題された、フジファブリックの志村正彦をめぐる人たちの物語。思わず、そのまま見入ってしまった。凄くいい番組だった。

フジファブリックの志村氏が2009年のクリスマスイブに亡くなって10年が経った。

もっとみる
2020/02/10 採点の祭典

2020/02/10 採点の祭典

高校入試。中学入試と並んで、一年で最も緊張する日だ。受験生にとってはそれまでの頑張りを発揮する機会だが、学校にとっても次の一年の趨勢を占う特別な機会だ。叶うならば、保護者も含めた福がたっぷり「三方よし」になればいいといつも思う。

午前は監督業務が入っていたので、午後から採点に合流。さすがにまじめに働きます。本日の打止めは18時過ぎ。続きはまた明日。疲れたー。

2020/02/09 《岸辺露伴は動かない 奇譚見聞録》OVA上映ツアー 夜の部@メルパルクホール大阪

2020/02/09 《岸辺露伴は動かない 奇譚見聞録》OVA上映ツアー 夜の部@メルパルクホール大阪

かつての同僚、友人M氏から荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』をひたすら借り続けた時期がある。そのときに第4部「ダイヤモンドは砕けない」の登場人物・漫画家の岸辺露伴(以下「露伴先生」と呼ぶ)が大好きになってしまった。

露伴先生は、作者である荒木飛呂彦氏にとっても特別なキャラクターで、本篇を離れて『岸辺露伴は動かない』というスピンオフ作品を断続的に発表している。自分の作品のためなら手段を選ばない露伴

もっとみる
2020/02/08 共感はうれしい

2020/02/08 共感はうれしい

年度始めに今年度の計画や目標を設定し、中間報告を経て、年度末にはその成果報告をする。(形式はともかく)そんなものは言われずともするものだ思うし、教員の仕事は数量的に測れないところも多分ににあるし、型の決まった物差しはいらないと個人的には考えている。だから、先日読んだ千葉雅也さんの記事には大いにうなずいたものだ。とはいえ、評価をして給与や人事に反映する仕組みの中では、管理職にとって分かりやすいものが

もっとみる