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「損切丸」-「日銀」編

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「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
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#資金繰り

 ”棚からぼた餅” ?-「利下げ」大歓迎の株式市場

”棚からぼた餅” ?-「利下げ」大歓迎の株式市場

 米ISM製造業業況指数の予想を上回る低下(@47.8 < 予想@49.5、前月@49.1)を見ると「インフレ」「ドル高」の影響でアメリカの製造業が苦闘しているのは事実なのだろう。だからこその「逆イールド」なわけだが、昨日の米国債の買い(金利は低下)の主要因はNYCBの経営危機 ↑

 2023年のシリコンバレー銀行(SVB)の破綻時を想い出して頂きたいが、あの時の反応ソックリ。RTGS( Rea

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遂に「お金」が足りなくなった?日銀

遂に「お金」が足りなくなった?日銀

 短期資金を取り扱った経験のあるトレーダーならこれは ”事件” 。資金需給の逼迫から日銀が「資金供給」したことになる。確かに2/2、5のTONAR(無担保O/N平均金利)は@▼0.008%まで上昇、ゼロに近付いている

 「損切丸」では「日銀バランスシート」をずっと追いかけているが、最近気になっているのが資産:①貸出、負債:②政府預金③その他預金

 直近の1月末がこう ↓

 まず①貸出が減らな

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日本の「インフレ」の正体。その後...

日本の「インフレ」の正体。その後...

 日本の「インフレ」の正体。|損切丸 (note.com) を書いたのが約1年半前。それからこの国でどういう変化があったのか、検証してみた

 前稿の中で強調したのが20代 ≓「Z世代」の「値上げ許容度」の低さ。ただこれも「インフレ」を実体験して変化が起きつつある。ようやく 「預貯金」では「インフレ」に追い付けない!|損切丸 (note.com) という "FACT" (事実)に辿りつきつつあるよ

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”チャレンジング" な日銀「資金繰り」Ⅲ ー 国債発行減で平仄を合わせる財務省

”チャレンジング" な日銀「資金繰り」Ⅲ ー 国債発行減で平仄を合わせる財務省

 続・ ”チャレンジング" な日銀「資金繰り」 ー 「国債買取」減額を探る|損切丸 (note.com) からの続き。

 日銀は着々と「国債買取意オペ」の金額を減らし、12月には3~5年と5~10年を更に減額 ↓ 「下限金額」=年66兆円買取に近付けている。これで10月対比で約▼27兆円減ったことになる(年換算)

 平仄を合わせたのが財務省。2024年度の国債発行額が発表になったが、総額で▼1

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続・ ”チャレンジング" な日銀「資金繰り」 ー 「国債買取」減額を探る

続・ ”チャレンジング" な日銀「資金繰り」 ー 「国債買取」減額を探る

 ”チャレンジング" な日銀「資金繰り」 ー 国債買取オペは続行不能?|損切丸 (note.com) からの続編

 いつにもまして注目度の高い日銀政策決定会合。今日明日(12/18~19)開かれているが、ドル円や日経平均のトレーダーは気が気では無い。

 こういうことを言うと叱られるかもしれないが「マイナス金利廃止」は日銀にとって最優先事項ではない。▼0.10%を課している当座金座残高は500兆

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 ”チャレンジング" な日銀「資金繰り」 ー 国債買取オペは続行不能?

”チャレンジング" な日銀「資金繰り」 ー 国債買取オペは続行不能?

 まずは最新の「日銀バランスシート」@30 Nov 2023 ↓

「うわっ、遂に国債が600兆円を超えたか...」

 9月末比では+13.2兆円増えただけだが、やはり "大台" を超えた見た目のインパクトは凄い。ここで各項目別に詳細な分析を加えて見よう:

1.「国債」

 まずはこれを参照して欲しい ↓
 「お先に!」 ー 着々と進む日銀による「ステルス・テーパリング」。|損切丸 (note

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「財務省」の役割をもう一度考え直してみよう。

「財務省」の役割をもう一度考え直してみよう。

 ?? 最近結構見かける "プロパガンダ” 。新手のMMT(Modern Monetary Theory、現代貨幣理論)なのかもしれないが、とにかく財務省は「財源」など気にせずにバンバン「お金」を使え、といいたいようだ。「損切丸」は決して財務省の回し者ではないが、これは無理筋。

 大体「X税クOメガO」なんて "悪口" で溜飲を下げている人も多そうだが、政治家は "国民の鏡" 。自分達で選んでい

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「お金」を減らす「インフレ」。ー 余っていたはずが一転 "奪い合い" へ。

「お金」を減らす「インフレ」。ー 余っていたはずが一転 "奪い合い" へ。

 最近「お金」の減り方が激しい。そんなことを感じている方も多いのではないだろうか。やたら消費税@10%も気になるし、アメリカではチップまで@10~15%→@20~25%への「値上げ」。5,000円の品物が6,000円になれば消費税は▼500円から▼600円に上がる。なるほど、税収が過去最高の71兆円になる訳である。こうなると「お給料」が上がらないとやっていけない。これが「インフレ」であり消費税はそ

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思ったより堅調? アメリカ経済。ー 銀行の「信用収縮」とのギャップ。

思ったより堅調? アメリカ経済。ー 銀行の「信用収縮」とのギャップ。

 昨日(6/16)、アメリカでは興味深い先行指標が出ている。

 まず消費の先行きを示すミシガン大学指数だが予想以上に改善。中古車価格の落ち着きなど、やはり物価上昇が柔らいできた影響が大きい。

 やたら "反省" の多い日本人と違いアメリカ人は「安くなったら買う・使う」が体に染みついてる。だからFRBがこれ程執拗に「利上げ」を続け「インフレ」を抑えようとする。結果的に米経済にプラスだからだ。

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「正論」を振りかざせ。

「正論」を振りかざせ。

 この発言を見たXX生命の研究員は「目が点になった」と反応していたが、「どこが?」。けだし正論だろう。特に筆者が「インフレ」転換点と見ている2016年以降、ずっと感じてきたことと同根。この主張に驚く事自体に日本の金融界の "劣化" 、ひいては社会全体の "病巣” を強く感じる。

 何が「正論」か、わからなくなってしまっている。

 思い返せば1990~2000年代の「バブル」崩壊以降、30年以上

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時は金なり。ー 日本人が苦手な「時間価値」の算定。

時は金なり。ー 日本人が苦手な「時間価値」の算定。

 筆者の世代(50代)だと「欧米かぶれしやがって!」と批判を受けそうな格言だが、日本人は本当に「時間価値」を計るのが苦手。投資やマーケットの世界で典型が「金利」だろう。説明をしようと思うと横を向いてしまう日本人の何と多いことか(「損切丸」の読者は別)。

 テレビでもドル円や日経平均が上がった、下がったのニュースは毎日のように流れるが、「金利」の話はとんと出てこない。説明がややこしくて、筆者の母(

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「インフレ」か「銀行救済」か。二兎を追うFRB。ー 荒れるドル短期金利。

「インフレ」か「銀行救済」か。二兎を追うFRB。ー 荒れるドル短期金利。

 CPI自体は「遅行指標」であり過去の結果に過ぎない。目の前で起きている「銀行破綻」と直接比べるのもどうかとは思うが、2月の数字はほぼ予想通りであり、3月FOMCで+0.25「利上げ」するかどうかの決定打にはなり得ない。今はとりあえず銀行の「資金繰り」が最優先。

 しかしドルの短期金利はもう滅茶苦茶(苦笑)。一時@4%割れまで突っ込んだ2年米国債は@4.3%台までしれっと戻しているし、@4.6%

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"財源" は「国債」? ー ”借金” の基本。

"財源" は「国債」? ー ”借金” の基本。

 「車を買いたいのでローンを組みたい。お金は ”借金” して返します」

 皆さんが車のディーラーで顧客がこう言ってきたらローンを組んで車を売るだろうか。「損切丸」ならこんな人には絶対に売らない。「お金」が返ってくるか不安だからだ。

 「防衛費増額の "財源" は国債で」

 ??? 本気でこんな事を議論しているのだろうか。「借金」をしたことがないか、あるいは悪質なレトリック(詭弁)だ。とにかく

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聞こえてきた「資金繰り」の "悲鳴" 。ー もう "お金” や "銀行" が「真ん中」ではない。

聞こえてきた「資金繰り」の "悲鳴" 。ー もう "お金” や "銀行" が「真ん中」ではない。

  アメリカの*FF市場での取引が急増している。QE(量的緩和)の影響で1,000億ドル以下に減っていたが、QT(量的引締)、「利上げ」により銀行の「資金繰り」がタイト化。直近の取引高が急増し1,200億ドル(≓15.6兆円)を超えている( ↑ 標題グラフ)。

 FF市場の主な貸し手はFHLB(連邦住宅貸付銀行)。「利上げ」による金利上昇で余剰資金を同市場に積極的に振向けている。一方借り手側は国

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