見出し画像

日本の「インフレ」の正体。その後...

 日本の「インフレ」の正体。|損切丸 (note.com) を書いたのが約1年半前。それからこの国でどういう変化があったのか、検証してみた

 前稿の中で強調したのが20代 ≓「Z世代」の「値上げ許容度」の低さ。ただこれも「インフレ」を実体験して変化が起きつつある。ようやく 「預貯金」では「インフレ」に追い付けない!|損切丸 (note.com) という "FACT" (事実)に辿りつきつつあるようだ

 象徴的なのが「投資」に対するスタンスの変化。21歳の娘(大学生)とその友人の間でも「新NISA」の話題が出るようだから、まずはでも買ってみようかという気運が醸成されているのだろう。これはある意味「大きな変化」だ。 ”景気は気から” とよく言われるが、若年層のマインドが「デフレ」から「インフレ」にシフトした影響は計り知れない日経平均が年初から驚くべき上昇で今日(1/11)あっという間に@35,000円超え

 それでは企業サイドはどうか。「自社株買い」がキーワードの1つ

  ”日本は2016年からインフレ転換”「損切丸」の持論だが、企業も2019年から猛烈に「自社株買い」を増やしている「コロナ危機」で2020年には保守的経営で一旦手を引っ込めたが2021年にはすぐ再開。2023年には過去最高の9.3兆円も買っている。これでは株価が下がりようがない

 「ユニクロ柳井氏、京大・本庶氏、山中氏の医療研究に100億円寄付を即決」に思うこと。|損切丸 (note.com) を書いたのが約2年半前だが、柳井氏に限らず多くの上場企業の経営陣は今の「スタグフレーション」的状況を予見していたはず。そうなれば400兆円もの余剰金を「お金」のまま持っている事は「損」に直結しかねないため「自社株買い」に動いた事になる

 「個人」の家計で言えば、手元に余っている「お金」で無駄な「借金」を返したり(筆者もそうしたが)必要な保険料を5年、10年前払いする行為に当る。本社ビルの建て替えや自宅購入も同様の「投資」であり、「インフレ」対策として "いの一番" に挙がってくる選択肢だ

 この流れがようやく "川下" ≓「個人」に降りてきている。ネット証券の広告を見ると、今や「手数料無料」は当たり前。特に「25歳以下」をターゲットにした優遇策が目立つ。「将来の投資家」を "青田買い" するのは企業戦略として当然。真面目で勉強熱心な「Z世代」を変な営業トークで引込むのはもう無理。口八丁で回転売買させるなんて "昭和的手法" は通用しない。何しろ必要な情報はSNSなどに氾濫しているのだから(含.「損切丸」?)

 1人年間360万円、5年で1,800万円の「新NISA」だが、このインパクトは思ったより大きい1,000兆円もの「預金」を預かる「銀行」側から考察すると「お金」の様子がより客観的に見えてくる

 日経平均ETFを買う人もいるし ”オルカン” = eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、あるいは米株ファンドを買う人もいるだろう。その度に*「銀行」から「預金」が引き出される「資金繰り」担当者も数億円程度なら無視できるが、これが数百億、数千億となれば看過できない特に影響が大きいのが「余剰資金」で買っていたJGB(日本国債)の扱い「資金繰り」が保守的になる結果、特に長期債を売ることになる

 *日本株が売買される場合「銀行」間で「お金」の移動は生じるがまだ国外に出て行かないだけマシ。 ”オルカン” や米株で「円売り」を伴う場合、「円」を受け取った海外の投資家は「実質金利」がダントツに低いJGB、e.g., 10年@▼2.71%、を買ったりはしない。結果円金利の上昇が促される

 「日経平均が34年振りの高値」と言っても、対象銘柄は大幅に入れ替わっており名目値を比較する事に余り意味はない。ただ「円安」やPER等の株価指標でみた日本株の「割安」が長い間放置されてきたことも事実。それよりも「失われた30年」で日本人に染みついた「預金信仰」の呪縛が徐々に溶けてきた「変化」の方が重要

 今回も「辰年」や「阪神タイガース優勝の翌年」の株価上昇のジンクスは健在か。そういえば今年は60年に一度の「甲辰」で、特に激しい年らしい。前回1964年は奇しくも筆者が生まれた年で「東京オリンピック」が「高度成長期」の幕開けを告げた。2024年もそうなる雰囲気は十分にある。

 改めて 日本人はもっと「お金」に拘っていい。 ー 「清貧思想」の呪縛からの開放。|損切丸 (note.com) そういう思いを強くするが、出来るだけ多くの人が成功体験を積んで「投資」が報われることを祈っている

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?