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#音楽
【音楽×小説】祝福のメシアとアイの塔
———なんということだろう。
人が神の怒りに触れたその時から、世界を保つために15年ごとに繰り返されるこの儀式。
あの子が、救世主に選ばれてしまうなんて。
「……絶対に、あの子を独りではいかせない。 皆、いいね?」
村の長としてこれまで私たちを引っ張ってきた彼の言葉に、私たちは何の迷いもなく頷く。
みんな一緒なら、恐れるものはなにもないから。
あの子と共に、私たちも塔へ連れ立とう。
ほら、君も一緒に歌おうよ。
Goose houseの動画を初めて見たのは、体調が悪くてベッドで横になっている時でした。
ゴロゴロしながら見ていたYoutubeのおすすめ欄で見つけて見てみると、楽器を片手に楽しそうに歌う彼らがいて。
「僕たち、私たち、音楽が大好きなんです!」って全身で表現しているような、見ているこちらもつられて歌いたくなるような。
何本か見ているうちに、彼らのうきうき、わくわくした感じがわたしにも伝染して
「あの日踏み出して 初めて感じたこの痛みも全部」
ペーパードライバーズ講習を受けること3回。
ついに昨日、初めてのマイカーを納車した。
ほんの少し前まで車の運転なんて考えられなかった自分が嘘みたいに、アクセルを踏む怖さが消えていって、右左折や車線変更も拙いながらもできるようになって、駐車も少しずつできるようになってきて。
ハンドルを握る度、できることが増えていくのが心底楽しかった。世界が一気に広がったように感じた。
———だけど。
交通安全祈