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言えないことばは旋律にのせて

わたしは喜怒哀楽をはっきりと表せる性格ではない。

特に人に対して「怒り」を表現するのがとても苦手で、耐えきれなくて表現しようとするととても不器用なやり方になるし、
それが自分でもすごく嫌だから、余程腹に据えかねない限りは、まるで怒りなんて感じていないかのように笑ってごまかしてしまう。

———それでも、わたしも人間だから、傷つくときは傷つくし、怒るときは怒る。
上手に態度に出すことができないだけで。

***

通勤電車の中で、Every little thingの「Time goes by」を聴いていた。
原曲もいいのだけど、わたしはバイオリンなどの音色が入ったオーケストラバージョンが好きで、聴いているといつも自分も歌いたくなる気持ちに駆られる。

今日も、歌いたいな、最近歌ってないな、と思っていて、
そんな時にふと気づいた。

———喜怒哀楽を上手に表現できないわたしはきっと、歌うことで感情を放出していたのだ。

わたしが中学時代に所属していた合唱部のモットーは、「心で歌え」だった。
正しい音程や楽譜に書かれた符号を追いかけて“綺麗”に歌うだけではなくて、
歌詞に込められた想いや、歌に出てくる人物の感情を掬い上げて歌うこと。

そうして初めて、聴いている人の心に届くのだ、と。

———最近のわたしがどこか、感情や心をどこかに置き去りにしてしまったような心地になることがあったのは、歌から、合唱から離れて久しいからなのかもしれない。

ああ、歌いたいな、と、強く思った朝だった。

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