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【音楽×小説】オワリはじまり

他の学年は10人以上の部員がいる中、わたしたちの学年はたった9人だった。

最終学年、3年生になってからは、9人で団結して20人以上はいる後輩たちを引っ張りながら駆け抜けてきたのだ。

———だけど、それも今日で最後。
この文化祭のステージを最後に、わたしたち9人は合唱部を引退する。

ステージの締めは、3年生だけで歌う曲目だ。
活動の集大成にわたしたちが選んだのは、かりゆし58の「オワリはじまり」。

きっと、これまでの先輩方が歌ってきたような王道の卒業ソングではない。
だけど、その歌詞は、今日で合唱台から降りることになるわたしたちにも、春になったらそれぞれの未来へと歩む同級生たちにもしっかりと刺さるものになっている。

———わたしたちのこの日々が思い出に変わるのはきっと、最後の最後だ。
今この瞬間を、少しも残さず刻み込んで、お別れするための準備を始めよう。

わたしは、仲間たちと視線を交わし合うと、全員合わせて息を吸った。

さあ、歌おう。オワリのはじまりに向けて。


***

中学時代に所属していた合唱部での思い出を、小説仕立てにして書いてみました。

懐かしいな、合唱部。第二音楽室、今も変わらずあのままかな。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました*°


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