「あの日踏み出して　初めて感じたこの痛みも全部」

ペーパードライバーズ講習を受けること3回。
ついに昨日、初めてのマイカーを納車した。

ほんの少し前まで車の運転なんて考えられなかった自分が嘘みたいに、アクセルを踏む怖さが消えていって、右左折や車線変更も拙いながらもできるようになって、駐車も少しずつできるようになってきて。
ハンドルを握る度、できることが増えていくのが心底楽しかった。世界が一気に広がったように感じた。

———だけど。
交通安全祈願をしに行くために車を走らせていた今日、運転していてヒヤッとする場面が度々あって。
隣に乗っていた母からもいろいろ言われて、すごく落ち込んだし悔しかった。

なかなか上手くいかないな、もっとスムーズに運転できるようになりたいのに。

悔しい気持ちはなかなか消えなくて、モヤモヤイライラして、しばらくソファの上でゴロゴロしながら悶々としていた。
時刻は23時近く、ああ、そろそろお風呂に入らなければ。

気持ちを切り替えないとソファから起き上がれない、どうしたものかと考えていた時、ふとこんな気持ちが湧き上がった。

そもそもこの間まで全く出来もしないことだったんだし、慣れないことを最初から上手くやろうなんて出来っこないのでは？

そして、それと同時にある曲の歌詞が頭を過った。

嗚呼　手を伸ばせば伸ばすほどに
遠くへゆく
思うようにいかない今日も
また慌ただしくもがいてる
悔しい気持ちも　ただ情けなくて涙が出る
踏み込むほど　苦しくなる
痛くもなる

YOASOBIの「群青」だ。

———ああ、そっか、わたしが今こんなにも悔しいのは、車を運転できるようになろうって、あの日一歩を踏み出したからなんだ。

次第にもやが晴れてきたわたしの頭は、さらにその続きの歌詞を呼び起こす。

嗚呼　何枚でも　ほら何枚でも
自信がないから描いてきたんだよ
嗚呼　何回でも　ほら何回でも
積み上げてきたことが武器になる

——きっと車の運転も、何回も何回も回数を積み重ねていけば、いつかスムーズにできるようになるはずだ。
桃と栗だって実を結ぶのに3年かかるし、柿は8年かかる。
ローマだって1日で成った訳ではない。

少しずつ、自信も運転の技術も積み上げていこう。
今感じている悔しさも苦しさも痛みも、全部全部良いものに変えられるように。
あの日踏み出した自分を、いつか誇れる日がくるように。

群青/YOASOBI
https://sp.uta-net.com/song/290004/