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店舗設計士の日常

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ステキなお店作りのヒントや、コツなどをプロ目線からお伝えします。インテリアデザイナーとして過ごす日々の出来事や趣味の話も。
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2019年4月の記事一覧

皆が休む時に働き、皆が働く時に休む

皆が休む時に働き、皆が働く時に休む

世間では10連休らしいけど、わがやは通常営業中。いや、正確には幼稚園がないのでわがやの怪獣2匹(娘2人)は平飼い状態で、控えめに言って部屋にトラックで突っ込まれたみたいになっている。

そんな暴走トラック野郎が2人も暴れまわっているマッドマックスな家だが、僕は連休中は仕事だ。いや、もともと夫婦共々フリーランスで土日とか祝日とかあんまり関係がない。

フリーランスは自由な槍、いつ槍を構えて振るかは自

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批評家ではなく実務家でありたい

批評家ではなく実務家でありたい

常々、ずっと思っていることがある。世の中ではなぜこうも自分では作ってもいない、作れもしないものに対してアレコレ言いたがるのだろうか?

自分にできないのに他人に期待して、それを丸投げしたあげくに期待はずれの判を押す。その傲慢さに客観的に気づいた時、なんという身勝手な振る舞いだろうと恥ずかしくなる。

・・・そう、僕だよ。これは自分自身の話だ。

育児をしていて、まだこの世に生まれて数年という娘たち

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新宿三丁目で折りたたみ傘を売っていた君へ

新宿三丁目で折りたたみ傘を売っていた君へ

2007年4月。新卒で丸井グループのデザイン会社にデザイナーとして入社した僕は、新宿三丁目の丸井の1階で折りたたみ傘を開けたり閉めたりしていた。

「いらっしゃいませ〜!どうぞごゆっくりご覧くださ〜い!」発声は滑舌よく丁寧に、背筋を伸ばして作り笑顔を忘れずに。

慣れない革靴で足の裏が痛かったが、緊張しつつも数々のバイト経験で販売員も経験していたので不安はそれほど感じていなかった。

あれ?デザイ

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#酒場 まとめマガジンはじめます

#酒場 まとめマガジンはじめます

ちょっとお休みしていましたが、実はnote編集部公式マガジンのピッカーだったりします。担当しているのは #デザイン#フード#育児 の三本。ちなみに無給の有志ボランティアです。

どれも一応は専門分野だったり当事者だったりで身近なところなので、良いと思った広めたいnoteを吟味してマガジンに追加しています。ちなみにピックアップの権限は持っていますが、自分のnoteは自分でピックアップしな

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空間への美意識の持ち方について

空間への美意識の持ち方について

なんてことはない、気づかない人がほとんどだろう。しかしモダニズム建築の巨匠ミース・ファンデル・ローエはこう言った。「神は細部に宿る」と。

空間デザインをしていて、それこそ細かい箇所へこだわり始めればキリがない。塗装1つにしてもローラー塗りなのかハケ塗りなのか、色味から骨材の混ぜ方から仕上げ方まで、選択肢は無限大だ。

たかだかビス1本でも普通のコーススレッド(銀色のプラスネジ)を仕上げに見せるの

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今日も寝起きにクスリをキメる

今日も寝起きにクスリをキメる

いつからだろうか。物心ついた時には鼻水が垂れていたと思う。まだ純粋無垢な幼稚園児くらいの頃だったか、お母さんのワンピースの裾でそっと鼻水をぬぐった記憶が残っている。

思えばこの鼻づまりとの付き合いも30年越え。その間、実に25年近くほぼ鼻の詰まった人として生活して来た。

もちろん耳鼻科には行っていたし、母親のすすめる謎の漢方薬を毎朝飲んだり、謎の健康食品(黒酢?)を毎朝飲んだりもしてみた。

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上手じゃなければ楽しくない、という呪い

上手じゃなければ楽しくない、という呪い

デザイナーという仕事柄、スケッチを描いたり簡単な絵で説明することが多い。だから周りからすれば絵が上手い人というくくりになるんだけれど、本人は全然そうは思えていない。

専門職という道を選べば、必然的にそこを目指す数多の人たちとの競争になる。どうしたって技術の上手い下手はついてまわってしまう。

僕は運良く入学→卒業→就職→独立と進んできたけれど、じゃあここに来るまでに競い合った他の誰よりも技術的に

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予算を抑えつつ、いいお店を作るには?

予算を抑えつつ、いいお店を作るには?

仕事柄、多くの方からお店づくりのご相談を受けるわけですが、中でも個人オーナーさんの場合はなるべく手頃な価格で、でもできるだけ要望を叶えて欲しい!という方が多いです。

一見すると何を無茶な!という内容なのですが、とにかく安く作って欲しいというオーダーと、ここまでしかお金はないけれどできるだけ良いものをというオーダーは似ているようで違います。

前者はコストファースト。後者はドリームファースト。

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西の果ての島に伝わる幻の饂飩

西の果ての島に伝わる幻の饂飩

饂飩=うどん=UDONって食べたことありますか?たぶん、小麦アレルギーじゃない限りは食べたことある人が多いと思います。では、饂飩にも種類があるのはご存知ですか?

有名どころだと讃岐うどん、稲庭うどん、水沢うどんとかですかね。僕は仕事柄いろいろと出張も行きますが、富士吉田(山梨県、富士急ハイランドのそば)での仕事の時は吉田うどんを食べました。やわ系なら伊勢うどんや博多うどんも好きです。

そんな色

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心の病院のハードルが高すぎる

心の病院のハードルが高すぎる

今年の1月半ばから4月頭まで、ほとんど仕事が手につかずぼんやりと過ごしていた。そう聞くとのんびりと縁側で日向ぼっこ的なイメージがあるけれど、実際は全然違う。

やらなければいけない仕事、しなければいけない連絡や相談、返さなきゃいけない返事はたまっていく。それらを見るほどに焦る。

なのに、体が硬くなり動けない。手がつかない。

toDoリストを作る、作業手順書を書く、今までどうやっていたかを思い出

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万年筆はじめました

万年筆はじめました

ちょうど去年の今頃だった。

ずっと欲しかったLAMYの万年筆に、オールブラックの限定モデルが発売されると聞いて、銀座の伊東屋に買いに走った。

そんな万年筆への憧れは遡ればまだ学生時代。

当時、僕が通っていた内田先生のアトリエは六本木ヒルズを超えた先の麻布寄りの坂の途中にあって、そこで20-30名の希望者向けにデザイン業界のトップランナーの方々を招いてよく有料のセミナーを開いてくれていた。

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和のデザインと陰翳礼讃

和のデザインと陰翳礼讃

以前、オススメのデザイン本を紹介したnoteを書きました。その中で僕は一番最初に谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」という本を紹介したのですが、本日はなぜそれを紹介したのかをもう少し深掘りします。

陰翳礼讃という文化資本
陰翳礼讃はタイトル通りの暗闇万歳!といった内容なのですが、その根底には鎖国を経て文明開化に至った日本独自の文化の魅力とは何なのか?を綴っています。

日本が誇る文豪、谷崎潤一郎による翳りの

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続・ブラトップの干し方がわからない

続・ブラトップの干し方がわからない

まず最初に断っておくが、この干し方のわからないブラトップは僕のじゃない。妻のだ。

そんな書き出しで綴った洗濯モノ干し方問題への提言も早1年前になりつつある。あれから1年、残念ながら僕はちっとも進歩できていないらしい。

当初は干し方がわからなかった新生児用の服たちは、結局干し方がわからないまま娘たちが大きくなって、タンスの奥へと吸い込まれるように消えていった。

よだれやら何やらで謎のシミが残っ

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進むほどに無知を知る

進むほどに無知を知る

僕の専門は店舗設計とデザインです。

路面店や商業施設なんかに入るお店を作るのが仕事で、時には商業施設そのものを設計・デザインする時もあります。

独立前は業界大手の設計施工会社でデザイナーとして働いていたので、新丸ビルの四川料理店や有楽町丸井のセレクトショップなんかがデビュー戦でした。

その後5年間で大きいやつだと高速道路のサービスエリア(三芳の上り線、横川の下り線etc)なんかをチームで担当

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