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【読書メモ】『砂の器』 著:松本 清張(新潮文庫 / 1973年刊)

惨殺死体。被害者が残した謎の言葉〈カメダ〉。犯人と被害者を結ぶものは何か?

↓ 新潮社HPより


自分が思う松本清張作品の魅力

この夏、『点と線』にて松本清張氏の作品を初めて読みました。
昭和の日本の雰囲気を感じる事が出来てとても興味深いのです。
ミステリーとしても、先が気になって止まらないストーリー。
そして、欠かせない要素である(?)ミステリアスな美女の存在・・・。

当時のあらすじや表記への素朴な疑問

まず気になったのは、あらすじの「老練刑事」という主人公の人物紹介。
主人公の今西刑事は45歳です。盆栽と俳句を嗜むなど渋さはありますが、息子さんはまだ10歳くらいですし、「老」というほどでもない?
ということで辞書検索・・・ ↓

老練とは → 経験を積んで、物事に熟練していること。

あ~なるほど。「ベテラン刑事」ってニュアンスでしょうか。
それなら納得。

その他、本文での今と違う言語表記がいくつか。
仕合わせ ← 幸せ?
停年 ← 定年?

こういう違いって、なんだか面白いからメモしながら読めばよかったなと。

昭和の主婦はスゴイ

時代の違いで気になるのはやはり女性キャラの描写。
主人公の奥様”昭和の主婦”の、夫へ尽くす仕事ぶりったら!

革靴磨いたり、新聞取ってきたり、出張の時は駅のホームで見送ったり、サッと夜食出したり、熱燗をつけたり、急に夫の後輩が家に来るから「すき焼き」を準備したり・・・
サラっと文句を言わずやる。それがあたりまえだったんだろうな~。

ワタシだったら夫のタバコ買いに行ったりしませんよ。
「はぁ?自分で買えば~?」イラッですよ。(吸わんけど)

映画版のキャスト

ウチにあった新潮文庫の装丁は旧デザイン ↓

上巻280円・下巻320円!!

表紙をめくった所に映画版のシーンのモノクロ写真が載ってるんです。
主人公=「丹波哲郎」氏!
読んでる時のイメージはずっとこの写真にお世話になりました。

読み終わってから検索してみると、主人公と絆を深めてく若い刑事役は「森田健作」氏なのか。昭和のハンサムだらけ。

しかし、映画の脚本は原作の一部をかなり膨らませているようで。
あらすじ文で犯人をほぼネタバレしちゃってて。。。いいのこれ?!
昔のミステリー小説とはいえ、読む前の犯人バレには要注意。


犯人、最後の方までわからなかった

『点と線』は早いうちに犯人はまず判明して、そこからの時刻表トリック破り、そして真相のどんでん返しが面白かったのですが。
『砂の器』は最後の最後辺りまで、「えっ?どっちがどっちなの?」という読者へのハラハラドキドキを持たせる感じが良かった。

そしてまさかの殺害方法!あー、トンデモでびっくりした~!

新進気鋭の若者軍団「ヌーボー・グループ」(名称、ちょいダサで笑う)
現代だとネットを騒がせてバズってそうな、華やいだインフルエンサー集団とういうポジション?!彼らの人間模様と女性関係も見どころでしたね。

”社会派”部分

清張先生は「社会派ミステリー」作家ですが、今作ではたぶん当時問題になっていた「ハンセン病」への差別の要素が社会派部分だったようで。
恥ずかしながら知識が無くてピンとこなかった。少し調べると、平成になっても問題は続いていたのか……令和の今はどうなったのだろう。

約50年前の小説、そういう点でも凄く勉強になります。


そのほか

この『松竹映画100年の100選』というHP、2年前のやつかな。

いろいろな当時の宣伝ポスターが載っていて興味津々です。
今ではこれアカンだろっていう、配慮とかない時代のやつ。これぞ映画史。

『昭和史発掘3』
同じく、松本清張先生のこちらの文庫も少し読んでみたのですが。
まるで大学の講義を受けているような難解さ。
知的レベルが上がりそう。

砂の器本文でも、清張先生取材のありがたい講義が度々ある


おわりに

作中で、謎を解くのに必要な戸籍が、戦時中の空襲で焼けてしまって結局謎のまま…という描写があったり。今ではありえないほど捜査の手間がかかり、主人公が四苦八苦するもどかしさったら!
その”もどかしさ”がミステリーと相性が良いというか。

ん~、感想が止まらないのでそろそろ切り上げます。

もっと昭和のミステリーを読んでみたいので蔵書から探してみよう。

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※noteの素敵な記事の影響でカバーとしおりが気になる

自分には無かった感覚なのですが、読書する時のお供として、「カバー」や「しおり」にこだわるの良いですね。読書タイムがワクワクしそう。
特に「しおり」って読書中に何度も手にするからお気に入りを使いたい

そう思いつつ今回使ってた「しおり」。
・・・なにこれ懐かしっ・・・。(その辺にあったやつ)

2画面にラモスと落合!


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