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#読書感想文

阿刀田高「旧約聖書を知っていますか」読書感想文

阿刀田高「旧約聖書を知っていますか」読書感想文

阿刀田高は “ 要約 ” の名人らしい。
ちなみに “ あとうだ たかし ” と読む。

で、その要約は『知っていますかシリーズ』となってると、回覧新聞の書評にあった。

その名人の『知っていますかシリーズ』に、世界でいちばんに読まれているという聖書があるのだ。

これは、ダブルで読まなくてはいけないだろう。
でも、聖書を読むのは、ちょっと怖い。

もし、聖書に感化されたらどうしよう?
もし、キリ

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白取春彦編訳「超訳 ニーチェの言葉」読書感想文

白取春彦編訳「超訳 ニーチェの言葉」読書感想文

ニーチェの本となると、読む前から挫折しそうな気が。
でも避けて通れない。

その名前と、昔の哲学者とは知っている
官本室にあってマークしていた本となる。

春の日だった。
手にとってパラパラとめくってみた。
文字量は少なくて、余白が多い。

1ページには抜粋がひとつ。
そこに、数行の意訳があるだけの232ページ。
これだったら読めそうだ。

実際に1時間ほどでペラペラと読める本だった。
読んだはい

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三島由紀夫 | 小説読本(中央公論新社)

三島由紀夫 | 小説読本(中央公論新社)


はじめに

 最近、まともな物語がまったく書けない。「いや~あんたは前からまともな作品なんて書いてないじゃないか」と言われればグウの音も出ないのだが、少なくとも自分で納得のいくものが書けていないという意味でスランプ状態である。

 それなりに多くの小説らしきものはたくさん書いてきたが、長編小説と呼べるようなものは皆無であり、思い付いたことを、ただ何の構想も練ることなく、書き連ねてきただけに過ぎな

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世界文学の消滅について

世界文学の消滅について

月刊雑誌「中央公論」を久しぶりに手にして、2022年8月号をざっと斜め読みをしながら、思いもかけずに面白い記事を目にしました。

比較文学を専攻される日本大学の秋草准教授の寄稿された記事。

とても興味深く読みました。

なぜ日本人はあれほどに世界文学全集が好きだったのか。かつては「3000万人」の読者がいたそうです(全集の売り上げから推定された読者数です)。

「好きだった」や「いた」という言葉

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読書📚何もしないほうが得な日本

読書📚何もしないほうが得な日本

「何もしないほうが得」が生み出される背景①全体と個が調和する「前提」に立っているから

日本の組織では、全体の利益と個の利益が調和することを"暗黙の前提"にして制度が作られているため。(ここが問題の出発点)

契約やルールで定めなくても利己的な行為をする者はいないことが前提のため、本音(利己的な本音)を公に語れない。

「情意(態度や意欲)」という曖昧な評価基準があるのも日本の組織の特徴。

結果

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