高山正行

公共政策に関するコンサルタント。早稲田大学建築学科、同大学院石山修武研究室修了/伊東豊…

高山正行

公共政策に関するコンサルタント。早稲田大学建築学科、同大学院石山修武研究室修了/伊東豊雄建築設計事務所、設計事務所代表を経て、現職。経歴以外に影響を受けた言説は、柄谷行人、岡崎乾二郎、アナール学派など。 ジャンルによらず関心のあるテーマを扱います。

記事一覧

音楽の原理4:音楽の分節と言語の分節

音楽と言葉、どちらもメッセージを伝達するための手段である。 ただ、言葉は音楽に比べて表現できる情報量が圧倒的に多い。先の投稿で使った概念を用いれば、表象の力が強…

高山正行
1か月前

音楽の原理3:ヒトはなぜ歌うのか

先日より投稿している「音楽の原理」に関連する番組がNHKオンデマンドで公開されていたので、「音楽の原理3」として共有します。 現在の人間社会では、音楽は高次元の芸術…

高山正行
2か月前
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音楽の原理2 :言葉、音楽、音の関係

これは、先の投稿「音楽の原理」の続編である。 そこで書いた通り、音は物理的には空気の振動である。その微細な振動を知覚出来るのは、人間が耳という器官を持っているか…

高山正行
2か月前
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坂本龍一の晩年:音楽、音、ノイズの接合

雲のような曲 この画像は、坂本龍一が最晩年に構想していたオーケストラ曲の為のスケッチである。NHKの番組で紹介された画面をキャプチャーしたものだ。 この曲は、坂本…

高山正行
3か月前
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1300年間の人口推移からみた今とこれから

国土交通省のウェブサイトでは、西暦700年から2100年まで、過去から将来の推計までを含んだ日本の人口の推移を示したデータを公表している。 下図は、そのデータを用いて、…

高山正行
3か月前
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音楽の原理

音楽は、耳があるから聞くことができる。人間に耳がなければ、音楽もない。 物理的に、音は空気圧の振動である。にもかかわらず、人間は音から様々な意味を読み取り、音を…

高山正行
3か月前
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各国の雇用労働者産業別割合と一人当たりのGNI(国民総所得)の関係

比較対象として抽出した各国の雇用労働者産業別割合と一人当たりのGNI(国民総所得)の関係を、ウェブ上で公開されていたデータを用いて示したのが、次のグラフである。 一…

高山正行
6か月前
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関門海峡から考える古代日本の成立過程

関門海峡。 本州と九州を隔てる海峡である。 実際にその岸に立ってみると、両岸の距離は大きな川幅位でしかなく、九州側の岸から、本州をはっきり眺めることができる。 船…

高山正行
6か月前
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処理水の放出について

放射性物質の多くは、分解するまでの時間が極めて長く、長期にわたって放射線を出し続ける。 その為、放射性物質は、他の廃棄物のように焼却したり埋め戻すことなく、密閉…

高山正行
11か月前
2

書評:斎藤幸平著『人新世の「資本論」』

人新世とは、地質学的な年代区分として現代を指す名称である。 現代の人間の活動は、数十億年単位の地質学的年代区分にも明らかな特徴を与えるほど、地球環境に影響を与え…

高山正行
1年前
3

再考:邪馬台国

邪馬台国を再考する 「魏志倭人伝」に記述されている邪馬台国の位置をめぐる論争は、畿内説と九州説の二つの学説があり、いまだ決着がついていないといわれている。 ただ…

高山正行
1年前
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追悼坂本龍一:横断と接合の音楽家

FUNERAL 坂本龍一が、生涯を通じて追求したのは、異なる領域の横断と接合という思想である。 坂本龍一の作品には、定まったスタイルがないと言われる。しかし、初期から…

高山正行
1年前
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高層ビルの分布

高山正行
1年前
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水道管の劣化

高山正行
1年前
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CPUクロック周波数の推移

CPUクロック周波数の時間的変化を示したグラフ。 1985年から2000年代前半まで上昇しているが、その後伸び悩み、3GHzあたりで頭打ちになっている。 つまり、2000年代前半を…

高山正行
1年前
音楽の原理4:音楽の分節と言語の分節

音楽の原理4:音楽の分節と言語の分節

音楽と言葉、どちらもメッセージを伝達するための手段である。
ただ、言葉は音楽に比べて表現できる情報量が圧倒的に多い。先の投稿で使った概念を用いれば、表象の力が強い。

これは、情報を伝えるための単位を比較しても明らかである。
言葉は、発音という単位から構成され、音楽は音階という単位から構成されるが、それぞれ単位の数が大きく異なる。

人は、20Hzから200,00Hzの音を知覚できるが、音楽ではそ

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音楽の原理3:ヒトはなぜ歌うのか

音楽の原理3:ヒトはなぜ歌うのか

先日より投稿している「音楽の原理」に関連する番組がNHKオンデマンドで公開されていたので、「音楽の原理3」として共有します。

現在の人間社会では、音楽は高次元の芸術活動とみなされている。
しかし、「表象の強度」という指標から考えた場合、むしろ音楽より言葉に、高次元の認識能力が必要とされる。
音楽は、雰囲気やニュアンスなどの表象しか想起させないのに対して、言葉は、複雑でより具体的な意味や抽象的な論

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音楽の原理2 :言葉、音楽、音の関係

音楽の原理2 :言葉、音楽、音の関係

これは、先の投稿「音楽の原理」の続編である。

そこで書いた通り、音は物理的には空気の振動である。その微細な振動を知覚出来るのは、人間が耳という器官を持っているからに他ならない。
音波は鼓膜で知覚され、音として認識される。その中でも、一定の条件が整った時、音は音楽になり、言葉になる。
では、その条件とはなにか?そして、音と音楽、言葉にはどのような関係にあるのか?

音波の種類と表象の強度

上図は

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坂本龍一の晩年:音楽、音、ノイズの接合

坂本龍一の晩年:音楽、音、ノイズの接合

雲のような曲

この画像は、坂本龍一が最晩年に構想していたオーケストラ曲の為のスケッチである。NHKの番組で紹介された画面をキャプチャーしたものだ。

この曲は、坂本龍一が亡くなったことで未完となってしまったが、「12」で試みたアイデアをオーケストラで展開しようとする意図が、読み取れる。

スケッチの右上には、曲のタイトルと思われる「cloud S」という文字があるが、まさに雲のように、様々な音が

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1300年間の人口推移からみた今とこれから

1300年間の人口推移からみた今とこれから

国土交通省のウェブサイトでは、西暦700年から2100年まで、過去から将来の推計までを含んだ日本の人口の推移を示したデータを公表している。
下図は、そのデータを用いて、作成したグラフである。

この長い時間軸で見た場合でも、最も目を引くのは、現在の局面である。
明治維新1865年以後の急激な増加の後、2008年の1億2,808万人をピークとして、人口は減少に転じた。
そして、今後は明治維新以後の増

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音楽の原理

音楽は、耳があるから聞くことができる。人間に耳がなければ、音楽もない。

物理的に、音は空気圧の振動である。にもかかわらず、人間は音から様々な意味を読み取り、音を組み合わせて音楽をつくることもできる。
そもそも、人はなぜ空気圧の振動に様々な感情や意味を読み取ることができるのだろうか。

考えられるのは、人も進化の過程で音から意味を読み取る能力を身につけてきた、という仮説である。
音を聞く、という行

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各国の雇用労働者産業別割合と一人当たりのGNI(国民総所得)の関係

比較対象として抽出した各国の雇用労働者産業別割合と一人当たりのGNI(国民総所得)の関係を、ウェブ上で公開されていたデータを用いて示したのが、次のグラフである。
一人当たりのGNI(国民総所得)が高い国から順に並べている。折れ線グラフは、各国のGNIを示している。まて、棒グラフは、各国の雇用労働者の全体を100%として、第一次産業から第三次産業まで割合に応じて分割している。

帝国書院

この図を

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関門海峡から考える古代日本の成立過程

関門海峡から考える古代日本の成立過程

関門海峡。
本州と九州を隔てる海峡である。
実際にその岸に立ってみると、両岸の距離は大きな川幅位でしかなく、九州側の岸から、本州をはっきり眺めることができる。

船が海外との唯一の交通手段だった時代、この海峡の先に続く瀬戸内海は、大陸と奈良、京都を繋ぐ重要な水路であった。瀬戸内海は、太平洋や日本海などの外洋と異なり、島で囲まれているために、穏やかで、安全な船の航行に適している。

しかし、瀬戸内海

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処理水の放出について

放射性物質の多くは、分解するまでの時間が極めて長く、長期にわたって放射線を出し続ける。
その為、放射性物質は、他の廃棄物のように焼却したり埋め戻すことなく、密閉して保管することが原則である。

今回、その原則を破って、原発事故現場で発生した放射性物質をやむを得ず海洋に放出することになった。

政府は、放射性物質の濃度が安全基準値以下であることを根拠にして、安全性が確保されていると主張している。

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書評:斎藤幸平著『人新世の「資本論」』

人新世とは、地質学的な年代区分として現代を指す名称である。
現代の人間の活動は、数十億年単位の地質学的年代区分にも明らかな特徴を与えるほど、地球環境に影響を与えていることを示している。

つまり、この書籍のタイトルは、人間による環境破壊が地球規模に拡がった時代の資本論という意味になる。

これまで「資本論」は、経済学の理論書とと考えられてきた。
それに対して、本書は、マルクスの「資本論」を環境問題

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再考:邪馬台国

再考:邪馬台国

邪馬台国を再考する

「魏志倭人伝」に記述されている邪馬台国の位置をめぐる論争は、畿内説と九州説の二つの学説があり、いまだ決着がついていないといわれている。

ただし、その論争は、倭=日本という固定観念を前提として、弥生時代の日本について記述された「倭人伝」にある邪馬台国が、畿内か九州か、どちらにあったのか、という枠組みの中で行われている。

しかし、その枠組みを正しいといえるのだろうか。
国や国

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追悼坂本龍一:横断と接合の音楽家

FUNERAL

坂本龍一が、生涯を通じて追求したのは、異なる領域の横断と接合という思想である。

坂本龍一の作品には、定まったスタイルがないと言われる。しかし、初期から晩年までの作品を通して聞き直してみると、根底あるその思想を理解できる。

YMOにおける
人と機械、
アコースティックと電子機器。

80~90年代の
クラッシック音楽とポピュラー音楽。

「戦場のメーリークリスマス」から始まり晩

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CPUクロック周波数の推移

CPUクロック周波数の時間的変化を示したグラフ。
1985年から2000年代前半まで上昇しているが、その後伸び悩み、3GHzあたりで頭打ちになっている。
つまり、2000年代前半をもって、コンピュータの処理速度という技術開発におけるフロンティアが消滅した。