高山正行

都市・建築を専門とするコンサルタント

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最近の記事

1300年間の人口推移からみた今とこれから

国土交通省のウェブサイトでは、西暦700年から2100年まで、過去から将来の推計までを含んだ日本の人口の推移を示したデータを公表している。 下図は、そのデータを用いて、作成したグラフである。 この長い時間軸で見た場合でも、最も目を引くのは、現在の局面である。 明治維新1865年以後の急激な増加の後、2008年の1億2,808万人をピークとして、人口は減少に転じた。 そして、今後は明治維新以後の増加とほぼ同じ速度で、減少し続けると推計されている。 明治維新以後の急激な人口増

    • 音楽の原理

      音楽は、耳があるから聞くことができる。人間に耳がなければ、音楽もない。 物理的に、音は空気圧の振動である。にもかかわらず、人間は音から様々な意味を読み取り、音を組み合わせて音楽をつくることもできる。 そもそも、人はなぜ空気圧の振動に様々な感情や意味を読み取ることができるのだろうか。 考えられるのは、人も進化の過程で音から意味を読み取る能力を身につけてきた、という仮説である。 音を聞く、という行為は、動物としてかなり原初的な能力の一つかもしれない。耳は、人間に限らず、ほとん

      • 各国の雇用労働者産業別割合と一人当たりのGNI(国民総所得)の関係

        比較対象として抽出した各国の雇用労働者産業別割合と一人当たりのGNI(国民総所得)の関係を、ウェブ上で公開されていたデータを用いて示したのが、次のグラフである。 一人当たりのGNI(国民総所得)が高い国から順に並べている。折れ線グラフは、各国のGNIを示している。まて、棒グラフは、各国の雇用労働者の全体を100%として、第一次産業から第三次産業まで割合に応じて分割している。 帝国書院 この図を見ると、もはや産業の構造と、GNIに相関関係を見出せない。 第3次産業の割合の低

        • 関門海峡から考える古代日本の成立過程

          関門海峡。 本州と九州を隔てる海峡である。 実際にその岸に立ってみると、両岸の距離は大きな川幅位でしかなく、九州側の岸から、本州をはっきり眺めることができる。 船が海外との唯一の交通手段だった時代、この海峡の先に続く瀬戸内海は、大陸と奈良、京都を繋ぐ重要な水路であった。瀬戸内海は、太平洋や日本海などの外洋と異なり、島で囲まれているために、穏やかで、安全な船の航行に適している。 しかし、瀬戸内海をそのような交通路として機能させるためには、この狭い海峡を抜けなければならないが

        1300年間の人口推移からみた今とこれから

          処理水の放出について

          放射性物質の多くは、分解するまでの時間が極めて長く、長期にわたって放射線を出し続ける。 その為、放射性物質は、他の廃棄物のように焼却したり埋め戻すことなく、密閉して保管することが原則である。 今回、その原則を破って、原発事故現場で発生した放射性物質をやむを得ず海洋に放出することになった。 政府は、放射性物質の濃度が安全基準値以下であることを根拠にして、安全性が確保されていると主張している。 確かに、その説明は、分解しやすい物質に対しては妥当かもしれない。 分解しやすい物質

          処理水の放出について

          書評:斎藤幸平著『人新世の「資本論」』

          人新世とは、地質学的な年代区分として現代を指す名称である。 現代の人間の活動は、数十億年単位の地質学的年代区分にも明らかな特徴を与えるほど、地球環境に影響を与えていることを示している。 つまり、この書籍のタイトルは、人間による環境破壊が地球規模に拡がった時代の資本論という意味になる。 これまで「資本論」は、経済学の理論書とと考えられてきた。 それに対して、本書は、マルクスの「資本論」を環境問題に接合し、持続可能な社会を「脱成長コミュニズム」への変革によって、達成するべきだ

          書評:斎藤幸平著『人新世の「資本論」』

          再考:邪馬台国

          邪馬台国を再考する 「魏志倭人伝」に記述されている邪馬台国の位置をめぐる論争は、畿内説と九州説の二つの学説があり、いまだ決着がついていないといわれている。 ただし、その論争は、倭=日本という固定観念を前提として、弥生時代の日本について記述された「倭人伝」にある邪馬台国が、畿内か九州か、どちらにあったのか、という枠組みの中で行われている。 しかし、その枠組みを正しいといえるのだろうか。 国や国境そして、言葉とそれが意味するものは、時代により変化する。 日本において、「魏

          再考:邪馬台国

          追悼坂本龍一:横断と接合の音楽家

          FUNERAL 坂本龍一が、生涯を通じて追求したのは、異なる領域の横断と接合という思想である。 坂本龍一の作品には、定まったスタイルがないと言われる。しかし、初期から晩年までの作品を通して聞き直してみると、根底あるその思想を理解できる。 YMOにおける 人と機械、 アコースティックと電子機器。 80~90年代の クラッシック音楽とポピュラー音楽。 「戦場のメーリークリスマス」から始まり晩年まで継続された映画音楽の制作を通した 映像と音楽。 晩年の 音楽・音・ノイズ

          追悼坂本龍一:横断と接合の音楽家

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          高層ビルの分布

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          水道管の劣化

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          CPUクロック周波数の推移

          CPUクロック周波数の時間的変化を示したグラフ。 1985年から2000年代前半まで上昇しているが、その後伸び悩み、3GHzあたりで頭打ちになっている。 つまり、2000年代前半をもって、コンピュータの処理速度という技術開発におけるフロンティアが消滅した。

          CPUクロック周波数の推移