マガジンのカバー画像

ひとつなるもの すべてなるもの

242
ひみの連載ストーリー
運営しているクリエイター

#光と闇

第236話 隠されていた本当の秘密

第236話 隠されていた本当の秘密

 毒づいていた。
来る日も来る日も浄化をしても、未だ私の子宮の奥底に憑依しているヤマタ先生の意識に、もういい加減鬱陶しさを募らせていた。

 もちろんこの教師の他にもいくつか憑依は残っていたが、スサナル先生との間にある『性』エネルギーをクリアに浄化しようとする度に、必ずといっていいほどヤマタ先生が表面へと浮かんできていた。

「もう!私があなたのお相手じゃないってことは嫌というほどわかってるでしょ

もっとみる
第217話 盤上の駒は何を視る

第217話 盤上の駒は何を視る

『誰かがやらなきゃいけないんでしょ、それが私なんでしょ。
 だって私以外の他の人にはこんな重たいことできないでしょ。彼らじゃ潰れてしまうでしょ……。』

 シリウスから、叡智としての“意識の拡大”が与えられると、スタックしていたプレアデスのトラウマが一気に進展することになった。

 かの星の破壊とは別の角度から見れば、平和な故郷が奪われる闇を体験してみたいという集合意識と、それからプレアデス自体の

もっとみる
第213話 愛と憎悪を内包している

第213話 愛と憎悪を内包している

 かつて私とはプレアデスにおける、姫のような王女のような者だった。私ほどの深い愛を擁する者もそうはいない。

 ある時そこに彼らがやってきた。愛する星の者たちは、私ほどには彼らを受け入れる愛を持ち得なかったけれど、かといって彼らをどう扱ったらいいのか一様に皆考えあぐねていた。

 それでも目の前の異邦人たちは“現に目の前で”困窮している。彼ら自身、元いた星を追われて広い宇宙を彷徨っている。今、彼ら

もっとみる
第206話 スパイラルの光線を紡ぎ、その菩提樹を冠に

第206話 スパイラルの光線を紡ぎ、その菩提樹を冠に

 ハイヤーセルフ以上、オーバーセルフ未満のあたりの螺旋のどこかに繋がっている。

 自分の意識レベルが上がると私自身がハイヤーマインドになってくる。すると当然徐々に意識は拡大し、以前はアクセス不可能だった自分自身の更なる上の領域が次の教師となってくれる。
 これはその、スサナル先生の意識領域と会話をしていた時の話。

 故に今日は是非とも、あなた自身のハイヤーセルフに繋がりながら、通訳に入ってもら

もっとみる
第171話 人生でいちばん受け入れ難い日

第171話 人生でいちばん受け入れ難い日

「自分は、愛されてはいけないのではないか。」

 そんな思いが頭を掠める。
この前、スサナル先生に抱きしめられたことで出てきたおかしな違和感。これを自分なりに探っていくと、そんな答えに突き当たった。自分で自分を許せない何かが、さらに奥底に沈んでいた。

……

「ひみさん。相変わらずじゃんじゃん進んでいきますね。もう、“ひみさん”っていうのは一つの職業だね。おしごと。」

 次から次から課題を自ら

もっとみる
第162話 アヌンナキとレプティリアン

第162話 アヌンナキとレプティリアン

 かつて、“私”という魂が最初に地球に入植した頃。
地球創生のメンバーとして、“私たち”は地上を開拓し始まった。当時の私自身とは驚くべきことに、のちの世でアヌンナキ(※)などと言われるような存在だったらしい。
 その時のアカシックの多くはまだ私に秘匿されていて、具体的な様子まではわからないことも多々あった。だけどその中でも視えてきたこともいくつかあり、レプティリアンとはそんな当時、地球土着の爬虫類

もっとみる
番外編 オリオンの元戦士

番外編 オリオンの元戦士

「ねぇひみ、変な夢見たんだけど聞いて。」

 それは、私が離婚しあきらが中学校を卒業した春の一コマ。

「どんな夢?」

「父親とさぁ、戦ってるんだよ。あーだから、嫌だけどたぶんアイツからの憑依?
うぉら近づくなー!って言って、それからどうしたと思う?」

「んー、憑依体に対してってことは、バトル?」

「そう!
あのね、自分の背中を壁に押し当ててそこを支点にして、手に持ったクラッチ(杖)を両足の

もっとみる
第147話 オリオンアレルギー

第147話 オリオンアレルギー

「もう、ひみさーん。
本当ひみさんは相変わらずだねー。“ひみさん”っていう一つの概念。ひみこさまー!」

 会うたびごとに、私のエネルギーの変化に対して驚きと共に喜んでくれる宇宙子さんにからかわれながら、その日のセッションが始まった。

「どうします?今日は彼のことを進めてもいいし、お子さんのことをやっていってもいいし。」

 彼女からそう言われ、ハイヤーセルフにアクセスしてみる。

「……うーん

もっとみる
第134話 大丈夫。あなたもいつか必ず。

第134話 大丈夫。あなたもいつか必ず。

 話しかける。

「R、私がわかる?学校で見たことあるでしょ。あきらの母だよ。
あなたの苦しみが伝わってきたからお話をしにきたんだよ。」

「……あきらのおばさん?」

「そうだよ。私のことをわかってくれたのね。
うちね、親子で何でも話すから、あなたのこともあきらから聞いて知ってるの。
Rの想いがあきらに届かなくて、あなたが苦しんでること知ってるよ。」

 一体何度目の、Rに対する自己紹介になるだ

もっとみる
第127話 その導きは闇の向こうに

第127話 その導きは闇の向こうに

 スーパーの買い物から戻る時、家の手前で歩道を歩くけーこの姿を発見した。

「けーこ!」

 少し窓を開けて手を振ると、右折して私道へと入る私を追いかけて彼女が付いてきてくれた。会話をするのは一か月か、下手したら二か月ぶりくらいになるだろうか。
 車を降りるとけーこはいきなり「ねぇひみ聞いてよ、どう思う?」と愚痴を吐いてきた。付き合いの長い友人からのお裾分けが、度を越しているという内容だった。

もっとみる
第124話 ヒカリトカゲと

第124話 ヒカリトカゲと

 おかしい。何かがおかしい。
封印は解除されたはずなのに、未だ右半身からたくさんの恨みの感情が伝わってくる。

 過去世で私の兄だったというヤマタ先生からの念は、以前よりも少しは落ち着いてきたのだろうか。わからない。あまり変わったようにも思えない……。
 ベッドの上で輾転反側しながらも、抜けていった闇感情が頭の血流を圧迫し、それから吐き気も襲ってくる。

 あれからさらに数日。私は徐々に、兄妹説そ

もっとみる
第111話 白を纏って黒へと潜る

第111話 白を纏って黒へと潜る

 シャボン玉色の淡い光の太陽の元、私とあの人とが踊っている。

 今とは姿の違うスサナル先生が、こちらも姿の違う私を見つけると、“彼女”はくるくると回っている間に外見を少し変えた。
 すると今度は“彼”も外見を少し変え、二人は交互にちょっとずつその姿を変えていくと、やがて真っ白い服を着た私とあの人になって手を取って踊った。

「最後には、参加者全員がウェディングドレスになっていました」と報告のあっ

もっとみる
第96話 陰には陰の、陽には陽の。

第96話 陰には陰の、陽には陽の。

 サイレントに入ってから初めての新月を迎えた。
 高さのある防波堤の内側のようなところで、スサナル先生と向かい合っている夢から一日が始まった。“今、離れていても君に想いを捧ぐ……”。そんな歌が、高波から身を守るその場所に二人立っている間ずっと、頭の中で流れていた。先生の好きなバンドの歌だった。

 昔から、新月にも満月の日にも、強い切り替わりは感じていた。その日を境に睡眠も変化するし、体調も変化す

もっとみる
第79話 異世界の日

第79話 異世界の日

 中学校横の公園に数台連なる観光バスの姿を確認すると、ちょっと慌てて小走りになった。すべての乗客を降ろし終わったバスは、前から順にウィンカーをチカチカさせて、幹線道路へと消えていく。卒業遠足に参加したあきらは、とっくに到着してしまっているのだろうか。

 夕方の薄暗さの中で、すれ違いざまにフロントガラスに貼られている団体名をちらっと見ると、今到着したのは3号車まで。よかった、あきらのクラスはこの後

もっとみる