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第217話 盤上の駒は何を視る


『誰かがやらなきゃいけないんでしょ、それが私なんでしょ。
 だって私以外の他の人にはこんな重たいことできないでしょ。彼らじゃ潰れてしまうでしょ……。』


 シリウスから、叡智としての“意識の拡大”が与えられると、スタックしていたプレアデスのトラウマが一気に進展することになった。

 かの星の破壊とは別の角度から見れば、平和な故郷が奪われる闇を体験してみたいという集合意識と、それからプレアデス自体の許可がなければ起こり得ないこと。そのための憎まれ役を私が引き受けたということになる。
 つまりそれは、プレアデスという星自体に“私が呼ばれた”ということであり、私が“彼女”と“彼女に暮らす魂たち”の願いを『闇を込めて』与えてあげられたということ。宇宙とはよくできている。

 長きに渡り光しか知らないということは、一見均衡が取れているように見えるけど、動きがないということは、澱み(よどみ)、腐ってしまうことに繋がる。
 成長の糧となる闇が無ければ、魂とは怠惰になってしまうもの。プレアデスの集合意識そのものが、もういい加減、闇の体験を求めていたのだ。


 一方で視えてきたオリオンの思惑とはこうだった。
 第一の作戦で破壊できなくても、第二、第三の作戦で、いずれプレアデスを壊滅へと追い込む。

……これはつまり仮説に過ぎないけれど、あの時最初の作戦をうまく躱せて(かわせて)いたとして、その後はもしかしたら捕虜の存在を生んだり拷問を生んだり、もっと肉体的、精神的な苦痛を多く経験したのちに、最終的には星が散っていった可能性もあるということだった。

 宇宙戦争というボードゲームを客観的に見た時に、であれば私とは単純に、キャラクターカードに書かれた性質に則った役目をただ全うしただけの『駒』だということがわかってくる。

 それでも心が痛まない訳ではなかった。相変わらず、『罪悪感』や『後悔』といった多くの闇が上がってくる。
 けれども以前ほどには、自分の価値というものに対して、『無価値』などとは思えなくなってきていた。

 光と闇の決戦ステージを地球へと移した宇宙戦争において、闇をもたらすことができた私にはおそらく無類の価値がある……。ようやく自分への『赦し』への道がひらけようとしていた。

……

「自分は今まで何をやってきたんだろう。」

 折れ始まった彼のエゴセルフがそう発する。

「がむしゃらに一生懸命やったからこそ、その道が行き止まりだったって気づけたんじゃない?」

 動機はどうあれ、もし彼が手を抜いて進んできていたら、その道が行き止まりだということにすら気づかずに一生を終えていたかもしれない。
 積み上げてきたものが崩れたのならば、それだと崩れるということを体験として分かったということ。

「だから無駄じゃなかったよ。あなたも私も赦されているよ。」

「なら、僕を、どう感じる?」

 ハイヤーセルフを経由して、顕在意識ではなく私の本質に答えてもらう。するとこんな言葉が出てきた。

『あなたは、美しい人。あなたはとても美しい。』

 以前彼も私のことを美しいと形容し、そして私も彼のことを美しいと感じている。

 私たちは、お互いの「美しさ」を愛している。
私たちは、自分の「美しさ」を愛している。
 懸命に生きる姿を想い、そのひたむきさを愛おしく思う。たとえそれが闇であっても、それを選り好みすることなく全霊で取り組む私たちとは美しい。


 それから少しすると、彼のエゴセルフから子供時代のスサナル先生の意識へと対話相手が切り替わった。
 強い悲しみと、強い怒り。そしてとにかく大量の『ひとりぼっち』が溢れている。孤独で孤独で仕方がない。

「“あの人たち”は、僕ばかりに意地悪する。
だから僕は、本当はずーっと怒ってたんだ!!」

 こうして解体は進んでいく。
『孤独』と『無価値感』の下に沈めた『怒り』がようやく少し現れ始める。

「ねぇ……。
あのね、私はあなたが求めている本当のお母さんにはなれないけど、それでも私、あなたのお母さんになる。
 変な感じがするかもしれないけど、それでも決めたわ。私、あなたのお母さんになる。」

 あなたにはちゃんと価値がある。愛される価値がある。
 その人たちの言う、「お前なんか要らない子。」「お前なんか産まれてこなければよかった。」という言葉に持っていかれなくていい。そんなつまらない言葉に、飲まれなくていい。
 その人たちに、決して自分を明け渡しては駄目。

 聞き漏らすまいと真剣な男の子に向けて、ありったけのそんな想いを伝える。そうして彼の意識を包み込むと、自然とこんなことを口走っていた。

「いつか“お母さん”に、あなたのとっておきの海を見せてね。あなたが遊んだ島根の海。
 私ね、子供の頃貝殻が好きで、海水浴に行くと必ず貝を買ってもらってたんだ。だから綺麗な貝があったらお母さんにちょうだいね。」

 言ってから自分で驚いた。

 私の三種の神器が貝なのは、この約束のことだったんだ……。



written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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さて。
段々と、私のエゴも彼のエゴも降伏し始まってきましたね。
以前から「男性が与える人、女性は受け取る人」だと言ってきましたが、この螺旋が上がるとこのようになってきます。

「宇宙が与える男性としての立場、人間が受け取る女性としての立場」です。

自己統合できてきた方は、サレンダーでいてください。
精霊、ウニ、エゴ、顕在意識、それらがハイヤーセルフと統合してきたら、そしたら是非サレンダーで。

そこができてない状態でサレンダーと言っても、主体の軸が無ければエゴの奴隷になりかねなくて危険だと、もうお分かりですよね。

ですが矛盾したようなことを書きますが、これもお伝えしている通り「闇はあっていい」んです。なので精霊もウニも、100パー浄化とかは無理です。私でもたくさん闇を持っていますよ。

さぁ。大いに混乱してください。
長ーーいサイレントで私も何度も挫折しそうになったり萎えたりしてきましたが、何十回あるかわからない転生をたかだか1〜2年で綺麗にしていこうというのだから、逆にかなりボーナスタイムだと思いますよ。

逢うことの 絶えてしなくは なかなかに
人をも身をも 恨みざらまし

……もしも1ミリも出会ってなければ、あの人をも私をも
恨んだりしなかったのに…。
もしもツインレイを知らなければ、アセンションの過程を「二度とやりたくねぇ!!」「死んでもやりたくねぇ!!」なんて泣きごと言うこともなかったのに……。(私のこと。)頑張ろね。

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