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第147話 オリオンアレルギー



「もう、ひみさーん。
本当ひみさんは相変わらずだねー。“ひみさん”っていう一つの概念。ひみこさまー!」

 会うたびごとに、私のエネルギーの変化に対して驚きと共に喜んでくれる宇宙子さんにからかわれながら、その日のセッションが始まった。

「どうします?今日は彼のことを進めてもいいし、お子さんのことをやっていってもいいし。」

 彼女からそう言われ、ハイヤーセルフにアクセスしてみる。

「……うーん、どっちでもいいみたいなので、じゃあ今日はうちの子でお願いします。」

 このセッションであきらとの関係を選んだ理由は、その少し前にあの子が夢に出てきたことに依る。
 私が光を取り戻すのに比例して、意識の周りに纏わりつく“私ではないもの”が色濃く浮かびあがってくる。それによってある日、夢の中で未だ憑依していることがわかった旦那の存在に対し、私は最初から喧嘩腰で文句ばかりを吐いていた。
 すると、その様子を上から全部知覚していたらしいあきらがひょこっとやってきて、私に対して諭すようにこう言ったのだ。

「ひーみぃ、今のは言い過ぎだよ。」

 動揺した私は夢の中で自らを省みて恥ずかしくなると、あの子の意識とその言葉とに深く感謝をすることになった。


 目を閉じて意識を集中させ、私のハイヤーセルフを経由してあきらのハイヤーセルフへと繋がっていく。エメラルド色に発光した人影が視えてくると共に、その光に包まれる。

「……すごい光です。」

「うん。繋がってますね。
じゃあひみさん。お子さんとは、どこで出会っていますか?」

 意識を向けると、視界の上の方から何度も言葉が降りてくる。

オリオン…
オリオン……

 アンドロメダだよね。
アンドロメダだと思うんだけど。

 おそらく、スピリチュアルをかじる多くの人にとってオリオンとは、“悪名高い”と形容することができる、敬遠すべき星の代表。
 その時の私もオリオンに対して『闇=悪』という偏見があった。だから「私たちの出会いがオリオンである筈がない」とエゴ的思考が否定を繰り返すあまり、その奥に見え隠れしているあの子の出身銀河、アンドロメダの記録ばかりを拾いたがった。

オリオン…
オリオン…
オリオン……

 無視することが難しいほどに強く、繰り返し音が降り注いでくる。心のどこかで「間違っていますように」と思いながら、「オリオンです」。そう答えた。

「うん、合ってますよ。大丈夫。
オリオンの風景、何が視えますか?」

 合っていると言われたことに対して少し複雑に思いつつ、その風景を探しにいく。
 あまりはっきりしない映像がいくつかパッパッと視えてはいた。全景としてはぼやけていたけど、それらに共通するのもを半信半疑で答えてみる。

「……海。」

 それを頼りにあの子のアカシックを辿っていくと、当時のあきらは男性で、元々はオリオンの“光側”にいた人物。科学や考古学、それから文学などにも精通していていわゆる学者のような職に就いており、人々に言葉や文字で愛を伝えていく役割を持った青年だった。

 ある時その彼の父が、海難事故で亡くなった。海のビジョンが視えたのは、その父の乗った船の記憶にまつわるものなのだろう。
 宇宙戦争、オリオンの“闇”は同じ惑星内においてさえ、破壊と搾取を繰り返していた。

『なぜ、彼らは破壊を繰り返すのか』

 大切な父を失った当時のあきらはそのことを探るべく、今度は自らが“オリオンの闇”へと堕ちていった。


 同じ時代、今度は私がとある理由から、他の惑星を経て“闇を知るため”オリオンの闇へと入っていくことになる。それが転生によるものなのか、あるいはウォークイン(※)だったのか、定かなことはわかっていない。

 つまり、私とあきらの出会いは“オリオンにおける闇陣営”。闇側の戦士として戦争に加担し、“絶望的”なまでの深い『絶望』を体験する中、お互いがお互いを支え合い、励まし合って生き延びてきた。かけがえのない親友だった。

 今までも、この子が私を選んで生まれてきたことはわかっていた。けれどもそれが恩返しとして今世、私を支え、助けるために転生してきたのだとわかり、涙が止まらなくなってしまった。

 そんなあきらのハイヤーセルフから、今の私へのメッセージをもらう。

『闇を思い出して。
闇を知っているから、愛を広められる。』


 あの子自身、今世でも十歳にしてすでに、厳しい闇を体験してきた。地球においても闇を学ぶ勇敢なオリオンの元戦士は、男性原理主義や資本主義、差別意識の崩壊や、それから見えない世界の存在や、愛を伝える役目を担っていくということだった。

 あきらと地球で出会えたこと、それ自体が本来あり得ないことだと思った。精神のすべてをすり減らしてきた暗黒の日々からしたら、コンビニでおやつを漁ったり学校の話を聞いたりする他愛もない日常が、奇跡に思えてならなかった。

 私もまた、この子の役目を支えられるようにちゃんと闇を思い出そう。


 その日の夕方、東の空から昇ってきたオリオン座を見つけると、お互いにとってお互いの存在こそが希望であっただろう漆黒の日々を想い、再び頬に涙が流れた。




※ウォークイン……通常の妊娠、出産を経て産まれる転生ではなく、ウォークインとは、すでに生まれている人物の肉体に、あとから入り込んで生活していくこと。事故や臨死体験などをきっかけに魂が入れ替わる。




written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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メリークリスマス♪
昨日運転中に信号待ちをしていたら、その近くの家の二階の窓から外に向かって、お子さんが描いた『サンタさん宛ての絵手紙』が貼ってあるのを見つけました!
窓の外のサンタさんに手紙を読んでもらう発想に、あきらと二人で盛り上がってしまいました笑

今日の写真は、神奈川臨海部の工業夜景スポットの一部です。
この景色を見た時ね、けーこと二人で「なんかオリオンの海みたいだね。」と言い合いました。
私はけーこにオリオンの過去世があるのか知りませんけど、直感したということは、そういうことなのではないかと思っています。

もう、この話は自分で書きながら私が泣いてしまうというね…。
地球にも、日本のように比較的平和な世界と紛争地帯が混在するように、オリオンにもそのどちらもありました。
闇側のオリオンに生きていた事と比べると、あの子との今の日常は、勿体ないくらい夢のような平和な世界です。
願わくは、これからもサンタクロースが手紙を受け取り続けられるような、そんな世界であってほしいと思います。

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←今までのお話はこちら

→第148話 フラクタルラバーズ

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