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【東京湯治 特別編】9湯目 本郷の歴史ある旅館でレトロ満喫 職人の遊び心溢れる建築を探検する 1泊2日の湯治レポ(旅館鳳明館 森川別館)

古い建物が好きで、東大のある本郷に古い和の旅館があることを知りました。建設当時の職人さんの遊び心があふれる内装が館内随所に。あれこれ調べている最中、HPで思いがけず見つけてしまった休業に関するお知らせ。

諸般の事情により、本年(令和3年5月末日)より暫く休業する運びとなりました。

今泊まっておかないと、、、という危機感を感じたため、急遽予約して【鳳明館(ほうめいかん) 森川別館】に1泊してきました。東京湯治シリーズは都内の温泉ホテルでの湯治レポを紹介して来ましたが、ここは大浴場が温泉ではないので特別編としてお届けします。

【鳳明館 森川別館】にやってきた

文京区本郷。東京大学の赤門も徒歩圏。

今回泊まった鳳明館。本郷に3つの旅館を経営しています。最も古い本館は登録有形文化財。開催日限定で「文豪缶詰プラン」なんて面白い企画も。

https://www.homeikan.com/homeikan

今回泊まった【鳳明館 森川別館】 昭和31年築だそうです。

1歩敷地に入ると別世界

時代をさかのぼる玄関。黒くてつやつやな敷石にお花模様が紛れているのも見どころです。

フロント(もとい「お帳場」)でイチ押し館内見学スポット資料をいただきました。

これを片手に存分に探検しました。

古地図のクリアファイルもいただきました。ペンが指しているエリアが鳳明館のある所、その下の加賀〜が現在の東京大学。

扇の飾り天井!私のお部屋【末広の間】

末広の間のルームキー。筆書き渋い!

こんな廊下を通ってお部屋へ。この天井も「船底天井」で見どころのひとつ。

末広の間 入口。引き戸が2重になっています。部屋の名前が彫られた板の下は、竹を模した装飾。小さな屋根の下の穴は通気口を兼ねていて、お部屋によって形が異なります。

入ってびっくり!天井に大きな扇(末広という名前に因み扇なんだそう)。飾り天井はこの部屋だけ、「建築の先生がいらっしゃると必ず見ていただく部屋です」と宿の人も話していて、末広の間を使えて大ラッキー!!

照明と比べると大きさが分かります。夜中にふと目が覚めた時に、黒々とこの扇が天井に浮かんでいた様子が忘れられません。

V字の切り込みがある板は、水車のリサイクルだそうです。この装飾、どうやって天井に取り付けているんでしょうか。

天井の扇に合わせて、ふすまも扇モチーフです。ふすまや扉の上の欄間(開口部)は部屋によって形が違い、自然換気に役立っています。

ダイヤル式の電話も現役。WiFiがあるのが不思議な気分でした。

戸締りをお忘れなきやう  音読して喜ぶ(やう!)

気になる3つの大浴場

館内に3か所の大浴場があります。宿泊者数の関係で、この日は高砂風呂を貸切利用。他2つのお風呂はご自由に見学下さい、でした。

階下が大浴場なのですが、案内空間もこの装飾。

大浴場に下りる階段脇の窓では、海の生き物がお風呂へといざないます。はまぐりみたいな貝までいて、なんだかほのぼの。

かわいかった【千鳥の湯】。浴槽の形が千鳥なんですね。

柔らかい色合いの壁のタイルも注目です。

タイルでこんな色合わせができるのね!と感激した、脱衣場の最高にラブリーな水回り。

次の大浴場見学は【ローマ風呂】。見学解説資料によると、創業当時 各地で円形の浴場が作られ、ローマ風呂と名付けられたそうです。壁にモザイクタイルで描かれているのもローマなんだそう。ローマが描かれたローマ風呂は唯一無二かもしれません。

右はコロッセオかなー?なんて想像してしまいます。

この日入ったお風呂【高砂の湯】。壁も床も浴槽も、すべてタイル貼り。深い浴槽に満ちたお湯で、リラックスできました。

昭和レトロなくつろぎ空間【すみれの間】

お風呂上がりは【すみれの間】に寄ってみました。

各種パンフレット、ガイドブックなどが置いてあるスペースです。

すっごい昭和なテレビに目が釘付けです。

昭和なおもちゃたち。

お帳場(フロントのこと)横にあった「令和」。(嘘だ!と思わずにはいられません。)

レトロな照明もステキだったのでご紹介

玄関。和洋折衷なデザインが素敵。

この楕円形のものがオリジナル(いちばん古い)だそうです。ふさふさがいいんだわ。

廊下にある照明。

トイレの照明。館内に数か所あるトイレも、装飾が見ごたえがありました。

随所に建築当時の職人さんの遊び心が光る!!

坪庭に面する窓です。狂言の「三番叟(さんばそう)」がモチーフ。狂言の中でも最高の格式を持つ演目なんですって。五穀豊穣を祝う大変おめでたい演目だそうです。

「躍動的な足拍子」と「鈴」が特徴って↑のサイトに書いてありました。躍動的なステップを踏もうとしているのが分かります。(ホントだ鈴も持ってる!)

職人さんの遊び心がすごい!って思ったのが、窓を開けた時。松が背景になり、狂言を舞う能舞台(能舞台って松が背景に描かれてますよね)の様子を表しています。

河童のカップル。河童は川の住人なので、ここ森"川"別館に因んで河童があしらわれたようです。

エナガ(小鳥)と柄杓。エナガという鳥は極端に長い尾を持つことから、柄の長いひしゃくに例えられ「柄長柄杓(えながひしゃく)」とも呼ばれていたそうです(Wikiより)。この鳥はエナガなんですよー、だから柄杓もつけときますよー、という判じ絵のような装飾。

隠れ鶯。梅の木に遊ぶ鶯を見つけた時、嬉しかったです!

互い違いにはめた白ガラス、黒い粒々の石の間に埋めた木。

法則性があるような、無いような、味わいのある飾り。

水回りなので鯉があしらわれています。(しかも滝登りで縁起が良い)

ここにも鯉が!

さりげなく梅の花。段違いにするところがなんか良いー!

旭の間の室内。障子に浮かび上がる松や鳥。

富士の間の欄間は富士山型でした。

床も寄木細工だったり!(凝ってる)

廊下の天井付近もくまなく装飾が施されています。

カーブに沿って銘木

驚いて見上げた天井。まさかこんな所にまで凝った装飾があるとは予想していませんでした。

昭和のガラス

タイルがかわいい洗面所コレクション

タイル貼りが今見るととても新鮮でかわいかったので、洗面所コレクション是非ご覧下さい。


かねのたらいが良い味を出していました。

ここは上部のくねくね竹の装飾も見どころでした。

一生懸命沸かしてます!な湯沸かし器も。

足もともこんな装飾。粒々の石+年輪の見える木。その左は巨木の一枚板。



トイレ内部のタイルです。色合わせ考えるの楽しそう!

本郷グルメ 夕食編 インドカレーの【ダージリン】

食事無しプランで宿泊したので、夜と朝は外食しました。夕食は東大の前の通りの【ダージリン】でインドカレー。この近辺、アジア各国料理のお店がいくつもありました。

本場の人の作るカレーはやっぱりおいしい!ハーブの効いた、メティチキンカリー。

本郷グルメ 朝食編 喫茶【ルオー】のモーニング

朝食も、東大の前の通り。画家ルオーの絵がある喫茶店【ルオー】に行ってみました。

椅子の背に彫られたカップがとってもキュート。

モーニング(620円)をいただきました。

金魚問屋さんのカフェ【金魚坂】に行きたかったのですが、残念なことに定休日。金魚グッズとおぼしきものが塀に立てかけてありました。


こうして本郷への旅を終えました。1歩足を踏み入れると、今が令和であることを完全に忘れられる異空間。建築当時の職人さんの教養や遊び心、高度な技術など、さまざまなことを感じ取ることができる旅館でした。浴衣に着替えて畳の部屋でリラックス。近場の都内なのに、ちょっぴり旅気分が味わえました。東京湯治、おすすめです。

(サービス内容は2021年5月滞在時のものです。)


過去の【東京湯治】シリーズ1~8、こちらも是非ご覧ください!


「まゆみトラベルラボ」では↓の3つのマガジンを更新中!皆様のお役に立てたら嬉しいです。

月に1回九州に旅した記録: 月イチ九州

あなたに代わって実験中!スパイスから作るカレー: 今日のおうちスパイスカレー

都内の温泉ホテルに泊まって旅気分: 東京湯治(都内で温泉旅気分)


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