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緋月 燈
2017年1月5日 23:47
息苦しさが定位置化しつつある苛む棘は私自身此の今を抜け出せるのだろうか果てしなく迷い続けるまだ涙を許せないよ心が何を欲しいのかまだ知らないんだ荒れきった頬に沁みる熱が心臓の奥を濡らしつづける夢にしたくない私が痛いの掛け違えたスイッチつなげて私を知りたい
2016年9月2日 14:53
はてしない寂しさ体をくりぬいて心の奥底までからんからんにした音も鳴らない声もしない空洞は空洞にすらなりえない空気無酸素の宇宙は大気圏を越えなくとも私のなかに横たわるならば自由に泳ぎたいのに何一つ思い通りにいかなくて悔しいだけど私は思い通りを知らない通したい思いを私は知らないから波間に揺られて漂うぶん沈むことを厭わなかったあの時よりはすくわれているのか
2016年7月15日 09:00
心が感情に彩られてゆくスポンジのようなものなら人の心とは、案外美しくはないのかもしれないねいろんな絵の具を吸って時に混ざりあい時を重ねるほどに染みてゆく色々みずみずしく濡れゆく心はいつも涙を湛えているかのようでもそのうるおいは美しい乾ききってどんな色にも染まされないよう押し潰しきったスポンジは哀れだ息を止めたら、けっきょく、苦しいだけだもの。使ってなかった
2016年7月2日 01:45
低い梢の木々の奥鳥の鳴き声響いてるさあ早く目覚めなさい、巣立ちなさいと鳴いている小鳥は古巣にうずくまり夢うつつのように空を見上げる鳴かない小鳥は何も知らない羽も風もどこへ行くのかも老いた親鳥は鳴いている早くお飛びと鳴いている古巣の小鳥に背中を見せて早くお飛びと鳴いている小鳥は古巣に臥せたまま光をさがして空を見つめる鳴かない小鳥は殻を割ってる雛より幼いこころの卵の
2016年6月26日 21:50
生きる人に出逢いました生きている人に出逢いました星のように果てしない願いにはまぶしい人でした大地に根ざす強さでしょうかそれでも彼らは生きていた同じ糸を手繰っていたらきっと代わり映えのない景色違う扉を探してみよう星の欠片を見つけられるかも獣道を掻き分けたら乾いた笹の葉に傷ついても腐りかけた果実に涙するよりいい星を輝かせる決して手放したりしない生きている人たち
2016年6月20日 04:32
私が大切にしたいもの、大切にするものを、大切にすることで、私が大切に想う世界を大切にしよう私の大切は、あの人の大切になれないあの人の大切は、私の大切になれない重なりきれないふたつをそれすら愛おしんで慈しむあの人のいだく宝石が煌めくことを祈るよそこに正しさなんてなくてあの人の放つ光が答えなんだろう光に望む姿などないただ望む光を浴びられることを願うあなたが生きる姿が見
2016年6月5日 02:29
頑張れない頑張らない理想の夢の谷間におっこちて這い上がる力もない傷だらけのわたしをこの痛みをもっと感じていてもいい裂けるほどの透明な泣き声は他の誰にもわかることはできないからあなたの痛みは誰にもわかれないあなた以外は 誰もだから痛くないようにしないでいい目を背けた傷はいつか思わぬあなたの心臓を突く一人で抱えきれない息苦しさをどうにかしたくて必死にのばした指
2016年6月3日 01:25
今日は一日中、断続的な雨しとしと しとしと思い出したように降り続いた曇天の雲間にわずかに射す太陽も微笑むことなく行ってしまった重たい雲は目蓋を腫らして涙模様の街を見下ろしたぽつんと浮かぶ傘の色は悲しみめいたブルーみたいで後悔滲むパープルのようでじつは怒りにも似たマゼンタ気づけば雨はいなくなり人色ばかりが行き違う場違いな傘を畳みたいのに空はまだまだ晴れていない
2016年5月28日 04:23
夜に溶けてしまいたい月も差さない深い夜にこのまま溶かされてしまえたらあたたかい闇が抱きしめてくれるかしら漂っているだけで空気の摩擦に傷ついてしまうよ摩擦係数ゼロのクラゲだったら皮膚にまとわるヤスリの熱に焼かれなくて済むのだろうか波にゆられて全て委ねて水底へゆこうか月も差さない水の底へ©2016 緋月 燈
2016年5月18日 03:35
夜明けのひかりをとじこめて金いろの希望を留めておけたら曇り空の下でもどしゃ降りの雨の中でも歩きつづけてゆけるだろうか朝陽よりもまぶしいのに月のようにやさしいあのひかりをいつも胸に抱いていたい傘をさすこともできないくらい雨を降らせて道なんか見えなくてもたったひとつのひかりが欲しいの夜明けのひかりをとじこめてこの胸に飾れたらどんな希望より晴れるのでしょうガラスの
2016年5月17日 01:54
隣にいる人すら意味を持たぬほどの寂しさがこぼれでるときがあるの紫いろの夜は差し伸べられる手すら厭わしくてすくいあげられることを望んでいない闇にも呑みこめない雫を熱く濡らしては絞りだせない声を滲ませる今夜は孤独なほど寂しくなくなるからどこまでも一人にして頂戴世界に別れを告げて一人 待ち侘びる雨音は月光の音色よりピアノらしく寂しく響くのでしょう透明にしすぎた寂し
2016年5月8日 00:43
言葉では語りえないこころがあるんだ瞬きより刹那のゆらめきを切り取ってしまうのはきっと美しくない誰もが同じと錯覚する言葉という線引きをそれでも手離さずにいられないのは夢と現実の狭間に涙の匂いを思うから音に心をのせてあげられない私の指は歌にしきれぬ声を不細工に筆にのせる余計な音を切り捨てる夜に心を奏でる音を聴いて言の葉に捺しきれない熱を逃がす果てしない営みの先に何を
2016年4月13日 14:24
大気に孕まれた水が空気の境を這い出してくる寸前空があついねずみ色を帯びるきっともう涙腺は限界なんだそれでも泣けない君の背を風があたたかく撫でてゆく生温い風はヒトの不快指数を上げるけど赤ん坊が泣くのは当然のように悲しみを抱えきれない涙が産声をあげるのだって当然じゃないか涙を拭ったりなんてしなくていいよただ 今は泣けばいいよ寄り添う腕はそこにあるからたくさんのものを見
2016年4月11日 22:24
流されてゆく自分流れてゆく時間さらさら さらさら・・・・・・音も立てずに――今何が見えているの?こたえようとして思い知る一瞬前のことを思い出せない言われなければ忘れたことすら忘れたまま何も残せずにいた、と空恐ろしくなる自分も、時間も、街も、みんな流れゆくことに慣れすぎたの?私が見ているもの見えているものが、見ているもの立ち止まってみないとわからない自分の記憶