思い出すということ

流されてゆく自分
流れてゆく時間
さらさら さらさら・・・・・・音も立てずに

――今何が見えているの?

こたえようとして思い知る
一瞬前のことを思い出せない

言われなければ
忘れたことすら忘れたまま
何も残せずにいた、と
空恐ろしくなる

自分も、時間も、街も、みんな
流れゆくことに慣れすぎたの?

私が見ているもの
見えているものが、見ているもの
立ち止まってみないとわからない自分の記憶

少しだけ確かめてみる
今私は何を見ているのか
たとえばそれが明日も同じ部屋の中でも



©2016  緋月 燈

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