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緋月 燈
2016年7月15日 09:00
心が感情に彩られてゆくスポンジのようなものなら人の心とは、案外美しくはないのかもしれないねいろんな絵の具を吸って時に混ざりあい時を重ねるほどに染みてゆく色々みずみずしく濡れゆく心はいつも涙を湛えているかのようでもそのうるおいは美しい乾ききってどんな色にも染まされないよう押し潰しきったスポンジは哀れだ息を止めたら、けっきょく、苦しいだけだもの。使ってなかった
2016年6月20日 04:32
私が大切にしたいもの、大切にするものを、大切にすることで、私が大切に想う世界を大切にしよう私の大切は、あの人の大切になれないあの人の大切は、私の大切になれない重なりきれないふたつをそれすら愛おしんで慈しむあの人のいだく宝石が煌めくことを祈るよそこに正しさなんてなくてあの人の放つ光が答えなんだろう光に望む姿などないただ望む光を浴びられることを願うあなたが生きる姿が見
2016年6月5日 02:29
頑張れない頑張らない理想の夢の谷間におっこちて這い上がる力もない傷だらけのわたしをこの痛みをもっと感じていてもいい裂けるほどの透明な泣き声は他の誰にもわかることはできないからあなたの痛みは誰にもわかれないあなた以外は 誰もだから痛くないようにしないでいい目を背けた傷はいつか思わぬあなたの心臓を突く一人で抱えきれない息苦しさをどうにかしたくて必死にのばした指
2016年6月3日 01:25
今日は一日中、断続的な雨しとしと しとしと思い出したように降り続いた曇天の雲間にわずかに射す太陽も微笑むことなく行ってしまった重たい雲は目蓋を腫らして涙模様の街を見下ろしたぽつんと浮かぶ傘の色は悲しみめいたブルーみたいで後悔滲むパープルのようでじつは怒りにも似たマゼンタ気づけば雨はいなくなり人色ばかりが行き違う場違いな傘を畳みたいのに空はまだまだ晴れていない
2016年5月28日 04:23
夜に溶けてしまいたい月も差さない深い夜にこのまま溶かされてしまえたらあたたかい闇が抱きしめてくれるかしら漂っているだけで空気の摩擦に傷ついてしまうよ摩擦係数ゼロのクラゲだったら皮膚にまとわるヤスリの熱に焼かれなくて済むのだろうか波にゆられて全て委ねて水底へゆこうか月も差さない水の底へ©2016 緋月 燈
2016年5月26日 02:25
抱きしめられるより抱きしめていたいちゃんと、今度こそ誰にも手をのばせるのに誰にも手をのばせないだから今度こそ手をのばしたい次なんてないかもしれないから精一杯の今を 手をのばして愛していたいそっと抱きしめてわたしの全部で伝えたいの押しとどめていたこころ大丈夫、ちゃんと送り出してみせるからひとりぼっちの君へ約束するよ ひとりにしない隣に寄り添う人を探すからねだか
2016年5月24日 01:50
懐かしい表紙をひらいたらあなたは愛しく 其処にいたそんなに昔じゃないけれど触れなくなって いつからだろう忘れるよりも ずっと残酷心を寄せなくなるなんてだけど不意に呼び戻されたあなたを愛しく思ったことをあなたがくれる物語をそっと見つめていたことを懐かしい表紙をひらいたら片付けられた愛しさがまた桜のように花開いて胸の奥に熱がさした永遠なんて誓えないけど今また少し共
2016年5月20日 02:33
波にのるたった一言とても難しくもあること櫂を棄てた流れゆく小舟になるんじゃない激流を物ともせぬ船頭となること流れの道筋を見出すこと過たず舟を操ること不意の潮目にも櫂を放さないこと身を任せながら諦めないことと似ているのかもしれない泣きたくなって櫂を棄て去ってしまいたい激情に駆られるそれでもどうしようもなく此処に在ることを思い知らされて光はまだ其処にあると教えられ
2016年5月18日 03:35
夜明けのひかりをとじこめて金いろの希望を留めておけたら曇り空の下でもどしゃ降りの雨の中でも歩きつづけてゆけるだろうか朝陽よりもまぶしいのに月のようにやさしいあのひかりをいつも胸に抱いていたい傘をさすこともできないくらい雨を降らせて道なんか見えなくてもたったひとつのひかりが欲しいの夜明けのひかりをとじこめてこの胸に飾れたらどんな希望より晴れるのでしょうガラスの
2016年5月17日 01:54
隣にいる人すら意味を持たぬほどの寂しさがこぼれでるときがあるの紫いろの夜は差し伸べられる手すら厭わしくてすくいあげられることを望んでいない闇にも呑みこめない雫を熱く濡らしては絞りだせない声を滲ませる今夜は孤独なほど寂しくなくなるからどこまでも一人にして頂戴世界に別れを告げて一人 待ち侘びる雨音は月光の音色よりピアノらしく寂しく響くのでしょう透明にしすぎた寂し
2016年5月8日 00:43
言葉では語りえないこころがあるんだ瞬きより刹那のゆらめきを切り取ってしまうのはきっと美しくない誰もが同じと錯覚する言葉という線引きをそれでも手離さずにいられないのは夢と現実の狭間に涙の匂いを思うから音に心をのせてあげられない私の指は歌にしきれぬ声を不細工に筆にのせる余計な音を切り捨てる夜に心を奏でる音を聴いて言の葉に捺しきれない熱を逃がす果てしない営みの先に何を
2016年4月13日 14:24
大気に孕まれた水が空気の境を這い出してくる寸前空があついねずみ色を帯びるきっともう涙腺は限界なんだそれでも泣けない君の背を風があたたかく撫でてゆく生温い風はヒトの不快指数を上げるけど赤ん坊が泣くのは当然のように悲しみを抱えきれない涙が産声をあげるのだって当然じゃないか涙を拭ったりなんてしなくていいよただ 今は泣けばいいよ寄り添う腕はそこにあるからたくさんのものを見
2016年3月24日 03:37
目を閉じたら全て終わってしまう気がしていた5歳のわたし人が生きる仕組みの輪郭をぼんやりと知るようになった息をしていることが当たり前じゃなくなった身体の奥できこえる鼓動が生きてるうれしさになった今よりも大事にできていただろうこの息を吐いたらもう吸えないかもしれない今のどくんで、次のどくんはないかもしれない次なんてないかも続いてけるかなんてわかんない途方もない怖さ
2016年3月11日 03:14
自分の足で立つことそれがなければ言葉を紡ぐことすらできないのかもしれないでも それでも心が苦しいままあなたを縛り続ける道を行かなくてもいいきっと守りたいもの大切にしたいものたくさんあって守るために大切にするために苦しくてもなお進む人もいるだろうだからこそ、頑張りすぎないでほしい辛いなら立ち止まって休んだっていいあなたを駆り立てるその衝動があなた以外の思いである