いのちの奇跡

目を閉じたら
全て終わってしまう気がしていた

5歳のわたし

人が生きる仕組みの輪郭を
ぼんやりと知るようになった

息をしていることが当たり前じゃなくなった
身体の奥できこえる鼓動が生きてるうれしさになった

今よりも大事にできていただろう

この息を吐いたらもう吸えないかもしれない
今のどくんで、次のどくんはないかもしれない

次なんてないかも
続いてけるかなんてわかんない

途方もない怖さが津波のように迫ってきて
大丈夫と掬い上げてくれる言葉を欲しがった

与えてもらった慰めに
根源的な畏れを埋めたてて
見えなくしてきた陰が
今、外からやってくる

誰もが突然奪われる
そんな日々となって

はじまりが何であっても
このいのちの奇跡をわたしの感情にできるまで
それは何度も目の前にいる
誰もがそれを血肉にするまで
きっと何度も問われるだろう
命と愛と平和の姿を




©2016  緋月 燈

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