「涙は苦手」ー詩ー

苦手なものは
子どもの　涙です
ちょっと　息を吸うのを
止めた後
大きな　泣き声・・
大粒の　涙が　丸い目から
湧き出して　頬の小川を
流れます

もう　こうなると
父親は　ただ　おろおろする
ばかり

「ごめん　ごめん
父さんが　強く　いいすぎた
だから　もう　泣くのを止めよう・・」

そんな　おためごかしを
いおうものなら
泣き声は　ますます
大きくなります

本当に　この世界が
終わるのを　悲しんでいるような
泣き方

首を　横に振り続けて
泣き止む　気配は
全く　ありません

新しく　買った
浴衣は　たちまち
涙と　鼻水で
ぐっしょり・・

「ほら　そんなに泣くから
子犬のルルも　心配してるよ」
ルルは　子供の頬の
涙を　舐めます

彩ちゃんは　ルルをしっかり
抱きしめて　顔を埋めて
曇った泣き声を　続けます

困り果てた　父は
仏壇の　母親の　写真の前に
つれていきます

「ほら　かあさんも
お空で　すごく　心配してるよ・・・
どーーしたのかなぁ・・って
空から　見てるよ」

すると　大泣きは　終わり
すすり泣きに　なりました。

小さい両手を　合わせて
すすり　泣きながら　母親の写真を
見つめます

「母さんに　会いたい！！
母さんの所へ　行きたい！！
どうして　父さん
連れてって　くれないの！！」

なきじゃくり　言葉で
何度も　同じことを　繰り返します

「かあさん　遠いところから
見てて　くれるんだよ
とても　遠いから
そこまで　会いに　
行くのは　難しいんだよ」

「母さんが　死んだ日
これからは　泣かずに　
頑張るって　約束したよね」

「ねぇ　彩ちゃん
浴衣着　替えて　神社の
お祭りに　父さんと行こうよ・・
　もしかしたら　母さんが
大好きだった　カルメ焼き
売ってるかも　しれないよ
見つけたら　お仏壇に
お供えして　あげようよ
母さん　喜ぶよ」

彩ちゃんの　目元が
柔らかくなり　涙の跡もきえた

これから　何度
この娘と　似たような話を
繰り返して　いくのだろう

祭りの太鼓は　そんな会話には
関係なく　あかるく　高く
山里に鳴り響き渡る

最後まで　読んでいただきありがとうございます。
これからも　お心をなごますような詩を投稿して
まいりますので、スキ、コメント、フォローなどを
いただければ　子犬のようになつきます🐱🐱🐱🐱

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