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  日記・エッセイ

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ふと思ったことを書き連ねたり、思考の整理をしたり。
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「私は、本なんて読まないから」と言われたとき、心の奥がさめている。

「私は、本なんて読まないから」と言われたとき、心の奥がさめている。

 本が好きだ。物語が好きだ。そして、話すことも書くことも好きだ。

 私の短い人生のほとんどには、本や物語が側にあった。私にとって心を揺さぶるものは、確かに本だった。親も本をよく読む人たちだったから、感想を伝える相手、本をお勧めしあう環境には恵まれていた。

 小学校の朝の読書時間が15分しかないことが不満だった。勉強よりも本が好きで、私にとって読書は遊ぶこととイコールだった。

 そんな私がアラ

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彼、色は匂えど散りぬるを。

彼、色は匂えど散りぬるを。

 祖母が死んだ。

 昨年の夏を過ぎた頃から、体を崩していた。先月末には、もうそろそろ危ないかもしれないと言われていた。

 訃報を受けたのは21時過ぎ。母からの電話だった。着の身着のまま、母は新幹線に乗るという。家族LINEに貼られた、父が送った最終の新幹線の時刻を眺めても、涙など流れない。

 22時過ぎ、父から着信があった。父は、どうしても済ませなければならない用事を済ませて、明日向かうらし

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「多様性」なんて言わず「私は私、貴方は貴方」じゃだめなの?

「多様性」なんて言わず「私は私、貴方は貴方」じゃだめなの?

 最近よく、LGBTだとかポリコレだとか多様性だとか、そういう言葉を聞くようになった。時代だなぁと思う反面、そんなふうに名前をつけてしまわなければならないものなのか、とも思う。

 私の性的嗜好は、異性同性共に恋愛対象となるが、どちらかと言えばベクトルは異性に向いている。性的に同性を見ることもあるし、異性にだってそういう感情を持つ。

 きっとバイセクシャルでなんとかかんとかで、みたいな名前がつく

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さよならピエロ、明日はきっといい日になるよ。

さよならピエロ、明日はきっといい日になるよ。

 私が道化だったら、もうちょっとだけ楽に生きられただろうか。

 心に刺さったままの言葉の数々を確かめるように口にする。棘は抜けず、だらだらと血を流している。刺さった棘も私の一部だ。それを言っていいのは、私だけだけど。

 人のことをいじって場を盛り上げる、ということがこの世の中では行われている。「いじる」ということを楽しいと思う人間がいる。それは、「いじられる」側の人間がいるということだ。

 

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物語に救われて育ってきた、ただそれだけ。

物語に救われて育ってきた、ただそれだけ。

 「漫画なんて読んで」「アニメなんて見て」「ラノベなんて小説じゃない」

 過去の私に投げかけられた「〇〇なんて」という言葉に、ふと立ち止まる。あなたが「漫画なんて」と吐き捨てたその物語に、私は確かに救われているのに、と。

 昔から本を読むのが好きだった。物語の世界を旅するのが好きだった。たったそれだけのことだが、私はいわゆる純文学からライトノベルや漫画までジャンルを問わずに読む人間だった。

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たぶん心の瓶が壊れてる。

たぶん心の瓶が壊れてる。

 やはり夜というのは思考が回る。嫌な方へぐるぐると。

 最近は、納車予定のバイクで頭の中がいっぱいだったから、それほど病むこともなかった。死にたくないから、と安全運転の方法を動画で学ぶ私に、別の私が嘲るように「死にたいんじゃなかったの?」という程度。

 いや、死にたいけど、バイクでは死にたくない。痛そうだし、人巻き込みたくないし。あと、親にバイクの免許取ったって言ってないから、怒られそうだし。

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世界にひとりぼっち、なんてありえない。でもね、

世界にひとりぼっち、なんてありえない。でもね、

 「誰にも受け入れてもらえない」という妄想は、「夜が明けないかもしれない」と同じぐらい意味のないものだ。それでも、思ってしまうのだから仕方がない。どうしようもない。諦めるしかない。

 午前4時44分。

 なんて不吉、と思いながら目覚まし時計を確認する。起きなければいけない時間まで、あと何時間?そんなこと、どうでもいいのに。

 私の持論では、夜というのはネガティブを連れてくる。真っ暗な部屋でチ

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たまには泣いてもいいじゃない、こんなに頑張っているんだから。

たまには泣いてもいいじゃない、こんなに頑張っているんだから。

 まごうことなき愚痴だけれど、少しだけ吐き出させて欲しい。

 今日、初めて仕事で泣いた。えぐえぐ、という表現が似合うくらいには本気で泣いた。

 私が何をしたっていうんだ。私がやってきたことは、全部間違いだったのか。泣きながら、自分の全てが否定されたようで悲しくて、今回ばかりは本気で営業職に向いてないと思った。 

 私は、ルート営業をしている。担当顧客を回って、商品の導入や活用を支援している。

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亡き人を思うには、少し早すぎた夏

亡き人を思うには、少し早すぎた夏

 2023年7月、私を可愛がってくれた叔父が亡くなった。

 父の妹の旦那さんで、私と血の繋がりがあるわけではない。叔母が結婚したのは私が小学生の頃だった。以降、お盆とお正月くらいしか会わなかったけれど、たくさん相手をしてくれたのを覚えている。

 父方の祖父母の家は超がつくど田舎で、心配性の祖父母と父親のせいでどこに出かけることもできない私を連れ出してくれたのが叔父だった。

 昔祖父母の家で飼

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梅雨晴れ、休日、新しい靴、気も晴れる。

梅雨晴れ、休日、新しい靴、気も晴れる。

 大雨が過ぎて、晴れが来た。

 土砂降りの雨に打たれて外勤した次の日は、まるで「1週間お疲れ様」と言わんばかりの快晴で、心を軽く弾ませながら新しい靴をおろした。つい昨日届いた靴は、半月前に頼んでいたものだ。

 梅雨入りのニュースとともに降り続く雨、ようやく晴れたこの日が休日で良かった。こんなにも気持ちも晴れやかに、軽やかに、外に出ることができる。

 6月の休日のほとんどに予定が詰め込まれてい

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雨の季節の喜びと憂鬱について

雨の季節の喜びと憂鬱について

 関西が梅雨入りしたというニュースを見て、ため息をつく。すでに空は曇天で、雨粒が頭のてっぺんを打っている。

 今年も、雨の季節がやってきた。

 私は雨のことを、比較的好きなほうだと思う。好きなところをあげろと言われれば、たくさん思いつく。

 雨の匂い、湿った空気に抱き込まれるようなような感覚、傘を打つ雨音、薄くけぶった雨越しの景色、晴れ間に見える一瞬のきらめき。傘をさす人々を眺めて歩くのだっ

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死ねない理由を書き並べて生きている。

死ねない理由を書き並べて生きている。

 最近ふと、「いま首を吊れば、もう何もしなくていいんだ」と思うことがある。

 念のため注釈を入れておくけれど、別に死にたいわけでもないし、首を吊るのは怖いし、痛いのは嫌いだからやらない。お菓子をもらって喜ぶ感情も、後輩と笑い合う余力もある。

 ただ、死ねば解放されるという選択肢が頭の中に浮かぶだけで。

 そんな私を引き止めているのは、目前に迫ったゴールデンウイークだ。

 無理やり有給休暇を

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徹夜明け、テンションがあがる謎

徹夜明け、テンションがあがる謎

 最近、自分の睡眠を犠牲にして遊ぶことが増えた。楽しいことがたくさんあるのはいいことなのだけど、それにしても歳をもう少し考えるべきだと反省もしている。

 徹夜明けテンションが何故高いのか、ふと気になってお昼休みに調べてみた。

 日中時間帯には脳内で覚醒を促す多数の神経伝達物質の活動が活発になるらしい。アドレナリンがドバドバ出てる!って感じるようなものだ。なお、徹夜自体にも気分を持ち上げる効果が

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返報性の原理ってやつを期待しすぎてはいけない

返報性の原理ってやつを期待しすぎてはいけない

 営業の研修で「返報性の原理」というものを学んだことがある。「何かをしてもらったから、相手に何かを返したいという気持ち」のことだ。特にルート営業なんてやってると、そういう話がよくでてくる。

 仕事に限らず友人関係、恋人関係も同じだと思う。ギブアンドテイク、なんていうけれど要は「この人に何かしてもらったから返したい、返さなきゃ」という気持ちを利用するということだ。ちなみに、いい感情だけじゃなく悪い

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