くれないゆき

アラサー社会人、思考の整理や日々の考えることを綴ったエッセイ、読書の記録など。そのうち…

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アラサー社会人、思考の整理や日々の考えることを綴ったエッセイ、読書の記録など。そのうち、小説も書けたらいいな。 アイコン/その他イラスト:ノーコピーライトガール様 不定期更新。

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「本を読むのが好き」というと「すごいね」「偉いね」と言われる違和感

 本を読むのが好き。それは、小さい頃から身近に本があり、娯楽らしい娯楽が本くらいしか存在しなかったからだと思う。だから、私はゲームをする感覚で本を読む。  若者の読書離れ、なんで聞くけれど結局は本を娯楽として捉えるか、勉強として捉えるのかの違いだろう。小説は読まないけど漫画は読むという人も多い。漫画だって立派な本だし、私も漫画は好きだ。  読書嫌いが生まれる原因に「本を読むのは偉いことだ」という感覚があると思う。本を読むことは勉強することに近く、それは義務になる。大人たち

    • 彼、色は匂えど散りぬるを。

       祖母が死んだ。  昨年の夏を過ぎた頃から、体を崩していた。先月末には、もうそろそろ危ないかもしれないと言われていた。  訃報を受けたのは21時過ぎ。母からの電話だった。着の身着のまま、母は新幹線に乗るという。家族LINEに貼られた、父が送った最終の新幹線の時刻を眺めても、涙など流れない。  22時過ぎ、父から着信があった。父は、どうしても済ませなければならない用事を済ませて、明日向かうらしい。 「お母さんの荷物、わからないでしょ」  とっさに出た言葉に、なんでこん

      • 「多様性」なんて言わず「私は私、貴方は貴方」じゃだめなの?

         最近よく、LGBTだとかポリコレだとか多様性だとか、そういう言葉を聞くようになった。時代だなぁと思う反面、そんなふうに名前をつけてしまわなければならないものなのか、とも思う。  私の性的嗜好は、異性同性共に恋愛対象となるが、どちらかと言えばベクトルは異性に向いている。性的に同性を見ることもあるし、異性にだってそういう感情を持つ。  きっとバイセクシャルでなんとかかんとかで、みたいな名前がつくのだろう。知らないし、知ったところで私はそのレッテルを貼られ生きるのかと思うと、

        • さよならピエロ、明日はきっといい日になるよ。

           私が道化だったら、もうちょっとだけ楽に生きられただろうか。  心に刺さったままの言葉の数々を確かめるように口にする。棘は抜けず、だらだらと血を流している。刺さった棘も私の一部だ。それを言っていいのは、私だけだけど。  人のことをいじって場を盛り上げる、ということがこの世の中では行われている。「いじる」ということを楽しいと思う人間がいる。それは、「いじられる」側の人間がいるということだ。  私は普段から鈍臭くて、抜けてて、器用では無い。失敗も多いし、思ってることが顔に出

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        「本を読むのが好き」というと「すごいね」「偉いね」と言われる違和感

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          物語に救われて育ってきた、ただそれだけ。

           「漫画なんて読んで」「アニメなんて見て」「ラノベなんて小説じゃない」  過去の私に投げかけられた「〇〇なんて」という言葉に、ふと立ち止まる。あなたが「漫画なんて」と吐き捨てたその物語に、私は確かに救われているのに、と。  昔から本を読むのが好きだった。物語の世界を旅するのが好きだった。たったそれだけのことだが、私はいわゆる純文学からライトノベルや漫画までジャンルを問わずに読む人間だった。  つけっぱなしのテレビをなんとなく見るかのように、SNSに流れてくる漫画を読む。

          物語に救われて育ってきた、ただそれだけ。

          たぶん心の瓶が壊れてる。

           やはり夜というのは思考が回る。嫌な方へぐるぐると。  最近は、納車予定のバイクで頭の中がいっぱいだったから、それほど病むこともなかった。死にたくないから、と安全運転の方法を動画で学ぶ私に、別の私が嘲るように「死にたいんじゃなかったの?」という程度。  いや、死にたいけど、バイクでは死にたくない。痛そうだし、人巻き込みたくないし。あと、親にバイクの免許取ったって言ってないから、怒られそうだし。  というわけで、使い方を間違えると殺戮マシーンになるブツを手に入れたわけだけ

          たぶん心の瓶が壊れてる。

          厳格と寛容、厳しさと優しさ。

           他人に寛容なことと、自分の意見を発さないことはイコールなのか。  他人に厳しくあるのなら、自分に厳しくあるべきだ。他人に求めるものと同等のものを、己は持つべきだ。それができないのであれば、他人には寛容であるべきだ。  私は「○○すべき」という言葉が、あまり好きではない。かくあるべき、と誰かが言うときそれはその人の正義であって、世の全てに適用されるものではない。「○○すべき」は「私は○○しないといけないと思う」くらいの気軽さで使っていい言葉でないと感じている。「すべき」と

          厳格と寛容、厳しさと優しさ。

          世界にひとりぼっち、なんてありえない。でもね、

           「誰にも受け入れてもらえない」という妄想は、「夜が明けないかもしれない」と同じぐらい意味のないものだ。それでも、思ってしまうのだから仕方がない。どうしようもない。諦めるしかない。  午前4時44分。  なんて不吉、と思いながら目覚まし時計を確認する。起きなければいけない時間まで、あと何時間?そんなこと、どうでもいいのに。  私の持論では、夜というのはネガティブを連れてくる。真っ暗な部屋でチカチカ光るルーターの明かりをぼうっと眺めては、「死にたいというわけじゃないけど」

          世界にひとりぼっち、なんてありえない。でもね、

          たまには泣いてもいいじゃない、こんなに頑張っているんだから。

           まごうことなき愚痴だけれど、少しだけ吐き出させて欲しい。  今日、初めて仕事で泣いた。えぐえぐ、という表現が似合うくらいには本気で泣いた。  私が何をしたっていうんだ。私がやってきたことは、全部間違いだったのか。泣きながら、自分の全てが否定されたようで悲しくて、今回ばかりは本気で営業職に向いてないと思った。   私は、ルート営業をしている。担当顧客を回って、商品の導入や活用を支援している。その担当顧客の一人に電話して次のアポイントをもらおうとした時に、突然言われた。

          たまには泣いてもいいじゃない、こんなに頑張っているんだから。

          亡き人を思うには、少し早すぎた夏

           2023年7月、私を可愛がってくれた叔父が亡くなった。  父の妹の旦那さんで、私と血の繋がりがあるわけではない。叔母が結婚したのは私が小学生の頃だった。以降、お盆とお正月くらいしか会わなかったけれど、たくさん相手をしてくれたのを覚えている。  父方の祖父母の家は超がつくど田舎で、心配性の祖父母と父親のせいでどこに出かけることもできない私を連れ出してくれたのが叔父だった。  昔祖父母の家で飼っていた犬の散歩ついでに遠くまで歩いてみたり、「タバコ買いに行くからついてくる?

          亡き人を思うには、少し早すぎた夏

          【読書記録】「明け方の若者たち」/カツセマサヒコ

          ※このnoteは、「明け方の若者たち」のネタバレを含みます。  この本を手に取ったのは、ほんの偶然だった。予定の時間までまだ余裕があったからと本屋に立ち寄って、話題の本の中で一際目を引いた。  物語の始まりは、「勝ち組飲み」。大手に内定が決まった明大生が、俺たちは何かを成し遂げるんだ、すごいんだという根拠のない自信だけを持ってマウントを取るような飲み会をしている。  冒頭から、身につまされる思いだった。  大学4年、春のうちから内定をもらっている子たちは確かに勝ち組だ

          【読書記録】「明け方の若者たち」/カツセマサヒコ

          梅雨晴れ、休日、新しい靴、気も晴れる。

           大雨が過ぎて、晴れが来た。  土砂降りの雨に打たれて外勤した次の日は、まるで「1週間お疲れ様」と言わんばかりの快晴で、心を軽く弾ませながら新しい靴をおろした。つい昨日届いた靴は、半月前に頼んでいたものだ。  梅雨入りのニュースとともに降り続く雨、ようやく晴れたこの日が休日で良かった。こんなにも気持ちも晴れやかに、軽やかに、外に出ることができる。  6月の休日のほとんどに予定が詰め込まれている。休みの日にこんなにも予定を詰めるようになったのは、半年ほど前からだ。  昨

          梅雨晴れ、休日、新しい靴、気も晴れる。

          雨の季節の喜びと憂鬱について

           関西が梅雨入りしたというニュースを見て、ため息をつく。すでに空は曇天で、雨粒が頭のてっぺんを打っている。  今年も、雨の季節がやってきた。  私は雨のことを、比較的好きなほうだと思う。好きなところをあげろと言われれば、たくさん思いつく。  雨の匂い、湿った空気に抱き込まれるようなような感覚、傘を打つ雨音、薄くけぶった雨越しの景色、晴れ間に見える一瞬のきらめき。傘をさす人々を眺めて歩くのだって好きだし、車窓からみる雨に歪んだ景色だって好きだ。  梅雨の時期、私は少し嬉

          雨の季節の喜びと憂鬱について

          死ねない理由を書き並べて生きている。

           最近ふと、「いま首を吊れば、もう何もしなくていいんだ」と思うことがある。  念のため注釈を入れておくけれど、別に死にたいわけでもないし、首を吊るのは怖いし、痛いのは嫌いだからやらない。お菓子をもらって喜ぶ感情も、後輩と笑い合う余力もある。  ただ、死ねば解放されるという選択肢が頭の中に浮かぶだけで。  そんな私を引き止めているのは、目前に迫ったゴールデンウイークだ。  無理やり有給休暇をねじ込んで9連休にして、仕事なんてしない日々を送るつもりでいる。そんな幸せな連休

          死ねない理由を書き並べて生きている。

          壊れたい、それは嘘。

           Twitterに弱音を書いては消すのを繰り返している。吐き出せないなら、どうせならnoteにしてしまおうと思って投稿画面を開いてみた。  最近、身体的な不調がずっと続いている。約半月、調子の良かった日などない。どこかしらが痛く、息ぐるしい。お昼ご飯を食べる気にならない日もある。だからって仕事は休めないし、起きては仕事に行くのを繰り返している。  このままではいつか死ぬかも。そんなことを思ったところで、仮病とか精神的に弱いとか言われるのは嫌だし、人がいるところでは元気なふ

          壊れたい、それは嘘。

          窓の外の雨はとてもきれいだった

           トタンの上をころころと転がる雨は宝石のように綺麗で、私は国語の授業中ずっとそれを眺めていた。雨の日は、あの頃を思い出す。  取引先に向かう電車の中でぼうっと外を眺める。社用携帯が着信を知らせるが、ここは電車内だから取らずともよい。仕事から解放されたい気持ちを抱えて、私は仕事に向かっている。  高校生の頃、窓際の席になったことがあった。あれはまだエアコンをつけてはいけない時期で、窓を開けて少しでも涼しくしようとしていたのだろう。しとしとと降る雨を授業中に眺めていた時、トタ

          窓の外の雨はとてもきれいだった