サカイムツミ

自分自身はあまり人に相談をしないのに、人からの相談を受けることを生業としています。読ん…

サカイムツミ

自分自身はあまり人に相談をしないのに、人からの相談を受けることを生業としています。読んだ方が、くすっと笑ったり、少しほろっとしたりする、そんなような記事を書きたいと思っています。 好きな人物はナンシー関、野村克也、イビチャオシム

マガジン

  • 仕事のはなし(毎月10日ごろ更新)

    キャリアコンサルタントという仕事をしている私から、毎月ひとつずつ、仕事に関する記事をお届けするシリーズです。毎月10日ごろに更新予定です。

  • 花屋のはなし

    30代の頃、どうしても花の仕事がしたくて、ホテルの花屋で4年ほど働いていました。そのときのエピソードをまとめています。でも、花の話より人の話のほうが多いです。

  • その愛はベストで確実か?(ドラマ シークレットガーデン考)

    2010年から2011年に放映されたドラマ「シークレットガーデン」について書いています。私は「愛の不時着」に負けず劣らずの不朽の名作と感じています。同じように感じている方に読んでいただけたらとても嬉しいです。 *マガジン画像はNetflixより転用しています。

記事一覧

真似してみよう(7月のひとこと)

キャリアコンサルタントという仕事をしている私から、毎月ひとつずつ、仕事に関する記事をお届けするシリーズ、 第4回は「真似してみよう」です。 皆さんは職場で、先輩…

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Lovely Jobly(素敵な仕事ぶり)

マサコちゃんは、UKからの帰国子女で、 とてもきれいなQueen’s Englishを話す人だった。 否応なくかかってくる海外からの電話や、店頭での会話を、なんとか意思疎通がで…

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小さな街で

よく、ドラマなんかで、主人公とちょっと気になる相手が、買い物に出た商店街でばったり会って「あ」みたいなシーンを見かける。 嘘だと思う。いや、嘘だと思っていた。 …

5

くちなしとナカイさん

くちなしが満開になっているのを見て思い出した。 ナカイさんは、製薬会社の重役だった。 公家のようなお顔をされていた。 「くちなしは虫がつくでしょう?」 ほんのりし…

サカイムツミ
3週間前
6

玉置浩二という人

玉置浩二のコンサートに行った。 ファンかと言われるとそうではなかった。でも、フェスなどで彼の後には歌いたくないというミュージシャンが多いという噂を聞いて、一度は…

サカイムツミ
3週間前
10

人生にツキがある

浪人して通い始めた予備校には、チューターという方がいた。 いわゆる担任、のようなものだ。 高校までの担任と違うのは授業を担当しないこと。 我々のクラスのチュータ…

サカイムツミ
3週間前
7

国力ということ

花屋で働いているとき、そこは有名なホテルのロビーにあったので、普通に生活していたら会えない人を見る機会がたびたびあった。 その中で、一番素敵だなと思った人は、 …

サカイムツミ
3週間前
7

質問しよう(6月のひとこと)

キャリアコンサルタントという仕事をしている私から、毎月ひとつずつ、仕事に関する記事をお届けするシリーズ、 第3回は「質問しよう」です。 4月に入社された方は、3…

サカイムツミ
1か月前
9

京都に行くと思うこと

京都は東京をうらやましく思っていない。 京都に行くたびに思うことだ。 おおかたの地方都市やそこに住む人は、少なからず東京に憧れや羨望を抱いていると感じるし、 街並…

サカイムツミ
1か月前
7

ビューティ会

こんなふうな名前の会に仕事で参加することがあった。季節は初夏だったと思う。 商業ビルのなかの、美容関係の小売店だけが参加する意見交換・情報交換の会だ。 10年以上…

サカイムツミ
1か月前
5

インコグニートな日々

転職した会社には、小言の多いおばあちゃんのような上司と、兄弟のような同僚たちがいた。そして、ひたすら働く日々だった。 この上司の小言は、人格に食い込んでくる。 …

サカイムツミ
1か月前
6

西麻布

35歳で転職した会社は、西麻布にあった。 表参道の駅から骨董通りを抜けて、高樹町の交差点の先。 大学生の頃、20代の頃、なんどか高樹町の富士フイルム本社の前までは行…

サカイムツミ
1か月前
5

ぺらぺら

会社を辞めようと思ったのは、自分が、ぺらぺらの人間だと思ってしまったからだった。 特にこれというきっかけがあったわけではない。 ほとんど記憶がないくらい、仕事ば…

サカイムツミ
1か月前
8

その愛はベストで確実か?(シークレットガーデン考)おまけ

10回で終わりにしようと思っていましたが、まとめきれなかったことがあり、また終わるのが名残惜しくて、おまけとして付け加えることにしました。楽しんでいただければ幸い…

サカイムツミ
1か月前
6

伯母の箪笥

もう80歳を過ぎた伯母がいる。農家から農家に嫁いだ人だ。 その伯母が嫁入りの時に持ってきた箪笥があるという。 ひとつはふとん箪笥。昔は一般的だったのだろうか、ふと…

サカイムツミ
1か月前
8

その愛はベストで確実か?⑩フロイトの影響

シークレットガーデンの脚本には、精神分析の大家ジークムント・フロイトの考え方が色濃く反映されているように感じます。今回はフロイトの影響について書いてみます。 ※…

サカイムツミ
1か月前
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真似してみよう(7月のひとこと)

真似してみよう(7月のひとこと)

キャリアコンサルタントという仕事をしている私から、毎月ひとつずつ、仕事に関する記事をお届けするシリーズ、
第4回は「真似してみよう」です。

皆さんは職場で、先輩や同僚、後輩などの習慣や所作、言葉遣いなどを「いいな」と思ったら、どうしていますか?
いいなーと感心する? 褒める?
それだけじゃなくぜひ「真似してみて」ほしいのです。

なんとなく気恥ずかしいですか?
でもこれは、仕事のスキルを上げると

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Lovely Jobly(素敵な仕事ぶり)

Lovely Jobly(素敵な仕事ぶり)

マサコちゃんは、UKからの帰国子女で、
とてもきれいなQueen’s Englishを話す人だった。

否応なくかかってくる海外からの電話や、店頭での会話を、なんとか意思疎通ができるレベルの英語でこなしている私とは違って、コミュニケーションを楽しんでいる、って感じが本当にすてきだった。

あんな風に英語が話せたらな、とそばで憧れを持って聞いていた。

"Those flowers are OK f

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小さな街で

小さな街で

よく、ドラマなんかで、主人公とちょっと気になる相手が、買い物に出た商店街でばったり会って「あ」みたいなシーンを見かける。

嘘だと思う。いや、嘘だと思っていた。

Uターンで地方都市に住んで10年になる。
人口が減り続けていく過疎の県で、
いちばん大きな駅に止まる特急の車両だって3両しかない。

そんな街だからこそ、冒頭に書いたみたいなばったり、がちょくちょくある。

私はここ3か月で、職場が違う

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くちなしとナカイさん

くちなしとナカイさん

くちなしが満開になっているのを見て思い出した。

ナカイさんは、製薬会社の重役だった。
公家のようなお顔をされていた。

「くちなしは虫がつくでしょう?」
ほんのりした関西の言葉で話す。

何というか、品と可愛げがある方だった。

「いい仕事をすると、いい花が咲きます。ナカイ」

お知り合いの昇進祝いに送った鉢植えのメッセージにそう書いてあった。
独特のかわいらしい筆跡で。
それを見た店のスタッフ

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玉置浩二という人

玉置浩二という人

玉置浩二のコンサートに行った。

ファンかと言われるとそうではなかった。でも、フェスなどで彼の後には歌いたくないというミュージシャンが多いという噂を聞いて、一度は生で歌声を聴いてみたいと思っていた。

いったいどれくらいうまいのだろう。

ホールには、私より少し上、50代くらいの方が多い。見る限りごく普通の人たちだ。

コンサートが始まった。意外にも、トークは全くなかった。

とにかく歌う、歌う、

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人生にツキがある

人生にツキがある

浪人して通い始めた予備校には、チューターという方がいた。

いわゆる担任、のようなものだ。

高校までの担任と違うのは授業を担当しないこと。

我々のクラスのチューターはアオキさん。 当時「おじさん」と思っていたが、今の自分より全然若い。

最初の面談が入校後しばらくしてあった。

休みの日はどこで勉強してますか?と訊かれて 「それが、入った寮のすぐ近くに区立図書館があったので、そこで勉強してます

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国力ということ

国力ということ

花屋で働いているとき、そこは有名なホテルのロビーにあったので、普通に生活していたら会えない人を見る機会がたびたびあった。

その中で、一番素敵だなと思った人は、

男性ではアメリカ合衆国のパウエル元国務長官で、
女性ではフランソワーズ・モレシャンだった。

パウエルは、洋服の上からも鍛えた身体がわかり、頭脳の明晰さを人柄が支えているようで、知性が鎧を着ているってこういうことかと思わせる風貌だった。

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質問しよう(6月のひとこと)

質問しよう(6月のひとこと)

キャリアコンサルタントという仕事をしている私から、毎月ひとつずつ、仕事に関する記事をお届けするシリーズ、
第3回は「質問しよう」です。

4月に入社された方は、3か月目に入って、少し環境に慣れてきた頃でしょうか。そうでない方は、ゴールデンウィークが終わって、夏休みまで少し間があり、ちょっとしんどい時期かもしれません。無理をしすぎず、休みの日は好きな過ごし方をして、自分を労わってください。

さて仕

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京都に行くと思うこと

京都に行くと思うこと

京都は東京をうらやましく思っていない。
京都に行くたびに思うことだ。

おおかたの地方都市やそこに住む人は、少なからず東京に憧れや羨望を抱いていると感じるし、 街並みにもその気持ちが反映されているけど、 京都だけは、東京にそういう気持ちを持っていない。
それが京都に行くと感じることだ。

東京のはやりすたりを気にすることなく、京都は京都のフィルターで大事だと思うことを大事にして日々を暮らしている。

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ビューティ会

ビューティ会

こんなふうな名前の会に仕事で参加することがあった。季節は初夏だったと思う。

商業ビルのなかの、美容関係の小売店だけが参加する意見交換・情報交換の会だ。

10年以上も前のこと、美容関係だから女性だらけ。

アドバイザーとして参加している関係者や美容ライターもほぼ女性ばかり。

会場で椅子に座りメモを取ったり発言したりと、一応そつなく参加しながら、私はぼんやりと「ビューティな人がひとりもいないな」

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インコグニートな日々

インコグニートな日々

転職した会社には、小言の多いおばあちゃんのような上司と、兄弟のような同僚たちがいた。そして、ひたすら働く日々だった。

この上司の小言は、人格に食い込んでくる。
最初に注意されたのは、電話の出方だった。

「ニワタさん、電話の出方がよくないなあ」

既に社会人生活10年以上、初めて電話の出方で注意を受けた。

「ニワタさんはただでさえクールに見えるんだから、そういう電話の出方をしてると、本当にそう

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西麻布

西麻布

35歳で転職した会社は、西麻布にあった。
表参道の駅から骨董通りを抜けて、高樹町の交差点の先。

大学生の頃、20代の頃、なんどか高樹町の富士フイルム本社の前までは行ったことがあった。
でもそのたびに、見えない結界みたいなものに阻まれて、その先に足を踏み入れられなかった。
お前のような小娘が来る場所じゃないよ、と言われているような気がしていた。

その場所に毎日通うのだと思うと、不思議な気がした。

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ぺらぺら

ぺらぺら

会社を辞めようと思ったのは、自分が、ぺらぺらの人間だと思ってしまったからだった。

特にこれというきっかけがあったわけではない。

ほとんど記憶がないくらい、仕事ばかりしていた3年ほどの間は、そんなこと考えもしなかった。

きちんと役割を与えられ、会社に骨を埋めようと思って働いていた頃は、会社員として一番幸せだったような気がする。
自分の仕事にも会社の存在意義にも、何の疑問もなかった。

いつのこ

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その愛はベストで確実か?(シークレットガーデン考)おまけ

その愛はベストで確実か?(シークレットガーデン考)おまけ

10回で終わりにしようと思っていましたが、まとめきれなかったことがあり、また終わるのが名残惜しくて、おまけとして付け加えることにしました。楽しんでいただければ幸いです。
※ネタバレもあります、ご了承ください。

おまけ
■音楽
とにかく音楽の使い方が印象的で素敵です。よく取り上げられる曲以外で私が気になったのは

・第1話、清潭のクラブでジュウォンとウヨンが会うシーンで演奏されているジャズ(ソウル

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伯母の箪笥

伯母の箪笥

もう80歳を過ぎた伯母がいる。農家から農家に嫁いだ人だ。

その伯母が嫁入りの時に持ってきた箪笥があるという。

ひとつはふとん箪笥。昔は一般的だったのだろうか、ふとんをしまうための箪笥。

もうひとつは、普通の箪笥だが、上の引き戸がガラスになっており、そのガラスから透けて見えるように、鶴亀の模様の布が貼ってあるそうだ。

私は見ていないのだが、伯母の家で実物を見た妹は「あんなきれいな箪笥は見たこ

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その愛はベストで確実か?⑩フロイトの影響

その愛はベストで確実か?⑩フロイトの影響

シークレットガーデンの脚本には、精神分析の大家ジークムント・フロイトの考え方が色濃く反映されているように感じます。今回はフロイトの影響について書いてみます。
※ネタバレもあります、ご了承ください。

⑩ フロイトの影響
■夢
フロイトと言えば夢判断です。ドラマの中ではライムの親友アヨンが話す夢のストーリーが、展開を予言していきます。

「あなたと社長が車でどこかに行くのよ。空は真っ暗で社長が泣いて

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