サカイムツミ

自分自身はあまり人に相談をしないのに、人からの相談を受けることを生業としています。読ん…

サカイムツミ

自分自身はあまり人に相談をしないのに、人からの相談を受けることを生業としています。読んだ方が、くすっと笑ったり、少しほろっとしたりする、そんなような記事を書きたいと思っています。 好きな人物はナンシー関、野村克也、イビチャオシム

マガジン

  • 仕事のはなし(毎月10日ごろ更新)

    キャリアコンサルタントという仕事をしている私から、毎月ひとつずつ、仕事に関する記事をお届けするシリーズです。毎月10日ごろに更新予定です。

  • 昔のはなし

    もうかなり前の、学生時代などの話です。ついこの間のような気はしますが…

  • 西麻布のはなし

    8年間働いた会社があった、西麻布。駅から遠いだけで、私のような普通人にはあまりメリットはなかったけど、自分を成長させてくれた場所です。そのときの話をまとめています。

  • 花屋のはなし

    30代の頃、どうしても花の仕事がしたくて、ホテルの花屋で4年ほど働いていました。そのときのエピソードをまとめています。でも、花の話より人の話のほうが多いです。

  • その愛はベストで確実か?(ドラマ シークレットガーデン考)

    2010年から2011年に放映されたドラマ「シークレットガーデン」について書いています。私は「愛の不時着」に負けず劣らずの不朽の名作と感じています。同じように感じている方に読んでいただけたらとても嬉しいです。 *マガジン画像はNetflixより転用しています。

最近の記事

  • 固定された記事

一隅を守る

私が卒業した中学には、モリヤマ校長先生という方がいた。 小柄で、謙虚で、いつもにこにこしていて、優しい先生だった。 よくジャージをはいて、校庭の木の手入れなんかしていた。 学校にたまたま来たうちの父はそれを見て「校長があんなことするべきじゃない」と言っていた。 それは確かにそうなのかもしれない。そんなふうにちょこまかと動いている印象ばかりで、いわゆる威厳がない先生だったから、生徒の私たちも、どこか先生をなめていたところがあった。 その先生が、卒業の時3年生全員に「守

    • 上手にさぼろう(9月のひとこと)

      キャリアコンサルタントである私から、毎月ひとつずつ、仕事に関する記事をお届けしています。 第6回は「上手にさぼろう」。 え、さぼっていいの?と思ったあなた、いいんですよ。たまにはさぼりましょう。人間はロボットではないんです。というか、ロボットだって使いすぎたら壊れます。生身の人間が毎日ずっと同じクオリティと同じペースで働いたら壊れてしまいます。 今年の夏もほんとうに暑かったし、まだ暑いです。夏休みを取っても、それで疲れがすっかり消えてしまうわけではありませんよね。疲れがた

      • 阿波踊り

        阿波踊りがはじまった。 毎年のことなのに、そして自分が踊るわけではないのに、やはりこの時期はうきうきする。 今、演舞場から10km以上離れた我が家にも、鳴り物の音が聞こえている。 高校生の三年間、お盆は毎日踊っていた。 自転車で通えるところに練習場所がある連(れん、踊りのグループ)をみつけて、入れてもらった。 踊りは、いろんなことを教えてくれる。 あの人の、手の動かし方がきれい。 この人の、足のあげ方がかっこいい。 練習しながら、それを見てこっそり盗む。 髪のあげ方

        • 数値化しよう(8月のひとこと)

          キャリアコンサルタントである私から、毎月ひとつずつ、仕事に関する記事をお届けしています。 第5回は「数値化しよう」。 みなさん、ご自身の仕事について、数字を交えて人に説明することはできますか? 営業をやっている方などは、数字にしやすいと思います。常に意識しているでしょうから。 「私は事務職だから、数字になんかできない」と思う方も多いでしょう。 それでも、数値化できる部分が必ずあるはずです。 例えば、1日に何件電話を取っている、とか、 1か月に何社分の伝票を処理している、

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        • 仕事のはなし(毎月10日ごろ更新)
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          11本

        記事

          お願いごとはひとつだけ

          マネージャーのニノマエさんは、本当に仕事のできる人だった。 そして、人柄もいい。 みんなのニノマエさん、だった。 ニノマエさんは、いつも忙しいはずなのに、 なにかゆったりした印象を受ける人だった。 「なにか手伝えることはありませんか?」と訊くと、 とても簡単なことをひとつだけ、頼んでくれる。 例えば、この封書をポストに入れておいてくれる?というようなこと。 なので、喜んで!と居酒屋のように答える自分がいる。 本当は、頼みたいことはいくらでもあったはず。 でもお願いごと

          お願いごとはひとつだけ

          それは単なる道具

          大学を出て7年、2つの会社で働いた。どちらもITの会社。といっても当時はITという言葉はまだ一般的ではなかったけれど。 それは業界の将来性を考えてのことだった。でも本当はパソコンなんか嫌いで、卒論だって手書きだった。 (私の頃は、手書きが3割くらい、ワープロとパソコンが7割くらいだったと思う) その話を先輩にしたら、 「パソコンが嫌いとか言うの、おかしいよ。  パソコンは単なる道具だよ。はさみや包丁とおんなじ。  はさみが嫌い、とか包丁が嫌い、とか言うか?」 その先輩

          それは単なる道具

          ジャスミンの白い花

          今年も咲いてくれたジャスミン。 西麻布オフィスの西側には、ジャスミンの生け垣があった。 水しかやっていないのに、首都高のすぐ下、排気ガスだらけの環境でも、毎年しっかり蔓を伸ばしてこの時期にはたくさん花をつけてくれた。 ジャスミンの花は本当にいい香りがする。 ある日オフィスが移転することになり、事情があってジャスミンは新しいオフィスには連れていけないことになった。 そのまま枯らせてしまうのはどうにも忍びなく、私は休みの土曜日にシャベルを持ってその木を掘りに行った。

          ジャスミンの白い花

          真似してみよう(7月のひとこと)

          キャリアコンサルタントという仕事をしている私から、毎月ひとつずつ、仕事に関する記事をお届けするシリーズ、 第4回は「真似してみよう」です。 皆さんは職場で、先輩や同僚、後輩などの習慣や所作、言葉遣いなどを「いいな」と思ったら、どうしていますか? いいなーと感心する? 褒める? それだけじゃなくぜひ「真似してみて」ほしいのです。 なんとなく気恥ずかしいですか? でもこれは、仕事のスキルを上げるという意味以上に価値があることなので、ぜひ試してほしいのです。 私もこれまでいろ

          真似してみよう(7月のひとこと)

          Lovely Jobly(素敵な仕事ぶり)

          マサコちゃんは、UKからの帰国子女で、 とてもきれいなQueen’s Englishを話す人だった。 否応なくかかってくる海外からの電話や、店頭での会話を、なんとか意思疎通ができるレベルの英語でこなしている私とは違って、コミュニケーションを楽しんでいる、って感じが本当にすてきだった。 あんな風に英語が話せたらな、とそばで憧れを持って聞いていた。 "Those flowers are OK for you?" という言葉は、発音の美しさと、そのこなれた言葉選びと、なにより

          Lovely Jobly(素敵な仕事ぶり)

          小さな街で

          よく、ドラマなんかで、主人公とちょっと気になる相手が、買い物に出た商店街でばったり会って「あ」みたいなシーンを見かける。 嘘だと思う。いや、嘘だと思っていた。 Uターンで地方都市に住んで10年になる。 人口が減り続けていく過疎の県で、 いちばん大きな駅に止まる特急の車両だって3両しかない。 そんな街だからこそ、冒頭に書いたみたいなばったり、がちょくちょくある。 私はここ3か月で、職場が違う3人の人と、通勤に利用している駅で、2回ずつ遭遇した。 中学の同級生のカコちゃん

          くちなしとナカイさん

          くちなしが満開になっているのを見て思い出した。 ナカイさんは、製薬会社の重役だった。 公家のようなお顔をされていた。 「くちなしは虫がつくでしょう?」 ほんのりした関西の言葉で話す。 何というか、品と可愛げがある方だった。 「いい仕事をすると、いい花が咲きます。ナカイ」 お知り合いの昇進祝いに送った鉢植えのメッセージにそう書いてあった。 独特のかわいらしい筆跡で。 それを見た店のスタッフ全員、心を鷲掴みにされていた。 もちろん私も。 周りの人はきっと、ナカイさんに

          くちなしとナカイさん

          玉置浩二という人

          玉置浩二のコンサートに行った。 ファンかと言われるとそうではなかった。でも、フェスなどで彼の後には歌いたくないというミュージシャンが多いという噂を聞いて、一度は生で歌声を聴いてみたいと思っていた。 いったいどれくらいうまいのだろう。 ホールには、私より少し上、50代くらいの方が多い。見る限りごく普通の人たちだ。 コンサートが始まった。意外にも、トークは全くなかった。 とにかく歌う、歌う、歌う。休憩前には何かMCがあるかと思ったがそれもない。 そして休憩のあともひた

          玉置浩二という人

          人生にツキがある

          浪人して通い始めた予備校には、チューターという方がいた。 いわゆる担任、のようなものだ。 高校までの担任と違うのは授業を担当しないこと。 我々のクラスのチューターはアオキさん。 当時「おじさん」と思っていたが、今の自分より全然若い。 最初の面談が入校後しばらくしてあった。 休みの日はどこで勉強してますか?と訊かれて 「それが、入った寮のすぐ近くに区立図書館があったので、そこで勉強してます」と答えたら、アオキさんは、 「そうですか、それはいいですね。人生にツキがありま

          人生にツキがある

          国力ということ

          花屋で働いているとき、そこは有名なホテルのロビーにあったので、普通に生活していたら会えない人を見る機会がたびたびあった。 その中で、一番素敵だなと思った人は、 男性ではアメリカ合衆国のパウエル元国務長官で、 女性ではフランソワーズ・モレシャンだった。 パウエルは、洋服の上からも鍛えた身体がわかり、頭脳の明晰さを人柄が支えているようで、知性が鎧を着ているってこういうことかと思わせる風貌だった。 フランソワーズ・モレシャンの美しさは、言葉で表現するのが難しいけれど、一言で

          国力ということ

          質問しよう(6月のひとこと)

          キャリアコンサルタントという仕事をしている私から、毎月ひとつずつ、仕事に関する記事をお届けするシリーズ、 第3回は「質問しよう」です。 4月に入社された方は、3か月目に入って、少し環境に慣れてきた頃でしょうか。そうでない方は、ゴールデンウィークが終わって、夏休みまで少し間があり、ちょっとしんどい時期かもしれません。無理をしすぎず、休みの日は好きな過ごし方をして、自分を労わってください。 さて仕事でわからないことがあったとき、皆さんは他の人に質問をしていますか? 今はネッ

          質問しよう(6月のひとこと)

          京都に行くと思うこと

          京都は東京をうらやましく思っていない。 京都に行くたびに思うことだ。 おおかたの地方都市やそこに住む人は、少なからず東京に憧れや羨望を抱いていると感じるし、 街並みにもその気持ちが反映されているけど、 京都だけは、東京にそういう気持ちを持っていない。 それが京都に行くと感じることだ。 東京のはやりすたりを気にすることなく、京都は京都のフィルターで大事だと思うことを大事にして日々を暮らしている。 きれいに掃除された家の玄関先、玄関先の菊の懸崖の鉢、花屋のディスプレイ、本屋

          京都に行くと思うこと