お願いごとはひとつだけ
マネージャーのニノマエさんは、本当に仕事のできる人だった。
そして、人柄もいい。
みんなのニノマエさん、だった。
ニノマエさんは、いつも忙しいはずなのに、
なにかゆったりした印象を受ける人だった。
「なにか手伝えることはありませんか?」と訊くと、
とても簡単なことをひとつだけ、頼んでくれる。
例えば、この封書をポストに入れておいてくれる?というようなこと。
なので、喜んで!と居酒屋のように答える自分がいる。
本当は、頼みたいことはいくらでもあったはず。
でもお願いごとはひとつだけ、なんだなと思った。
ニノマエさんが忙しくなって、どうしても手が回らず、新人スタッフの研修を私に任せるときは、細かい指示をせず全てを任せてくれた。
「ぜんぶニワタさんに任せるから。」と。
不安もあったに違いないが、口出しはいっさいせず、任せてくれた。
つまり、これもある意味、ひとつだけ、だ。
お願いごとはひとつだけ。
それができるのは、相手を慮り、信用する器がその人にあるからだ。
見出し画像はみんなのフォトギャラリーよりお借りしています。
noouchiさま、ありがとうございます。
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